小説を書くとか、ホームページを始めるとか、それは心の中に小さな囲炉裏ができたようなもの
そこに炭や小枝などを準備するのに3年かかる、それから種火が付くまでに3~5年かかる
一度火が付いてしまえば一気に燃え上がる
それが私の創作パターン、何しろ時間がかかる
父の人生に興味が湧いたのは30年以上も前のこと、小説に書こうと思ったのは20年くらい前
それから少し書いたけど中身が無くて、あらすじみたいなミニ小説
それから本気になって、父の家系や先祖を東京や関東一帯の市役所に問い合わせて200年前
まで知るようになった。
父にも人生のポイントポイントを何百回も聞いて、ノートにメモった
今や資料はA4で数百枚に及ぶ、和紙の綴りに短編を5冊書いた、そして5年ほど前からいよいよ
長編に挑戦、1年で前編350ページ書き上げた、そして後編も200ページほど出来たところで
心に迷いが生じた(おれは一体父の何を書きたいのか)
波瀾万丈の人生、次々と試練を乗り越えて成長していく姿はたしかにサクセスストーリーとしては
面白いが、中身が空っぽ。
それでもう1年間、ペンは止まったままだ、今改めて考えている、すべて書き直そうと思って居る
私が本当に知りたかったのは、93歳間近になっても、長男で仕事のパートナーの私にさえ心を開かない
ましてや他人には尚更、そして一度も大声で笑ったことが無い理由、ギャグのギャの字も無く
歌った姿も見たことが無い、そのくせナイスガイで80歳頃までは年下や若い女性にもてた父
茶目っ気もあって、差し入れお断りの看護婦さんの控え室にショートケーキを50ヶも買って
持って行って大歓迎された現場も見た。
こうしたギャップの大きい人生を、その心根を探って書いてみようと思うようになった
今は再び、そうした父の人間形成の過程を時代毎に書き出す作業をしている
一方、仕事でも最後のプロジェクトにむけて走り始めた、この二つを平行線で進めていくのは
容易でないけれど、一つ毎に集中できず、すぐに飽きてしまう性格には、こうした複数の事柄を
同時にやるのが私には合っている、こんどこそ魂の小説が書ける気がする。