ハーモニカ吹き井上のブログ

ハーモニカ吹き養成ブログ
クロマチックハーモニカ、ブルースハープの
プレイヤー井上の練習、演奏の記録。

雨降りだから、ジャズでも勉強しよう。ジャズギターの教則「金字塔」で

2012年05月02日 | 教則本あるいは読書

布川俊樹著「ジャズ・ギターの金字塔」はジャズをこれからやろうと思っている人には持ってこいのテキストだと思いました。ギタリストばかりでなく他の楽器奏者にも有効な部分はたくさんある。CD2枚つき(カラオケはなし)

一般敵なジャズの理論書では、「各コードに対して有効なスケールを確認してアドリブしていきましょう。」としかかかれていなかった。「これではアドリブできないから、メジャースケールでどうやってアドリブしていくか」という発想からこの教則は書かれている。

私が今、手にしたリニュアール版は2008年のもので、オリジナルは遡ること10年の1998年。当時の教則本のなかでは解りやすく他の教則とは一線を画した作りだったのでしょう。かなり売れたようです。

私がこのての教則本をつい手にしてしまう理由のひとつに、解説などに著者の音楽的趣向や音楽への哲学などが覗けると、作者の作品なりライヴなどが楽しめたり、自分の音楽世界が広がったりすることが挙げられます。その点でも面白かった。

もう一冊同じ布川俊樹さんの著書で「ジャズの壁を超える100のアイデア」こちらも面白かった。質問に答える形で著者の音楽観など楽しめるし、ジョン・スコフィールドとの交流などの話は多くの音楽ファンも夢の実現話として、あるいはジャズをめぐる冒険として共感できる話で楽しめた。もっと書いてほしかったこの話。

質問も音楽的なジャズ理論のはなしから、人生相談まで多岐にわたりいくつか上げてみると、

「音楽の聞こえ方、絶対か相対か?師匠はGメジャースケールはソ、ラ、シ、ドと聞こえるのかド、レ、ミ、ファと聞こえるのか?」

これに対する答えは「アドリブ習得には移動ドが便利。譜面を読む場合は固定ドが便利。洗足学園大学ジャズコースのユキ・アリマサ氏はソルフェージュを教える時全て移動ドだと言っていた。」楽器を弾くには固定ド。メロディーを掴むためには移動ドということか?もう一言”ドーでもいい”とも言っています。」

「アウトするってどういうこと?」

その答え「この音列を使ったらどうか?こういうコードを乗せたらどうか?というようにある程度考えながら実験しつつそれが自分のサウンドとして消化していくこと。そのなかでオー!!ってことがある。」

「循環進行のオレオなどのサビで、D7G7C7F7はどのようにフレージングしたらいんでしょう?ミクソリディアンばかりだとカッコ悪でしょ」

その答え「例えば①D7をⅡ-Ⅴに分ける。②G7のところを裏コードをつかってDb7にすると半音進行になる。③マイナーコンバージョンのアイデアでD7のところをAm7にする」・・・など。

「師匠はあの時ああしておけばよかったと思うことはありますか?人生はコード進行のようだと感じています。」

「人生ドミナントだっていいじゃないですか、次はトニックだ。(トニックマイナーだったりして)」とか言いつつまじめに答えています。

読んで練習したくなる本ですね。明日からやるぞ。

 

 


徳永メソッドの教則本 「ポピュラークロマチックハーモニカ」メソッド

2012年04月25日 | 教則本あるいは読書

ポピュラーのハーモニカ教本でここまでの本は他にないでしょう。

谷口楽器で初めて現物を見たので購入する気になったのですが、丁寧なポイントの解説が素晴らしい。ハンドメイドの教則本だからこその作り手の気持ちが伝わりますね。

興味深い記述をちょっと引いてみる。

①胸の中に空気がいっぱいになってしまう時の解決法。

その1、少ない空気の量で効率よくリードを鳴らす。(息漏れの少ないハーモニカを選ぶことが大切)

ここでは鼻から息を抜くことの重要性も書かれていました。

②ハーモニカのタンギング

TuTuTuTu,KuKuKuKu,FuTuFuTu全部ちがうタンギング。その場その場で明確な使い分けがされているのでしょう。直接レッスンを受けている方は、細かく指摘されたりするんでしょうね。

③ビブラート

腹式ビブラートとベンドビブラート。それらの複合ビブラート。徳永サウンドの1番の特徴でしょう。複合っていうところが凄い。

徳永メソッドの特徴だと思うのはテクニックとテクニックの掛け合わせで二乗の効果を狙うというところ。

④サブトーン

ハスキーヴォイスというのか、かすれたような音。

⑤スケール練習

私にとって一番重要だと思うところは、スケール練習です。十分なエクササイズが載っています。

「12キーですべて書き直していますが、慣れてくれば C のページを見て全てのキーに頭で移し替えながら練習してください。」

アドリブするのに苦手なキーはそのキーで十分歌えないということなんだと思う。どんなキーでもCキーで歌うときのように

自由に歌えるようにするための練習をこの教材で身につけますよ。明日から(・・・ほんとか?)

 


宮沢賢治のジャズ

2012年03月30日 | 教則本あるいは読書

小学校の国語の教科書にも中学の教科書にも宮沢賢治は登場した。図書館や学級文庫にもあった。映画化やドラマ化された作品もあった。ごくごく身近な所にあったが、自分から手にとってみようとするには、説教くさいというかそんな匂いがしていたので避けてきたように思う。

最近「セロ弾きのゴーシュ」を読んでみたくなった。粗筋ぐらいは知っていたから。

活動写真の楽団のセロ弾きのゴーシュは楽団の足を引っ張るような演奏ばかりしていて団長に怒られてばかりいる。一人で部屋で練習していると、狸やハトが練習を覗きにくる。ゴーシュにはうっとうしい来客達だが、彼らは実は楽しんでいた。そしてゴーシュは上達していき、拍手を浴びるほどまでの演奏ができるようになる。

練習を冷やかしに来る動物たちとのやり取りのなかに、演奏する者と、聞く者の間にある音楽の意味についてヒントがこめられている。

そんな大人のファンタジーに読めた。

宮沢寛治の詩や童話の中にジャズという言葉が登場する。

詩のタイトルにもなっている「ジャズ、夏のはなし」。ゴーシュの言葉にある「馬車屋のジャズ」はどんなじゃずだったか?

この疑問から出発する一冊の本があった。「宮沢賢治ジャズに出会う」。

これはNHK週刊ブックレビューで紹介されて記憶にのこっていたのだが、図書館で借りて読んでみた。

ジャズ好きの作家が書いた「日本のジャズ史戦前編」というところで、興味深い話がいくつもあった。

ペリーが来航した時連れてきた楽団はミンストレル・ショー(黒人の楽団だったらしい)で、フォースターの「ネッドおじさん」「主人は冷たい土の中」等の曲が演奏されたらしい。(当時のパンフレットから)

冒頭部分、賢治の作品「ジャズ、夏のはなし」を引用し、ジャズならではの躍動感を感じとって一冊の本を書いてしまったジャズ好きの作家のエネルギーはすごい。

賢治の詩「岩手軽便鉄道 七月(ジャズ)」について筆者はこういっている。

「疾走する蒸気機関車の姿を描きながら、まさに「ジャズ」演奏の流れそのものをリズミックに描いた名作のジャズ詩だと言えるだろう。」

   とび乗りのできないやつは乗せないし

   とび降りぐらゐやれないものは

   もうどこまででも連れて行って

   北極あたりの大避暑市でおろしたり

  ジャムセッション事を歌っているかのように聞こえるのは筆者奥成氏ばかりではないだろう。 

 

 

 


僕の音楽物語(平野肇)

2011年12月31日 | 教則本あるいは読書

「僕の音楽物語(1972-2011)」本屋でぱらぱらと立ち読みしていたら、カーティスクリークバンドについての記述があったので買って読むことにした。著者の平野肇氏はユーミンのツアーバンドや、リリィのバイバイセッションバンド(坂本龍一氏もいたそうです。)のドラマーをされたり、作詞家として徳永英明氏や柳ジョージ氏に詩を提供されたそうです。

カーティスクリークバンドは八木のぶお氏のハーモニカと栗冠(さっか)利郎氏のサックスをフロントにしたフュージョンのバンド。八木のぶお氏をバンドにさそったのは平野氏本人だったそうです。

1977年頃のテレビでパイオニアコンポーネントのCMにカーティスクリークバンドの曲が流れていた。当時ハーモニカの音だと認識できたのかどうか定かではないけど、アメリカ西海岸の映像とTV画面の下の方に出ていたバンド名はしっかり記憶に残っている。数年後CD化されたものを入手したり、中古レコードやで見つけて2枚ほど買った記憶がある。

平野肇氏の70年代ドラマーとしての仕事はこの本に登場するアーティストの顔ぶれを見ればかなりの売れっ子であったことが想像される。松任谷正隆やユーミンをはじめブレッド&バター、吉田拓郎、細野晴臣、‥等。

スタジオでの仕事を通してのスターの様子が断片的に少しずつ語られているだけだが、当時の自分の気分とかレコードの音に込められていたものが読書で感じられる独特の読後感があった。

著者はその後、作詞家になり小説までも書き出すのだが、人との出会いによって生業が変わっていく様が、本当は才能豊かな人なんだろうけどそれをひけらかす風でもなく書かれていて小気味いい。

しまいこんだ昔のレコードから平野肇氏の名前を探してみたくなった。

カーティスクリークバンド 


立ち読みでもためになる「ジャズピアノがうまくなる理由ヘタな理由」

2011年12月02日 | 教則本あるいは読書

ジャズピアニストが、ピアニストのために書いた虎の巻(・・古いな)

これは立ち読みでもなにかヒントをつかめるかも。

目次を見ただけでも

メロディのフェイク加減が分からない、 ブルーノートがうまく使えない、 スケールの使い方が分からない、 裏拍に自信が持てない、 ソロが単調になってしまう。

などの問題点に著者堀秀彰さんがワンポイントのアドバイスとCD付で説明されている。

ハーモニカを吹くうえでも参考になるし、アンサンブルでのピアニストとのインタープレーに役立つでしょう。

たとえばひとつネタをバラすと、

ソロが単調になる。どう対処するか・・・・。

1、シンプルなアドリブから始める

2、音域を広く使う。

3、リズムに注目し、リズム自体をモチーフに使う。            

明快な言葉でアドバイスされると自分でも挑戦してみたくなりませんか?リットーミュージックから出版で 1800円。