いせ九条の会

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日本には政治的な平衡感覚が特に必要/山崎孝

2007-07-24 | ご投稿
「エルダーズ」については既に紹介していますが、再度、このグループのことと関連して述べます。

7月18日、国際的な人道グループ「エルダーズ」の設立発表の場で、マンデラ南アフリカ前大統領は「不安があるところは勇気を支援し、紛争があるところは合意を育み、絶望があるところには希望を与えるだろう」と述べました。「エルダーズ」とは年配者たちを意味し、豊かな知恵と経験を結集し、貧困や紛争などに取り組むグループです。

年配者たちという言葉から思うことは、日本の政治は戦争体験がなく、日本の戦争の歴史を肯定的に捉える政治家の主導で動いています。その代表格の安倍首相はPKOで他国部隊が攻撃されたら応援に駆けつけることを考えます。紛争を調停して合意を育もうとする考えではありません。紛争当事者を軍事的に押さえ込む、偶発的に起こる衝突でも自衛の範囲を超えて反撃し制圧するという考え方です。PKOの性格、「紛争地に非暴力の原理を持ち込む」を全く理解していません。

東アジアの情勢は2月に6者協議の合意が成立し緊張緩和の方向に向かいますが、5月18日、安倍首相は、集団的自衛権行使を研究する有識者懇談会で、北朝鮮の核開発などを挙げ、わが国を取り巻く環境は格段に厳しさを増しているとして、隣国が警戒する海外での武力行使の解禁を考えます。

野中広務氏は「自民党は戦争の好きな政党になっちゃった」と言い、山崎拓氏は、党内は軍事力を背景としない外交は迫力に欠けるという考え方の人が多くなったと言っています。このような考え方が露出したのが、従軍慰安婦問題で軍隊の関与を否定する、沖縄戦における住民の集団自決死に対する軍隊の関与の否定です。

このような政権党の日本では豊かな知恵と経験に学んだ人たちの平衡感覚が特に必要です。

註 野中広務氏の言葉は「論座」5月号の記事、山崎拓氏の言葉は朝日新聞3月9日付からです。国連平和維持活動の創設に取り組んだブライアン・アークハート氏は、国連平和維持活動の性格について、「武器は持っていくが使わず、非暴力の原理を紛争地に持ち込む」と朝日新聞紙上で述べています。