いせ九条の会

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旧日本軍の集団自決死の強要は新たな歴史の認定ではない/山崎孝

2007-10-10 | ご投稿
【集団自決検定 参院決議、困難に】(2007年10月10日付朝日新聞)

 沖縄戦での集師自決を日本軍が強制したとの記述が削られた教科書検定の「再度検討」を求める国会決議が、野党が多数を占める参院でも採択が困難な見通しとなった。これまで「決議になじまない」としてきた自民党に加え、提案した民主党でも9日、参院側が「全会一致が原則」との方針を確認したためだ。

決議提出は、民主党の菅直人代表代行が9月末の沖縄県民大会の際に記者団に表明。社民党と決議案をまとめ、5日の参院議院運営委員会で与党側に示した。検定制度への政治介入との批判を避けるため、県民大会が採択した「検定意見の撤回と集団自決の記述回復」の文言は入れなかった。

ただ、決議について、民主党の西岡武夫参院議運委員長は5日、「国会が歴史の認定に踏み込むことは両刃の剣になる可能性がある」と難色を示し、9日の同党参院役員会でも「全会一致が原則」との方針を確認。同党の平田健二参院幹事長は同日、「多数決ではできない」と明言した。(以上)

民主党の西岡武夫参院議運委員長は、「国会が歴史の認定に踏み込むことは両刃の剣になる可能性がある」との見解ですが、沖縄戦における日本軍の住民に対する集団自決の強要は、新たな歴史認識の認定ではなく、沖縄県史など公的な文章に記されてきて、今までも教科書に記述されてきた日本人にある普遍的な歴史的認識です。

民主党の一部議員は、「歴史の認定に踏み込むことは両刃の剣になる可能性」という一見公平な考えを示しながら、その実は、沖縄県民の総意という大きな民意に背を向けた不公正な態度といえます。

特異な歴史認識の持つ自由主義史観の人たちが、旧日本軍を免罪にし、将来改憲して軍隊を持とうとする政治的な意図を持って、文部科学省に働きかけて起こした教科書の記述の書き換え問題です。

民主党がこのような態度になるのは、歴史認識が自由主義史観の人たちと同じの「日本会議国会議員懇談会」に民主党議員が加わっていることと無関係ではありえないと思います。

「日本会議国会議員懇談会」は、10月6日、設立10周年の記念大会で、福田首相が靖国神社参拝をしないことを明確にしたこと、国会の所信表明演説で憲法改正にまったく触れなかったことを批判しています。

「日本会議国会議員懇談会」が期待した安倍前首相も首相になってから自らの歴史認識を封印し、従来の政府見解を踏襲せざるを得なかったこと。福田首相が日中・太平洋戦争の指導者が祀られている靖国神社参拝をしないことを明確にしたのは「日本会議国会議員懇談会」の歴史認識は公の場では通用しないことを物語るものです。