いせ九条の会

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チャンスを生かして日朝国交正常化の道を/山崎孝

2007-10-14 | ご投稿
昨日のブログで、米国の北朝鮮政策をめぐり、ライス国務長官とチェイニー副大統領の対立があることを少しお伝えましたが、このことを詳しく報道した中日新聞を紹介します。

【チェイニーVSライス 米政権に新たな亀裂?】(2007年10月12日付)

【ワシントン=立尾良二】ブッシュ米政権内で、北朝鮮によるシリアへの核開発協力疑惑をめぐり対立が生じている。十日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、強硬派のチェイニー副大統領と対話路線のライス国務長官の「新たな亀裂」と報じた。マコーマック国務省報道官は同日、「異なる意見があるとしても、健全な政策論争においては当然のことだ」と、政権内の対立を暗に認めた。

この問題は、イスラエル軍機が先月六日、シリア北部の核施設とみられる標的を空爆。イスラエルは事前に米政府に対し、北朝鮮の核技術者がシリアに滞在し、核開発に協力しているとの情報を伝達していたとされる。

標的が核施設だったかどうかは不明だが、北朝鮮がシリアの弾道ミサイル開発に長年協力してきた事実は知られている。このためチェイニー氏ら政権保守派は、イスラエルの情報は信用できるとして、北朝鮮やシリアとの外交交渉を再考し、北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の合意文書についても破棄を検討するよう主張したという。

一方、ライス氏らは、六カ国協議への悪影響などを避けるため、イスラエルの情報を全面的に信用することはできないとして慎重な対応を求めたという。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、今月二日にブッシュ大統領がライス氏や六カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補と合意文書の承認を協議した際にもチェイニー氏らが同席し、対話路線を続行するか、元の対決路線に戻るかの選択を迫ったという。

米メディアは、イラク政策などで対立したチェイニー氏とパウエル前国務長官の再現かとの見方を示している。(以上)

現在、北朝鮮の軍事的核を放棄させ、その見返りとして北朝鮮のエネルギーを支援する取り組みは、第二段階の合意事項を進めようとしています。その合意事項には暫定合意から本国政府の承認を受けた正式合意の過程で変更された部分があります。以下はその報道です。

【「北朝鮮が年内説明」削除 ウラン濃縮、6カ国合意文書】( 2007年10月13日付中日新聞)

【北京=城内康伸】九月下旬に北京で開かれた北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議で、九月三十日に暫定合意した文書案に「(北朝鮮の)ウラン濃縮問題に関する満足できる説明が、年末までに行われなければならない」との表現が盛り込まれていたことが、十三日分かった。今月三日に発表された合意文書では、そうした内容は削られていた。複数の協議筋が明らかにした。

六カ国協議の関係国は最終的に「すべての核計画の完全かつ正確な申告」を年内に行うことで合意したが、ウラン濃縮問題に言及しなかったことで、あいまいな部分を残した形となった。

協議筋によると、暫定合意では、申告に関する内容を二段階に分けて設定。第一段階として「五千キロワットの実験用黒鉛減速炉に関連する核計画と核物質、施設の申告と、ウラン濃縮問題に関する相互に満足できる説明が、年末までに行われなければならない」と明記し、年内に行うべき申告の対象を絞り込んだ。

その上で、第二段階として「北朝鮮はその他すべての核計画の申告をしなければならない」と、時期には触れずに記していたという。

関係国の政府の承認を経て発表された合意文書では、申告を年末までに一本化して行うとする代わりに、濃縮ウラン問題への言及が削除されたとみられる。

協議筋によると、このほか暫定合意にあった「非核化作業部会が申告内容の完全性と正確性を検討する」との表現も、合意文書から削られた。

同筋は「すべての核計画が(対象として)包括的な表現で記されており、難しく考える必要はない」とし、北朝鮮側による申告について楽観的な見通しを示している。

しかし、北朝鮮がウラン濃縮問題で関係国が納得できる説明を行うかどうかは、なお不透明なままで、今後の火種となる可能性もある。(以上)

中日新聞の報道は《北朝鮮がウラン濃縮問題で関係国が納得できる説明を行うかどうかは、なお不透明なままで、今後の火種となる可能性もある》と指摘しています。この火種は昨年10月の北朝鮮の核実験の状況から比較すれば、困難な問題だとはいえません。火種を解消するには、対話を続け約束したことを実行し、更に信頼関係を強めていく以外にはありません。

北朝鮮が一番に望んでいることは、米国が北朝鮮の安全を確実に保証すること、北朝鮮が自らの政策、先軍思想による政策の破綻が招いた経済疲弊の建て直しです。

先の南北首脳会談で北朝鮮が一番望んだのは、経済開発型の援助でした。朝日新聞10月12日の報道は、南北首脳会談終了後、盧武鉉大統領は「北は(開発の)速度に物足りなさを感じている」と語り、金総書記が大規模・先端産業の参入を求めたことを示唆した、と伝えています。

このような経済状況にある北朝鮮は日本人拉致問題に対して誠実に対応すること。日本は北朝鮮が望む経済支援をほのめかしながら、北朝鮮の態度を和らげる働きかけをしなければいけないと思います。

日本政府は6者協議の新たな前進、南北関係の新たな前進というチャンスを生かして、日朝関係においても平和構築に努力してほしいと思います。