いせ九条の会

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「他国人を殺しに行かせる」権利/山崎孝

2006-02-18 | ご投稿
平和憲法を持つ日本 を「歴史の先行者」と述べたクラウス・シルヒトマン氏を先に紹介しました。「世界」3月号の記事の中で、更に次のように述べています。

日本 に関して言えば、国際連合による集団安全保障の土台となる憲法第9条を維持し続けたことによって、国際法の優位と原則の維持に長い貢献をしてきたといえる。

日本 の戦後政府 は60年の長きにわたり「武力不行使」の政策を掲げてきた。それによって得た国際的な信頼の深さは計り知れない。日本 国民は政治家たちを軌道からはずさないようにし、監視しつづけた。それによって、平和への貢献に重大かつ決定的な役割を果たしてきた。

いったい国家主権をよりどころに「他国人を殺しに行かせる」権利が、どうして各国の政府 にはあるのか、実に多くの人々が問い直したいはずだ。

私は最近、ユネスコ本 部に手紙を送り、「日本 国憲法第9条」を、平和を維持する文化モニュメント、即ち「世界遺産」に指定するようアピールした。

パリのユネスコ本 部からの返答は、以下の通りだった。「ユネスコは参加各国の主権を尊重しなければなりません。したがって、特定国家の憲法についてコメントすることは不適当です。しかし、日本 が今までなして来たように、集団安全保障に向けた思想的、政治的な歩みに重大な関心を寄せることの大切さは、もちろんです」

さて、真の「主権者」たる日本 国民にボ ールは投げ返された。憲法第9条こそ、未来の世代も平和を享受できる、その名にふさわしい「世界遺産」ではないだろうか。(以上)

戦前の日本 は大東亜共栄圏とか自存自衛という国家主権をよりどころに「他国人を殺しに行かせる」権利なるものを度々行使した。しかし、敗戦により反省して国家主権をよりどころに「他国人を殺しに行かせる」権利なるものに封印しました。

戦後、米国は冷戦下では共産主義から自由を守る、近年はテロへの報復及びテロ組織の殲滅と称してアフガニスタンへ侵攻、次いで大量破壊兵器の脅威という嘘をつき、嘘がバレルとフセインの独裁からイラク人の解放とかに大義を変えて「他国人を殺しに行かせる」権利なるものを行使し正当化しました。国連憲章は、いかなる国の領土保全及び政治的に独立した組織への侵害を禁止しています。

現在、自民党政権はこのような米国に同調して、「他国人を殺しに行かせる」権利の封印を解こうとする憲法改定作業を具体的に開始しました。日本 の「国際法の優位と原則の維持に長い貢献をしてきた」歴史の流れに対する大きな逆行です。