シリアからアメリカ軍を撤退させるというドナルド・トランプ米大統領の決定に議会から反発が出ているという。
昨年12月にもトランプはアメリカ軍の撤退を決めたが、この時は議会だけでなく政府内からも反発が出た。
ジェームズ・マティス国防長官が辞任したほか、マイク・ペンス副大統領、ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官、マイク・ポンペオ国務長官の好戦ラインのほか、シリア特使だったジェームズ・ジェフリーも大統領と対立、撤退は立ち消えになった。
撤退が議論になる理由はアメリカ軍がシリアにいるからである。
シリア政府の要請があったわけでなく不法占領、つまり侵略しているのだ。
バラク・オバマ大統領は他国を勝手に空爆した上、地上軍を送り込んだのである。
アメリカ軍を送り込まなければならなかったのは、2011年3月から手先として使っていたサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とする傭兵の敗北にある。
この傭兵はAQI、アル・ヌスラ、タハリール・アル・シャーム、ダーイッシュ(イスラム国、IS、ISIS、ISILとも表記)といったタグをつけているが、
アメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、カタール、トルコなどに雇われていた。
アメリカ軍は空爆で傭兵部隊を支援する一方、シリアのインフラを破壊してバシャール・アル・アサド政権を倒そうとしたわけだ。
当初の予定ではリビアのケースと同じように大規模な空爆を実施するはずだったのだが、
シリアではロシアが立ち塞がる。
2015年9月末にはシリア政府の要請でロシア軍が介入、アメリカ軍と違って本当にアル・カイダ系武装集団やダーイッシュを攻撃し、敗走させた。
慌てたアメリカなどは傭兵が支配していたシリアの北部を政府側に渡さないため、クルドと手を組む。
クルドはアメリカの甘言に乗ったのである。
アメリカはクルドを使い、シリアとイラクにまたがる地域に一種の「満州国」を作ろうとしたとも言える。
こうしたプランにアメリカの議員が執着している理由のひとつはイスラエルの戦略。
イスラエルやサウジアラビアはイランを制圧しようとしている。
アメリカの議会は多額の資金をイスラエルへ流しているが、その一部が議員の懐へ還流している。
カネ儲けのためには親イスラエルである必要があるわけだ。
それだけでなく、ジェフリー・エプシュタインの事件でも明らかになったが、イスラエルの情報機関は有力者の弱みを握り、操ってきた。
弱みを握られた議員は少なくないと見られている。
メディアの中にも弱みを握られた人物が少なくないと言われているが、カール・バーンスタインが明らかにしたように、
情報機関と結びついている記者や編集者のネットワークが存在している。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
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