いせ九条の会

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真の「戦後レジームからの脱却」は/山崎孝

2007-07-20 | ご投稿
朝日新聞7月18日の「参院選 今こそ問う」欄で、日本総合研究所会長 寺島実朗さんは、次のように述べています。

 外交は参院選の隠された争点、重要な選択肢であることを強調したい。

 安倍政権の支持率は日中関係が改善した時に上昇した。政権が中国に対し本音とは違う行動をした時、現実的感覚がある国民は支持した。皮肉な相関関係になっている。

 日本外交には今、あらゆる面で世界潮流とのギャップがある。

 安倍政権は、テロとの戦いを掲げた米国の力の論理に小泉政権が並走した流れの中でスタートした。現在、イラク戦争について米政権内部からも失敗だったとの声が上がっているが、日本はまだ「必ずしも間違ったとは言えない」の立場だ。このことが日本の発言力を制約している。

 米国はこの1年ほどで極端に変わっている。ブッシュ政権の急速な支持低下に象徴される「脱9・11」の動きだ。

 世界はインド、ロシアやシーア派イスラム、つまりイランが台頭し、いろんな意味で全員参加型の秩序に向かっている。大国だけの合意で何かを動かす時代ではなくなってきているのだ。

 小泉・安倍外交は、台頭する中国を日米の連携で制御しようと考えた。

ところが、その米国が、同盟国の日本も大切だが中国もアジアの大国で市場の魅力もあるから大事だ、という考えに変わりつつある。

 米中が関係を深める中で、日本はどういう立ち位置をとるか、求められるのは、米国との関係を維持しつつ、中国を国際社会の建設的な参画者に招き入れる努力だ。

米国への過剰依存・過剰期待の関係を見直すことこそ、本当の意味での「戦後レジームからの脱却」になるのではないか。(以上)

すでにブログで紹介していますが、英国のアフリカ・アジア・国連担当国務相のマーク・マロック・ブラウン氏は「ブラウン・ブッシュ関係が…ブレア・ブッシュ関係のように一心同体になることは決してありえない」と述べています。ブレア・ブッシュ関係と同類である、寺島実朗さんが指摘した真の「戦後レジームからの脱却」をしなければならないと思います。その方向は「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚」して、現行憲法の理念を生かす方向です。人類は理想を追求してきたからこそ、不条理の社会の奴隷制社会や封建制社会を打破できました。そして自由と民主主義を否定できない社会、暴力が正しいと主張できない社会になっています。

7月18日、国際的な人道支援グループ「エルダーズ」の設立発表の場で、南アフリカの人種差別(アパルトヘイト)に抵抗し、撤廃させたマンデラ南アフリカ前大統領は「不安があるところは勇気を支援し、紛争があるところは合意を育み、絶望があるところには希望を与えるだろう」と述べました。

安倍首相となんと違うのでしょう。PKOは紛争地に非暴力の原理を持ち込むのが活動の性格なのに、安倍首相は紛争があるところは合意を育むのではなく、解釈改憲をしてまで、紛争地に自衛隊を派遣して、他の国の部隊が攻撃を受けたら応援に駆けつける、軍事的なことを考えます。

註 「エルダーズ」は年配者たちを意味し、豊かな知恵と経験を結集し、貧困や紛争、エイズ問題、地球温暖化などに取り組む会です。カーター米元大統領、アナン国連前事務総長、アパルトヘイトに抵抗しノーベル平和賞を受賞したツツ元大主教、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・アヌスグラミン(農村)銀行総裁らが参加しています。(朝日新聞の記事を参考)