冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

谷川連峰主脈縦走 その3

2017-07-22 10:06:10 | 旅行
思いのほか写真が多くて3つに分けることになってしまいましたが、縦走記事の最後です。
谷川連峰主脈縦走路の最高峰である仙ノ倉山の山頂。おにぎりなどで栄養補給し、十分休憩を取りつつ絶景を楽しみました。あとは平標山への道を残すのみ。そして、平標山山頂直下には、ご褒美となるハクサンイチゲやミヤマキンバイ、ハクサンコザクラのお花畑があることが分かっています。それでは、まず仙ノ倉山山頂から木道を下ります。


この風景だけでも素晴らしい。この時期に大人気のエリアなのは納得である。ただし、なかなか晴れない。今回の山行はとてもラッキーで、神に感謝である。


マツダランプの標識もいつの間にか東芝ランプに変わり、肩の小屋からの距離も10kmに達していました。


続く稜線美。




そしてお花畑へと突入。








実はチングルマもお花畑に存在していた。ハクサンイチゲが大群落を形成しているので、色の同じチングルマは目立たなくてちょっと可哀想。






最後のピーク、平標山に到着。疲れもだいぶ癒された。


このまま下山してもいいのですが、翌日は日曜日なので平標山の家のテント場にテントを張ってゆっくり過ごす予定です。平標山の家への道は、ひたすら階段を下ります。途中は残雪も結構ありました。


ひたすら下るのも結構こたえる。


左手には、仙ノ倉山への稜線が見えます。さらに下っていくと山頂は稜線の影に隠れてしまいますが。


この道にもお花は咲いています。4年前に来た時にはウラジロヨウラクを多く見た記憶があるのですが、今回はイワカガミやミツバオウレンが多かったです。




標高を下げてくると、稜線の先にエビス大黒ノ頭も姿を現しました。


そして、山の家に着いてみると驚いたことにテント場はほぼ満員。ちょっと無理してようやくスペースを見つけることができたので事なきを得ましたが、もう少し到着が遅かったら危なかった。どうやら、平標山と仙ノ倉山だけを登ってゆっくりとキャンプしながら楽しむパーティが多いようです。日帰りが主流だとは思うのですが、確かにお天気がよければまったり楽しい週末の過ごし方でしょう。

夕暮れ前に簡単にパスタとミネストローネの夕食を取りました。隣では大人数のパーティが豪華にいろいろ調理していた。まあ、そういう山旅は求めていないのでいいのですが、ロングルートで3泊以上する時には食事の内容にももう少し気を使った方がいいかもしれません。栄養的に。


位置的に夕日を見るなら平標山の山頂まで登り返さないといけないと思うので、それは諦めて少しだけ登って景色を楽しみました。夕日は平標山の向こうに落ちていくようです。


北西方面の空。夕焼けています。


オレンジ色に染まる苗場山が綺麗。


主脈稜線方面はそれほど染まりませんでした。


山の家に帰る途中に階段から撮った写真。テント場がいっぱいなのが分かる。


夕日を浴びる山の家。


山の家にある鐘と背後に主脈稜線。


テント場はいっぱいでしたが、夜は特に問題もなくゆっくり休むことができました。そして翌朝。見事にガスっている。


流石は谷川連峰。簡単にはよいお天気は続きません。この日は三国峠まで歩く予定ですが、元々稜線の美しさはについては前日までの主脈縦走で十分堪能していましたから、道すがらお花を楽しめばよいということにします。で、少しゆっくりとコーヒーなどを飲んだ後の6時頃に出発。
ベニサラサドウダンやイワナシが登場しますが、このルートのメインはアカモノとムラサキヤシオでした。










ムラサキヤシオはこれまでほとんど見たことがなかったツツジです。日本海側の山に多いようで、関東近辺だともう少し青紫っぽいミツバツツジが主流です。ムラサキヤシオは完全に赤紫。
展望の開けるところから。仙ノ倉山とエビス大黒ノ頭が確認できます。




基本的には樹林帯で、ツマトリソウやツバメオモトが見られます。イワカガミも相変わらず可愛い。






ルートはずっと基本的にこんな感じ。


ウラジロヨウラクも出てきました。まだ咲き始めといった感じ。でも、前に登った時に見た花が出てきてくれると何となく嬉しい。知り合いに再会した気分。






このルートにこの時期多かったのはアカモノです。アカモノロードと言えるようなところが結構あります。可憐で贔屓の花なので嬉しい。






アズマシャクナゲも時々出てきます。


赤の濃いウラジロヨウラク。


ルート上には雪の残っているところも。


この日のルートの中では唯一のピークとなる大源太山が見えてきました。


この標識の直ぐ足元には、マイヅルソウの群落があります。マイヅルソウもルート上に多く咲いていました。






特に疲れていたわけではないのだけれど、やはり前日の縦走が効いているのか結構体が重く、この日の歩みはゆっくりでした。大学生6名程度のパーティに簡単に抜かされつつも、なんとか山頂に到着。幸いなことにガスがちょっと晴れていて、山頂からは昨日の縦走路を見渡すことができました。正面の平標山、仙ノ倉山。


エビス大黒ノ頭、万太郎山と続き、一番奥に谷川岳。


ザックを下して少し休憩して顔を上げると、これらの稜線の景色は再びガスの中に隠れていました。一瞬出てきてくれたのですね。山々と神に感謝です。
さて、大源太山を後にしていよいよ三国峠に向かいます。それにしても、昨日から続く確実にピークをたどって巻き道のないルートなため、アップダウンが結構激しくて消耗します。この日は3時間半程度の気楽なハイキングのつもりだったのに、実は結構な負担でした。特に、途中のピークである三角山に至ってその後全般的には下りながらもアップダウンが結構ある地点があり、そこを歩いている時には「どうせガスなら三国山はピークハントしないでそのまま三国峠に下山すればいいや」、という気になっていました。

それでもムラサキヤシオの廊下とかあると嬉しい。


なかなかアップで撮るのは難しいけど。


シラネアオイもありました。何だかんだ言ってもお花は豊富ですね。


で、結局三国山は登らずに素直に下山です。三国峠への下山路は木道が整備されていて危険はないのですが、疲れからなのか気が抜けたのか、花の写真を撮った後に歩き始めた直後に一回スッ転びました。いかんいかん。。。
このルート、三国山の辺りは7月にはニッコウキスゲの大きなお花畑が出現するそうで、その時期に行ってみたい気がします。まあ、車がないとアクセスはよくないですけどね。
この縦走中の今年の6月のお花は木のものが多く、レンゲツツジやウラジロヨウラク、標高が下がってくるとタニウツギやヤマツツジが多かったです。








そして、昔から交通の要衝として重要だった三国峠に到着です。神社があり、この峠を通った人の名前が掘られた碑もあります。




三国といいますが、実際には新潟県と群馬県、越後国と上野国の2つの国の境です。江戸と越後を結ぶ三国街道にあり、名前は三国山から来ているとか。今は関越自動車道とかあるけれど、当時は馬か自分の脚で江戸から越後まで歩いたのだから立派です。
ここでしばし休憩。後は15分ほどの下山を残すのみ。大学生のパーティは三国山を登ってから追いついてきましたが、山頂はガスガスだったとのこと。行かなくて正解だった。最後の下山ルートは広葉樹の森で、沢の音が聞こえる上信越の森の雰囲気でした。


下山したところにある標示。


さて、最後の下山を終えると現在の三国街道、国道17号線に出ます。ここは大型のトラックやタンクローリーも通っていて恐いのですが、バス停は30分以上歩いた西部クリスタルというリゾートマンションのところまでありません。車の邪魔にならないように歩き、バス停に着いたものの10:10のバスは3分ほど前に出たばかり。次の11:05のバスに乗って11:52に越後湯沢に着きました。
越後湯沢は温泉町ですが、公共交通機関利用の旅行者場合は駅ビルの「ぽんしゅ館」に併設されたお風呂が便利です。何やら少しだけ日本酒を混ぜたお湯というのもミステリアスでよろしい。


と言うか、越後湯沢の駅は完全に新潟特産品テーマパーク状態です。


お土産も、お菓子などの定番ものから漬物やお蕎麦、当然のごとく多くの種類の日本酒(利き酒コーナーあり)、工芸品など一通り揃います。食堂も充実していて、回転鮨、ラーメン、イタリアンなど多彩。私は並ばないで入れた食堂で、写真の豚丼を食べました。下山後は肉が欲しくなるというパターンだったので。


今年の夏の登山旅行は、ずっと興味のあった谷川連峰主脈縦走で幕を開けました。お天気も全体的には恵まれていました。晴れるべき時にしっかり晴れてくれて、山に愛されている感じでした。お花は、この山域の実力から言えばまだまだ咲き始めだったのでしょう。7月に再訪することがあってもいいですね。その分、雪解け直後の6月は稜線美が最高でした。また、谷川岳肩の小屋も平標山の家も、小屋番さんが親切で過ごしやすかったです。
谷川岳は南アの北岳と並ぶ贔屓の山。馬蹄形もいずれはチャレンジすることになるでしょう。後は、冬に白毛門から谷川岳東面の快晴の図を見てみたい。興味の尽きない山域です。