いせ九条の会

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寧辺の黒鉛減速炉は建設が進んでいなかった/山崎孝

2007-07-03 | ご投稿
【北朝鮮:核燃料棒の扱いが次の焦点 寧辺核施設】(2007年6月29日付毎日新聞より)

【ウィーン会川晴之】北朝鮮が29日、国際原子力機関(IAEA)のハイノネン事務次長に対し、寧辺(ニョンビョン)の核施設にある5000キロワット黒鉛減速炉などの停止・封印に応じる姿勢を示したことで、今後は、具体的な作業内容が焦点となる。中でも黒鉛減速炉内に据えつけてある核燃料棒の扱いが問題となりそうだ。

 運転中の同黒鉛炉内には現在、8000本の核燃料棒が装てんされている。6カ国協議合意に基づき、停止・封印が実施されれば、原子炉の運転が停止され、再稼働できないよう封印が施される。

 問題は、核燃料棒の扱いだ。手法としては(1)原子炉内に据えつけたままにする(2)抜き取って核燃料貯蔵プールに移管する--の2通りがある。ただ、前者の場合は、何らかの理由で北朝鮮が「初期段階措置」の実施中止を判断し、封印を切れば、容易に運転を再開できるデメリットがある。

 一方、抜き取った場合は、同炉の即時再稼働が難しくなるものの、北朝鮮の意向次第では、核兵器に使用するプルトニウムを抽出するための再処理作業が容易となる。さらに、同炉で使用した核燃料棒は腐食しやすく、安全上の問題も生じる。プール内に長期間放置すれば、水素ガスが発生して爆発する可能性もあり、核燃料棒をステンレス製容器などに詰め込んで厳重に保管する新たな作業が必要となる。

 6カ国協議参加国やIAEAには「核不拡散の観点、安全面の両面を考慮すれば、核燃料棒を取り外さない方がいい」との意見がある。その一方、6カ国協議合意は、将来の核計画廃棄に向けた初期段階として停止・封印を位置づけていることから「核計画廃棄に向けた第一歩を踏み出すには抜き取った方がいい」との意見もある。

 核専門家は「核燃料棒を抜き取り、北朝鮮国外に搬出するのがベストだ」と指摘するが、北朝鮮が国外持ち出しの見返りを要求することは確実で、「現時点で、持ち出しに応じる可能性は少ない」(6カ国協議筋)との見方が支配的だ。

 94年10月の米朝枠組み合意時点では、すでに燃料棒は核燃料貯蔵プールに移管されていた。保管状態が悪く、水素ガスが発生しており、ステンレス製の容器に入れ替える作業を数年間かけて実施した。(以上)

寧辺の黒鉛減速炉建設状況を中日新聞は次のように報道しています。

【黒鉛減速炉建設進まず 寧辺の5万キロワット施設 IAEA視察で判明】(2007年7月2日付中日新聞より)

【ウィーン2日共同】北朝鮮を30日まで訪れ、寧辺の核施設を視察した国際原子力機関(IAEA)のハイノネン事務次長ら代表団が、核放棄に向けた「初期段階措置」として停止、封印の対象となる、建設中の黒鉛減速炉(5万キロワット)について、IAEA査察要員が追放された2002年当時と比べ「建設が進んでいない」とみていることが2日分かった。IAEA当局者が明らかにした。

建設中の黒鉛減速炉は完成すれば、原爆10個分にも相当するとされる年間50-60キロのプルトニウム生産が可能になるとされ、米国などが強い懸念を示していた施設。IAEAの視察結果により、こうした懸念は遠のいた形だ。

IAEAは3日にも今回の訪朝に関する報告書を理事国に提出する予定で、その中にも視察結果が盛り込まれる見通し。
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