いせ九条の会

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テロリストが勢力を拡大することを根源から断つこと/山崎孝

2007-10-07 | ご投稿
昨日のブログは岩波書店の総合雑誌「世界」11月号に、掲載された民主党の小沢代表の論文のことを紹介しました。同号の「読者談話室」に9月17日に投稿していた私の文章が載りましたのでブログにも投稿します。

「世界」2007年11月号「読者談話室」掲載文【日本のテロとの戦いは発想の転換を】

参院選の大敗で与党の過半数割れが生まれたため、テロ対策特別措置法の延長を諦め、自衛隊がインド洋上で行なう米艦船などへの無料の燃料補給活動を継続させるための新法を自民党は検討している。

民主党の小沢代表は、自衛隊の燃料補給活動そのものに反対している。そのため自民党は参院で否決された場合や参院に送付後60日以内に議決されず、憲法の規定に基づき参院で否決されたとみなされた場合は、衆院議員の3分の2の賛成で再議決をして新法を成立させたいと考えている。

かように通常の方法で法案成立が不可能ならば、発想を変えて別な形のテロとの戦い方を選ぶのが民主主義だと思う。

自衛隊が支援する米軍などの艦船は、テロリストが武器弾薬、麻薬の海上移送を阻止する活動を行なうが、その成果のほどを日本政府は明らかにしていない。

 アフガニスタンにおけるテロとの戦いは全体として成果を挙げているのか。

本年7月、潘基文国連事務総長は米軍やNATO軍の空爆で民間人の死傷者が相次いでいることについて「事故であったとしても、敵を強化し、われわれの努力を損なう」とのべた。

英国の有力シンクタンク国際戦略研究所は、2002年5月の「戦略概観」で、軍事行動について「テロの根本原因に対処できない」として、平和維持、国家再建、経済開発などを挙げて「対テロ、不拡散での勝利を確保するために不可欠である」と強調した。9月に出た2007年版は、アフガニスタンは「自爆攻撃が急増し、武装勢力や過激主義が、これまで平和的だった地域に広がっている」として、情勢の悪化を指摘。また、民間人死者を増大させる米軍の作戦は「逆効果だ」と述べた。

対テロ戦争に反対する米被害者家族の団体「ピースフル・トゥモローズ」の創始者の一人、バリー・アマンダさんは「武力は決して世界を良いものにしなかった。9・11は国旗を振る日ではなく、和解について考える日にしたい」と語っている。

これらの評価や指摘が指し示す方向、そして戦争放棄の理念を持つ日本にふさわしい政策は、アフガニスタンの民生復興支援や人道支援に最大限尽力することである。この政策は狂信的なテロリストを住民から孤立させることにつながるテロとの戦いになる。

 自民党が対テロ戦で発想の転換が出来ないのは、山崎拓氏が本年3月9日朝日新聞紙上でのべた「戦争忌避、平和主義といった観念が薄れ『軍事力を背景にしない外交は迫力に欠ける』といった考えの人が多くなっているからである。外国から「翼の短かったタカ」と評価された安倍晋三氏は政権の座から降りた。だがタカは気流に乗って飛ぶもの、私たちは警戒を怠らず、改憲を究極目的とする軍事志向の気流を失速させなければならない。(以上)

10月7日の朝日新聞のコラム欄に、韓国外交安保研究所助教授で、専門は中東政治とテロリズムの研究している印南植(インナムシク)さんは次のように述べています。印南植さんは韓国は2002年に米国の要求を受けて、国内事情も考慮して、アフガニスタンに医療・工兵部隊を派遣したこと。本年起こったアフガニスタンでの韓国人拉致事件について述べた後

今回の事件で韓国は当分、アフガンに軍を派遣することはできなくなったが、別の形での貢献は続けなくてはならないだろう。軍事面でのテロリスト掃討も重要だが、同時に必要なのは、テロリストが勢力を拡大することを根源から断つことだ。

 アフガン国民は疲弊し、秩序回復に手をこまぬくカルザイ政権への信頼は失墜。政権や国際社会に対する国民の不満がタリバーン支持に流れるという悪循環が続いている。一部ではイスラム系のテロリスト教育が続き、「戦士」が量産されている。結局、貧困や飢餓、識字率、乳児死亡率の改善など国民生活向上へ向けた直接的アプローチが不可欠だ。駐留部隊を撤退させる韓国に今後できるのも、そうした部分だと思う。

 日本も現地の治安維持のために戦闘部隊を直接、派遣することはできないだろう。だとすれば、テロとの戦いで日本にできることは、我々と同じ部分ではないか。(以上)

国際貢献は国力と国家のあり方に応じて行なうことだと思います。侵略戦争を行いアジアに大変な被害をもたらした日本は、外国で軍事行動をしないことを決めた戦後の国のあり方である、憲法理念にそった政策で、テロリズムとの戦いをすれば良いと思います。軍事と関連する活動にこだわる必要はありません。