ハーモニカ吹き井上のブログ

ハーモニカ吹き養成ブログ
クロマチックハーモニカ、ブルースハープの
プレイヤー井上の練習、演奏の記録。

ゴールデンウィークに鴻上尚史を読む「ロンドンデイズ」

2014年05月11日 | 

私の若いころ小劇場の演劇ブームっていうのがあったような記憶がありましたね。。私はちょっと素通りしたくらいですから大きなことはいえませんが。

しかし、つかこうへいの芝居は2,3本みました。高田の馬場の線路沿いの東芸劇場って言ったかな。小っちゃい劇場でやってました。その後たくさんの小劇場の演出家や役者がテレビに登場したりして、ブームになったのではないでしょうか。今大活躍の宮藤官九郎や、阿部サダヲなんていうかたがたより少し上の世代でしょうか。

鴻上尚史っていう人については「最近よくNHKによく出るなァこの人。」ぐらいの印象しかもっていなかったのですが、英語についてのエッセイを本屋で見つけて立ち読みしましたら、ロンドンへ留学したことがあるとのことでした。一年間演劇のワークショップに参加するためにです。

言葉もままならない地で演劇のワークショップというのはさぞかし大変なっこったろう。ですね。ましてや日本での十分な地位や名声もあるお方です。その辺の若い人がのぼりに若さと書き掲げて、親のすねかじって行くのとはわけが違います。そのことを本にしたという「ロンドデイズ」

なるほどこの本を書いたことがNHKをはじめとするテレビの仕事へつながってるんだろうなと納得がいきました。

他の本で鴻上氏は「スピーチをするときに何を話すか考えるでしょう。しかしそれをどう表現するかということまでは残念ながらあまり考えられていませんね。もっと表現する方法を考えるとコミニケーションが、あるいはその人の人生が豊かなものになるでしょう。演劇のワークショップはそのためのいい練習になります。」というようなことをいってます。

この本では伝統あるイギリスの演劇の技術というのか考え方を分析していたり、あるいは俳優志望の若者たちとの交流が書かれていたりするわけですが、大人の演出家の視点で突っ込みをいれていくので深味があんです。

一つ一つ演劇を音楽を演奏することに置き換えて考えていくと面白い気づきが得られると思います。

芸術、表現などに携わる人、興味ある人にお勧めですね。あと英語学習に興味がある人にも。英語習得の「戦場にいるのだ。」とまで言っていましたから命がけの留学だったのでしょう。

NHKの「クールジャパン」が倍おもしろくなる。・・かな?

 


深い話 「絶対うまくなるハーモニカ100のコツ」

2013年07月18日 | 

ついにでてしまった。「100の裏ワザ」クロマチックハーモニカ版です。とはいっても出版はリットーミュージックではないので「100のコツ」となっています。出版はヤマハミュージックメディア

著者は関西で活躍する木谷悦子さんです。

クロマチックハーモニカを始めて、1年でFIHのコンテストで1位。同じ年ワールドハーモニカチャンピオンシップ3位入賞。ということですからその習得法はどんなものなのか興味がわきます。特に何年吹いていても上手くならないなぁ~と思っている人は必読でしょうね。

この手の「ハウ・ツー」本は文章だけでそのコツを理解するのはなかなか初心者には難しいと思いますが、練習していく中でなるほどと思うことは多いと思います。座右の書になるかも。

内容はハーモニカを持つ前の段階から、熟練者や実際指導されている方にまで広いテーマが扱われています。というか本質的なところを絞っていくと「演奏の基本は経験年数に関係なく同じ」ということになるのでしょう。

興味を引いたテーマを拾ってみましょう。

(063)「速いフレーズでも音の立ち上がりをよくするには」・・・

これは所属するジャズバンドの練習で「アドリブを吹く時音量がさがるね。」と最近ちょうど指摘されたところなので自分の演奏を振り返るのに良いポイントを得られました。

「速くなった途端に呼吸が浅くなっていませんか?そんなときは横隔膜がうごかせていないので聞いている人に届いていません。」なんてかいてある。 

まさに仰る通り通りです。譜面に目が行っちゃって、姿勢が悪くなってる。

「フレーズが細かくなると顔が動いていませんか?」手も顔も両方動かしてると思うのですが、顔は動かないほうがいいのですね。意識して手を動かす方がいいみたいですね。

精神的な面のアドバイスもあり、読み物として面白かった。「人前で緊張しないコツは?」これは大切だよな。

「自分の演奏を客観的にチェックするときのポイント」だって。これはメモしておこう。

リズムはずれていないか? メロディーの抑揚は感じられるか? 音と音はつながっているか? 音の切れ目は美しいか? 力が入っていないか? 音程は安定しているか? 一音一音がきちんと聞こえているか? 全体のイメージは表現できているか?

なるほどこれらは演奏するときのポイントでもあるけど、他の人の演奏を聴く時のポイントでもあるわけですね。これらをクリアーするにはどれだけ練習すればいいんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


MALTAサックス修行一直線。

2013年04月29日 | 

「マルタサックス修行一直線」なるタイトルの本が出たことがある。1999年1月のことだ。

体裁はタレント本だが、再読して驚いたことに楽器屋の教則本のコーナーに置かれてもおかしくない内容だった。サックス修行中の若者に向けて書かれているが、技術的な事にも触れていて参考になることが多かった。いくつかご紹介したい。

冒頭マルタ氏は吃音の症状があったことが告白されている。立志物語によくあるところの幼少時の逆境の話かと思いきやちょっと違う。

 マルタ氏曰く。国語の時間に先生に当てられるとそれだけでクラスのみんなが笑うんだよね。子供時代はドモリという劣等感に支配されていた。ある時図書館で「赤面・ドモリを治す本」っていうのを発見した。藁にもすがるような気持ちで隅から隅まで読んだ。僕の人生の中で最もじっくり読んだ。

その本を元に、研究に研究を重ね、試行錯誤の結果自分なりの法則をみつけた。それはまず自分がドモル言葉をリストアップしその言葉の前に別の言葉をつけると比較的スムーズに言えるということ。それから言いにくい言葉は同義語を探して、それに置き換えるのも有効だった。僕のマルタの”ま”は一度口を結ばなければならないどうしてもま、ま、まるたになってしまう。しかし何年何組のまるたと云うと云える。

この話はまるでジャズミュージシャンがフレーズを流麗に吹く方法を模索し、探し当てたことを披露しているような感じをうけた。ジャズは言語だと言うが、発音の障害を乗り越えた経験がマルタの音楽を作ったということ。そこまで本人は言い切ってないが、楽器演奏の経験がある人が読めばそう感じるのでは。

いい音を出すために。「どうしたらいい音がだせるか?、ピッチを安定させるにはどうしたらいいか?両方とも練習しかない。サックスに限らず楽器をやっている人間すべての永遠の命題なのだ。実際にいい音をだすためにはどんなことをすればいいのか。自分の好きなサックス奏者の音をよく聞いてその音をイメージして吹くこと。もう一つテクニック的にはアンブッシュだ。口の筋肉をロングトーンなどで鍛えること。」

マルタはフィル・ウッズの音に感銘を受け、レッスンを受けたことがあると書いている。

ピッチを安定させるにはどうしたらいいか。「これもロングトーン。ロングトーンの練習はつまらないかもしれないけれど、吹奏楽の場合は非常に重要。不可欠。チューニングメーターなどを使うこともある程度のレベルまでは必要かもしれない。しかし、音楽は数字で割り切れるものでもない。」

Malta流簡単読譜術「譜割を形で覚えておく。リズムの構成の基本的パターンはそう多くはない1/2、1、2小節のまとまりで覚えておいて応用する。」

ジャズを吹くには。「意識していろいろなジャンルのいろいろな人の演奏を聴け。一人の人に集中して聞くよりいろいろな表現方法を習得することが大切。」それからこう続くジェリー・バーガンジーの名前を出して彼曰く、「ワンフレーズ繰り返し練習をしろ。大体習得できたと思ったら次に手を変え、品を変えアプローチを変えて練習する。結構つらい練習だ。」

ジェリー・バーガンジーの教則本を買ったことがあるが、おなじようなスケール練習ばかりで面白みがない。あれは修行だと思った。しかし、一つのフレーズからバリエーションをたくさん作れれば表現の幅が増えるということで、効率がいいってことか。

教則本には書いていない「教え」が満載でしかも笑えるエピソードがいっぱいでした。

 

 

 


モチベーションのシステム。「やる気!攻略本」

2012年07月04日 | 

ブログの更新をずいぶん休んでしまいました。書きかけの記事もいくつかあるにはあったのですが、すっかりさぼり癖がついてしまいました。

このブログを書き始めたきっかけは、

クロマチックハーモニカの練習法を書いているようなブログがないかと探してみたらあまり見当たらなかった。

ならば自分で書いてみようと思った。

書き始めてみると参考になるブログに出くわすことが多くなった。これもブログを書く効用ですが、もうひとつの狙いは練習のモチベーションの維持でしょうか。最近は書いていて、ハーモニカの上達とあまりむすびついてないなあという不満もあったりしてます。

そんなときに手にした本が面白かった。「やる気!攻略本」(金井壽宏 著)ミシマ社。

著者は経営学が専門で組織論やリーダーシップ論の著書を多く書かれています。

著者曰く、「やる気を出したい出したいと目先の気分をあおるものでなく、自分のやる気のシステムを把握して自分で調整することをねらいとする。」

自分のやる気のシステムを分析して調整する技術を身につけるのがねらい。まずやる気というものは以下の流れがあるらしい。

やる気循環   (1)大きな目的を抱いたことで現状とのズレを感じる。 

          (2)現状と希望のズレを感知して、緊張が発生してしまう。

          (3) 緊張が発生したことで、「不快である」と感じる。   

          (4)「不快を低減したい」と感じる

          (5) 不快低減のために動いていくうちに実現可能な希望や目的をみいだす。

          (6)見出した目的に対してそれを達成したいと感じる。

          (7)目的がかなえられる。   

          (8)満足したり、リラックスしたりする。 

          (9)緩むことがある。

          (10)活動がとまったらより大きな目的を抱くようになる。

細かく分けすぎじゃない?と突っ込みたくなるがなるほどですが、「そういうものかも」とうなずきたくもなる気もします。

これによるとブログを書くという作業は(5)の不快低減のために動いている状態にあたるということかぁ~。

著者は、やる気の流れをこのように理解した後、(5)から次の段階へ進めるための「方針」を獲得するために作文をけといわれます。

1.作文のテーマ「最近気になっていること」「成功したなと思うこと」「失敗したなと思うこと」「好きなこと嫌いなこと」について書く。

自分のやる気は1日2日で掴むことはできないが、継続して自分の方針を書き続ければ自分の感情の傾向を掴むことができ、自分の方針を自分の道具として使うことができるようになる。ということだそうです。

2.次に自分の目的を400字でまとめる作文を書く。

自分の目的をより簡潔化することで明確化する力をつけるのが狙い。一言で目的を言えれば、その方針も見えてくる。

3.緊張したエピソードを400字の作文にまとめる。

緊張を作りだして自分をあおる方法もある。自分の緊張したエピソードなども400字程でまとめることで緊張がモチベーションの源となるこも理解でき、自分の道具とすることもできる。

4.周りと自分のやる気について考えて400字の作文にまとめる。

周りと自分のやる気と云った時に「周りを奮い立たせること」を考える方もおられるだろうし、「上司からの評価について」考える方もあるでしょう。いずれの場合も周りのやる気を活性化させることは困難であるという前提で、周りとのズレを意識しながらその合意や共感の水準を上げていこうという提言がされています。本書の狙いは実はこの周りの中での「自分のやる気」ということにあり、多くの紙面が割かれいます。

ブログを書くという作業を自分のモチベーションにつなげている人は多いと思います。素晴らしい演奏家の日記など、緊張と緩和がバランスよく配置されているようなブログを見つけることもあります。

作文には実際の例文がいくつか掲載されいて楽しめました。巻末には「やる気語録!」300個のやる気の方針が挙げられています。一つ紹介すると

「自分は”どう”わからないのか?」それこそが分かるに至るための”方向”である。

 

 

 

 

 

 

 


ジャズ脳化するトレーニング 松田昌の音楽トレーニング

2012年05月27日 | 

「〇〇脳」なんていういいい方が流行ッていますが、「ジャズ脳」って使われているのでしょうか。教則本のタイトルにつけたらヒットしそうだと思うのですが。

以前面白い動画として紹介したことのある鍵盤ハーモニカの松田昌先生の音楽理論書を入手しました。松田昌の音楽トレーニング

ジャズを志す人へ向けた内容となっていることと、付属のCDがよくある打ち込みではなく生楽器を使っていて飽きることなく聴けることがこの本の特徴でしょう。

Amazon、ヤマハ(版元)では販売終了。セヴンショップでは在庫があったようで購入できました。最近知ったのですが松田氏は審査員として2008年アジア太平洋ハーモニカ大会へ参加されたそうです。鍵盤ハーモニカもハーモニカつながりってことでしょうか。

どの辺がジャズ脳に刺激をあたえるのか?

「メロディーフェイクの方法7種類」「半音ずつあげて12キーで練習しよう」「黒い瞳のコードにいくつかのモチーフを展開させてみよう」「ワンノートサンバの分析」等々・・・。

私のようにアドリブしていると次のコードが分からなくなってしまう人には「アルペジオを弾きながら次のコードを言葉に出して言う」という方法が示されていました。しかしハーモニカ吹いてたら言えないやんけ!とつっこみたくなりますな。

日々の練習課題を引き出すいい虎の巻になりそうです。