ハーモニカ吹き井上のブログ

ハーモニカ吹き養成ブログ
クロマチックハーモニカ、ブルースハープの
プレイヤー井上の練習、演奏の記録。

MALTAサックス修行一直線。

2013年04月29日 | 

「マルタサックス修行一直線」なるタイトルの本が出たことがある。1999年1月のことだ。

体裁はタレント本だが、再読して驚いたことに楽器屋の教則本のコーナーに置かれてもおかしくない内容だった。サックス修行中の若者に向けて書かれているが、技術的な事にも触れていて参考になることが多かった。いくつかご紹介したい。

冒頭マルタ氏は吃音の症状があったことが告白されている。立志物語によくあるところの幼少時の逆境の話かと思いきやちょっと違う。

 マルタ氏曰く。国語の時間に先生に当てられるとそれだけでクラスのみんなが笑うんだよね。子供時代はドモリという劣等感に支配されていた。ある時図書館で「赤面・ドモリを治す本」っていうのを発見した。藁にもすがるような気持ちで隅から隅まで読んだ。僕の人生の中で最もじっくり読んだ。

その本を元に、研究に研究を重ね、試行錯誤の結果自分なりの法則をみつけた。それはまず自分がドモル言葉をリストアップしその言葉の前に別の言葉をつけると比較的スムーズに言えるということ。それから言いにくい言葉は同義語を探して、それに置き換えるのも有効だった。僕のマルタの”ま”は一度口を結ばなければならないどうしてもま、ま、まるたになってしまう。しかし何年何組のまるたと云うと云える。

この話はまるでジャズミュージシャンがフレーズを流麗に吹く方法を模索し、探し当てたことを披露しているような感じをうけた。ジャズは言語だと言うが、発音の障害を乗り越えた経験がマルタの音楽を作ったということ。そこまで本人は言い切ってないが、楽器演奏の経験がある人が読めばそう感じるのでは。

いい音を出すために。「どうしたらいい音がだせるか?、ピッチを安定させるにはどうしたらいいか?両方とも練習しかない。サックスに限らず楽器をやっている人間すべての永遠の命題なのだ。実際にいい音をだすためにはどんなことをすればいいのか。自分の好きなサックス奏者の音をよく聞いてその音をイメージして吹くこと。もう一つテクニック的にはアンブッシュだ。口の筋肉をロングトーンなどで鍛えること。」

マルタはフィル・ウッズの音に感銘を受け、レッスンを受けたことがあると書いている。

ピッチを安定させるにはどうしたらいいか。「これもロングトーン。ロングトーンの練習はつまらないかもしれないけれど、吹奏楽の場合は非常に重要。不可欠。チューニングメーターなどを使うこともある程度のレベルまでは必要かもしれない。しかし、音楽は数字で割り切れるものでもない。」

Malta流簡単読譜術「譜割を形で覚えておく。リズムの構成の基本的パターンはそう多くはない1/2、1、2小節のまとまりで覚えておいて応用する。」

ジャズを吹くには。「意識していろいろなジャンルのいろいろな人の演奏を聴け。一人の人に集中して聞くよりいろいろな表現方法を習得することが大切。」それからこう続くジェリー・バーガンジーの名前を出して彼曰く、「ワンフレーズ繰り返し練習をしろ。大体習得できたと思ったら次に手を変え、品を変えアプローチを変えて練習する。結構つらい練習だ。」

ジェリー・バーガンジーの教則本を買ったことがあるが、おなじようなスケール練習ばかりで面白みがない。あれは修行だと思った。しかし、一つのフレーズからバリエーションをたくさん作れれば表現の幅が増えるということで、効率がいいってことか。

教則本には書いていない「教え」が満載でしかも笑えるエピソードがいっぱいでした。

 

 

 



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