いせ九条の会

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沖縄からの訴え/山崎孝

2006-02-21 | ご投稿
2月19日、朝日新聞「声」欄より

 観光地沖縄の現実の姿見て 大学生(沖縄県宜野湾市 21歳)

3年前、東北出身の私は琉球大学に入学し、寮の友達と話に花を咲かせていると、突然爆音が会話を遮った。驚いて窓の外を見上げると、真っ黒な物体がすぐ近くを飛んでいた。それが米軍のヘリを初めて見た瞬間だった。

今年1月17日、訓練中の米軍F15戦闘機が沖縄本 島東沖に墜落した。2004年に沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落した持と比べ、全国的にはあまり騒がれていない。だが、その戦闘機からは油が漏れ、事故現場の海では大変な被害を被っている。それにもかかわらず、訓練は再び開始され、住民の恐怖は募るばかりだ。

車で走ると、迷彩をほどこした車が追い越していく。高台に登ると、上空の米軍ヘリから人が手を振るのが見える。授業もヘリの音に中断され、地元紙の1面の見出しには「米軍」の文字が毎日のように躍る。これがリゾート地、沖絶のもう一つの姿だ。

この現実と人々は日々戦っている。年間500万人を超す観光客に、沖縄の海だけではなく現実も見てほしい。(以上)

私はこの文章を読んで、2001年9・11多発テロ事件以降に沖縄で起きたことに対する地元大学生の本 土の人々への訴えを思い起こしました。

大学生は朝日新聞記事で、在日米軍の軍事基地や施 設がテロに襲われる恐怖心から米軍基地が集中する沖縄への観光旅行が激減したことに対して本 土の人々に次のような点を述べていました。

沖縄に米軍基地が集中する現状を放任し、また、日本 の安全を図るためと称して安保条約を容認している。ところが安保条約により、もたらされる危険が発生すると、その危険が一番起こるとみなす沖縄には突然こなくなる。これにより土地が米軍基地に占拠されて産業を発展させられなくて、観光産業が支えの沖縄の経済を脅かすようなことを平気で行なうと述べて、本 土人の自己本 位の心と行動を批判していました。

私は次のことも思い起こしました。沖縄の音楽グループ「ネーネーズ」は歌で訴えています。

「平和の琉歌」桑田佳佑作詞・作曲 沖縄詞知名定夫

この国が平和だと 誰が決めたの 人の涙も渇かぬうちに

アメリカの傘の下 夢をみました 民を捨てた戦争の果てに

蒼いお月様が泣いております 忘れられないこともあります

愛を植えましょう この島へ

傷の癒えない 人々へ 語り継がれていくために(以下略)

私たちが沖縄に住む人たちに応えられることは、国家の安全保障を軍事に頼らない心を持つしかありません。平和憲法の示す道を歩むことだとことだと思います。

安保条約は、本 来、日本 の安全と極東の平和のために結ばれたと説明されていました。しかし、橋本 政権とクリントン政権による政府 間協定で、アジア・太平洋の地域まで適用範囲を拡大、現在では世界的な範囲まで拡大しています。

その結果、イラク戦争で空母キティーホークの艦載 機は、5375回出撃し、約390トンもの爆弾を投下して多くのイラク人の命を奪った。三沢と嘉手納の米空軍機も空爆に加わった。沖縄駐留の海兵隊もイラク占領後に派兵された。在日米軍基地は戦争の出撃拠点である。そんな基地の維持費として日本 は年間6万6千億円もの国費を使っている状況になっています。

安保条約の本 来の目 的とは無関係な運用を止めるべきだと思います。

安保条約の第10条(条約の終了)の規定は、「日本 区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を失ったと日本 政府 及びアメリカ合衆国が認めたときまで効力を有する」となっています。この規定をクラウス・シルヒトマン氏は、国連による集団安全保障体制が出来れば安保条約は効力を失うと読み取っています。このことは国連でなくても地域の集団安全保障体制が出来ればよいと思います。

日本 政府 は本 来ならば、武力で国際紛争を解決してはならないと定めた日本 国憲法の精神を生かして「日本 区域における国際の平和及び安全の維持」のための努力をしなければならない立場です。

現在、東アジア共同体構想が話し合われ始めています。しかし、その議題がある「東アジアサミット」(12月)を控えた2005年11月16日の日米首脳会談で小泉首相が「日米関係が緊密であればあるほど、中国、韓国をはじめアジア諸国とよい関係を築ける」と述べたことについて、姜尚中東京大学大学院情報学科教授は、「日米同盟という二国間関係だけが基軸であり、その他のアジア諸国との関係はその従属変数にすぎない」と述べて、日本 政府 は日米同盟にこだわり続けていると指摘しています。

この姿勢が東アジアサミットでは中国と主導権争いを行ない、集団的自衛権行使の出来る改憲に走るのだと思います。