女を捨てず・女に甘えず・らしさを活かす

女性スタッフがビジネス社会で実際に体験したことを中心に「見たこと」「聞いたこと」「感じたこと」をありのままお伝えします。

★カラ回りの20代② 「売場実習で学んだこと」

2007-08-21 | 日記・エッセイ・コラム

そんなこんなで社会に飛び出した私・・・。入社後待っていたのは、一年間の販売実習。総合職で入社した女性は百貨店の売り場でFA(ファッションアドバイザー)さんと一緒に自社商品販売をすることが義務づけられていました。

かくして他の同期が本社で楽しそうに新入社員研修を受けているのを横目で見ながら、私たち(大阪では6名の同期女ども)は京阪神の百貨店に出陣しました。

 

配属前の売り場挨拶の際感じたのが

「歓迎されていない!」

なんとなくFAさんの態度が冷たい・・・」

会社からは「一年間の販売実習を通じて、FAさんの現状、顧客の状況をしっかりと観察しなさい。ゆくゆくは本社と売り場の架け橋のような立場で仕事をしてもらうから・・・」てなニュアンスの指導を受けていた私たち。「あくまでも実習(=教育の一環)」という心構えで売り場に行く。一方売り場は、会社から「新入社員を一年間売り場で預かっていろいろ教えてやってほしい」(まあここまではOK)、しかも「実習生が増えた分だけ数字目標が増える」という条件下で私たちを受け入れている。というより受け入れざるを得ないわけです。FAさんからすれば、販売力のない新人を押しつけられたと感じても無理のない話。

実習気分で売り場に立たれたらそりゃたまらんわなぁ!!

ということが今ならよ~くわかる!わかりすぎるぐらいわかる!!でも当時の私にはそんなことわかるはずもなかった・・・。

もちろん、実習生を受け入れられるような店舗だから、店長も心得ていて、会社の将来のためにこの子達を育ててやらねばという気持ちが無いわけではない。でも、販売のプロであるFA、その長である店長としては売り場の数字目標を達成するのが最優先!頭でわかっていても本音のところ迷惑!複雑な気持ちで受け入れてくれてたんだと思う。

自分が歓迎されていないことを実感したエピソードをひとつ。

売り場配属初日(平日でした)。その日の出勤は店長、チーフ、パートのおばちゃん、私の4名。11時半過ぎに、「お昼に行ってくるわ!」と店長とチーフが2人でお昼に行った。どう思います?こういう時って普通は、店長とチーフは別々に行くもんちゃう??だって、戦力2人が抜けたら、なんもわからん私と、販売力はあるけどパートのおばちゃんしかおらんのよ!!でもそんなこと言えるはずもなく、初めてのお留守番。けど、こういうときに限って来るのよ!お客さんって・・・。洋服の販売なんてしたことない、百貨店のルールもわからん、入社初日で商品のことも、サイズ展開も、お直しの仕方も・・・・要はな~んもわからんのです。でも、お客さんが来てしまった!声をかけなくちゃ・・・。

中村「いらっしゃいませ」(と必死の笑顔で声をかけながら、パートさんを探すが、なじみ

のお客様とおしゃべりの真最中で私のことなんか眼中になし)

このあと、商品のこといろいろ聞かれた記憶があるけど、正直なんも覚えてません。

中村「もしよろしかったら、一度ご試着を・・・・」と言いながら、なんとかフィッティングルームへご案内。

ほっとしたのも束の間。お客さんが

「ちょっとウエストが大きいんだけど・・・」

と言いながら出てきました。「お直しなんか私にできるわけないやん・・・」。でもそんなこと言えるはずもない。それよりも

「お直しさえOKなら売れるかも・・・」⇒「売りたい!」

という気持ちがわいてきて、不慣れながらなんとかピンを打ってみようと覚悟を決めた瞬間

「よくお似合いですね!」

の言葉とともに、私の手からピンクッションを取り上げ、流れるような手つきでお客さんのスカートにピンを打つ手が・・・。ふっと顔を上げるとウインクしたチーフと目があった。

私が売場に仲間として迎えられた瞬間でした。

その日の帰り、店長とチーフから「最初はえらい線の細そうな子(私の第一印象だそうです)連れてきて、使いもんになんのかいなと思ったけど、あんたええ根性してるわ!でも、あんな危なっかしい手つきでピン打ってお客さんに怪我でもさせたらどうすんの!!」と最初のお小言。でもその目は笑ってた!(ちなみに初日、スーツ一着とスカート合計13万円也の売上げ・・・)

約1年売場でお世話になったけど、「あんたはいずれ本社に帰る子やから」と店長からは販売のことだけではなく百貨店の裏話や本社と現場とのギャップの話などいろんなこと教えてもらいました(感謝)。

私が社会に出て最初に学んだことは

「受け入れてもらって当たり前ではない!」

「実習生だから、売れなくてもしかたないじゃないですかぁ・・・」という自分本位のスタンスでは通用しないということ。確かに売れなくてもしかたないかもしれない。でも予算達成を目標とする集団に属する以上、予算達成のために自分ができることを精一杯することはあたりまえ。売上げに直接貢献できなくても、他のスタッフの動きをよく見て、ストックへ走ったり、サイズ違いを準備したり、雑用を自ら進んでかってでたり・・・。いくらでもやること、役に立つことはあるはず。受け入れてもらって当たり前ではない。自分ができることを精一杯取り組んだ結果仲間として認められる。またビジネスである以上この取り組みが利益に貢献するものでなければ意味がない。という働く上でとても大切な考え方を厳しいけれどあったかいお姉さまたちに教えてもらった。そんな1年目でした・・・。                     

感謝