冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

谷川連峰主脈縦走 その2

2017-07-19 21:03:44 | 旅行
主脈縦走をして思ったこと。なぜこんなにも実直にピークを踏むルートなのか。普通は縦走路と言っても小さいピークなどは巻き道があることが多く、稜線のデコボコを完全になぞるものは少ないと思います。しかし、谷川連峰は真面目に稜線を行きます。想像するに、巻き道は豪雪とその雪解けのせいで崩れてしまうのではないかと思います。そのため、結局は完全に稜線をなぞるルートになるのではないかと。まあ、想像ですが、実際に歩くと確実にアップダウンがあるので疲れます。

愚痴はともかく、せっかくのお天気に恵まれた山行。楽しまないのはもったいないです。谷川岳の影が映る主脈の縦走に出発。


まずは、オジカ沢の頭というピークを目指します。200メートルくらいのアップダウンです。既に稜線にはお花が多いですが、種類はこの時期ではまだ限られていました。ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、イワカガミ(ヒメイワカガミという種類でしょうか)、ユキワリソウ、ミツバオーレンなどです。








これはコメバツザクラかな。去年八ヶ岳の横岳稜線で見たのと似ている。


暫く行くと中ゴー尾根への分岐があります。これを下る人は少ないのだと思うけど、下った先の沢の名前が谷川なのである。恐らくは谷川岳の由来。


ヤマレコレポートにもよく出てくるマツダランプの標識。


振り返ると、谷川岳から一ノ倉岳方面への稜線。まだ太陽はその後ろに隠れています。




アズマシャクナゲ登場。まだ元気に歩いています。


オジカ沢の頭の手前は鎖もある岩場で、気を使うかなり危険な感じのところでした。そんな場所があるとは知らず、さらに高齢の4名パーティがいて狭い道で渋滞したこともあり、ストックをしまうこともできずに難儀しましたが、何とか約1時間でピークに到着。ほぼコースタイム通り。テント泊装備だということもあり、それほどペースは上げていません。


これから進む方向には万太郎山が大きく見えます。谷川連峰の稜線らしい、クマザサが多くて岩岩しくなく、メルヘン感ある稜線美を早速堪能。まあ、累積すれば万太郎山までだけでも500メートルくらいのアップダウンがあるんじゃないかと思うので、楽ではなさそうですが。


ちょっと視線を左側に転じると、残雪の多い谷が美しい。


こっちには道がありませんが、南側はこのような感じ。見えているピークは川棚の頭というところでしょうか。バリエーションルートはあるのかな。冬季は気象条件は厳しいだろうけど、スキルのある人なら行けそう。あのピークから主脈を眺めるのも絶景でしょう。


そして、振り返ると太陽が谷川岳の上に上がっていました。雲海が美しい。


空気が澄んでいて、富士山も見えました。


軽くパンを1つ食べて、次の小ピークを目指します。オジカ沢の頭直下には避難小屋があります。主脈には幾つかこのような避難小屋があり、私のように肩の小屋に泊まらない場合はこれらのうちどれかを利用することになります。まあ、トイレがないのが私としては不安で使いたくなかった。


小障子ノ頭、大障子ノ頭と続く道は比較的緩やかなアップダウンが続く美しい稜線です。




ちょっと左右を見ても、やはり美しい。




お花は相変わらずイワカガミなどが主体。


ピークを登ったという感覚はなく、アップダウンの多い稜線をひたすら歩いていたら着いたという感じの小障子ノ頭。


ここから向かって左側、南方の景色。


これから向かう稜線。万太郎山きつそう。


まずは大障子ノ頭を目指しますが、こんな感じの登りです。大したことないと見るか。縦走中だとキツく感じるものですが。


お天気がいいので文句は言えません。ハクサンイチゲも美しいし。


振り返ると谷川岳からはだいぶ歩いてきた感じ。一番左手の双耳峰が谷川岳、その手前、すぐ右に見えるのがオジカ沢の頭。中央奥には尾瀬の燧ケ岳や日光白根山と思われる山々が見えます。


ちょっと南側に目を転じた図。こういった絶景を楽しみ、写真を撮りつつ登り続けます。


そして、やっと大障子ノ頭に到着。若干コースタイムより遅れ気味。まあ、景色的には気持ちよく歩いています。小鳥の声も聞こえて楽しい。しかし、経過時間が示すように決して楽ではない。


このピークからも再び富士山。手前の山々は奥秩父山塊ですかね。


向かう先の万太郎山。だいぶ大きく見えるようになりました。よく見ると、いったん大きく下ってから登り返す道が分かりますね。まったく。


そして、大障子ノ頭を越えると今回最大の難所が出現。肩の小屋の小屋番さんにも教えていただいていたのですが、登山道が崩壊して滑りやすい(谷底まで行ってしまう)ところがあります。黒い岩の右側を巻くような形で迂回路の踏み跡があるはずだから、そこを通るようにということでした。ところが、それが見つからないままに難所の真上に出てしまいました。少し戻っても迂回路は見つからず、大障子ノ頭まで登り返すのも億劫。ということで、雑草をつかみながら岩を滑るようにして難所を通過。これは通過後に振り返って(上を見て)撮った写真です。これだと伝わりにくいですが、この下は崖です。というか、この部分が既に崖ですが。テント泊装備を背負っての通貨はかなり無理があり、本来は時間をかけてでも迂回路を探すべきでしたが、後続の方々もほとんどこの難所を滑り降りているようでした。まあ、事故がなくて何より。


一息ついて、再び歩き始めます。進行方向右側には越後湯沢方面の町が眼下に見えます。


左は相変わらず残雪の多い谷を挟んでの絶景。


正面には万太郎山。登り返しがキツイ。


振り返ると太陽はかなり上がっていました。左手前のピークが大障子ノ頭です。


ここでミヤマキンバイ。


そして、苦労の末にやっと万太郎山に登頂。時間的にはちょっとだけ巻き返していて、出発地点から計算するとコースタイムとほぼ同じくらいでここまで来ています。実際には、万太郎山の山頂はここから3分ほど歩いた先なのですが、ここは土樽方面に下りる道との分岐になっていて少し開けているので、この時点では万太郎山の頂上だと思って写真を撮っていました。これは歩いてきた道。谷川岳が既にかなり小さい。疲労感を裏付ける距離感である。


北側は、谷川連峰の馬蹄形縦走路にある茂倉岳からの尾根が見えます。豪雪地帯で削られるのか、迫力ある尾根ですね。遠くに小さく見えるのは八海山とか越後駒ヶ岳だろうか。


少し拡大。


進行方向にはエビス大黒の頭を経て今回の最高地点である仙ノ倉山。奥には残雪が多い、平べったい形の苗場山。苗場山がかなり大きくなってきました。夜明けにオキノ耳から見た時には凄く小さかったのに。と言うか、ここに来て初めて仙ノ倉山が見えるようになりました。


他の登山者の方が来られて少し混んできたので、本当の山頂に移動。自撮りなどして15分程度休憩。




これから行く道。先行者がまずは万太郎山を下っているのが見えます。先ほど、進行方向として見ていた仙ノ倉山は見えませんね。それはその右奥、だいぶ先にあるのです。


ここからは、いったん400メートルほど下ってから450メートル以上登り返すという、主脈縦走路最大のアップダウンが待っています。既にアップダウンの稜線をテント泊装備を背負って3時間半ほど歩いてきているので、心の萎えるところです。
しかし、このお天気は素晴らしい。景色を楽しみながら歩かない手はない。実際には、この頃には新潟方面(北側)からの風に乗って夏雲がかなり上がってきており、いずれガスに巻かれることは予想できましたが。まあ、それでも稜線歩きを引き続き楽しみます。




シラネアオイが少しだけ残っていてくれました。違うお花が出てくると嬉しいですね。特にこういうちょっと存在感のある大きめの花は。


ハクサンイチゲは多いので、背景の決まる写真を狙って撮る。


万太郎山から下っている最中に、ガスが稜線まで上がってきました。北からの風は冷たく、火照った体には気持ちいいですが、視界を奪われるのは辛い。


稜線からの景色も徐々にガスの中へ。。。9時ぐらいでした。これから2時間程度はガスに支配されました。


そうなると、稜線美を楽しむのではなくてお花を探す旅に早変わり。相変わらず多いのはイワカガミ。


アカモノも登場。好きな花です。


これは特定できず。


ミヤマキンポウゲも結構増えてきました。


ついにハクサンコザクラも登場。この後、平標山ではハクサンイチゲと一緒に群生しているはず。


タテヤマリンドウも。数はあまりなかったと思います。まだ時期的に早かったのかも。


ツガザクラ。


標高1,954メートルの万太郎山から、いったん1,568メートルの最低鞍部まで下り、そこからはエビス大黒ノ頭に登り返しです。すでにかなりヘロヘロ。登りはもちろんですが、下りもぬかるんだ道で滑らないように注意して歩く必要があったりして、体力を削られるのです。そんな中やっと到着しましたが、まだこのピークを越えてからいったん下って、最高地点の仙ノ倉山2,026メートルまでの登り返しが待っています。谷川連峰主脈、日本アルプスの縦走に劣らぬ厳しさです。いや、風景は超絶癒し系の天国稜線&お花&小鳥の声なんですけど。


しかし、エビス大黒ノ頭を過ぎたあたりで風向きが変わり、南側の群馬県方向から強い風が吹き始めました。すると、みるみるうちにガスが晴れていきます。


進行方向。本日のボスキャラ、仙ノ倉山がガスの中から登場。まさに満を持してのボスキャラ登場シーン。かなり手強いのだろう。緩やか稜線に見えるものの、ここから100メートルくらい下ってから250メートルくらい登り返すのだから、既に披露している体にはかなりの試練。


北側の新潟県は雲の下。稜線からは雲海が美しくてありがたい。


振り返るとこれまで来た道。雲がある稜線のシーンは迫力ありますね。


南側の群馬県側は快晴。


そして、仙ノ倉山直下の避難小屋のところまで来ました。途中でバイカオウレンやアズマシャクナゲに癒されつつ、疲労がピークに達して避難小屋前のクマザサの平地に寝転がって5分ほど休憩です。




ここから眺めるボスキャラ。もう少し小さくてもいいんですけどね。まあ、迫力満点。ありがとうございます。


歩いてきた道。見えるのはエビス大黒ノ頭。


その奥には雲の上に万太郎山のピークが見えます。まあ、疲れて当たり前だよ。このルート。


休憩を終え、意を決して仙ノ倉山を登ります。ゆっくりペースで。できるだけ立ち止まらず、とにかく一歩一歩。途中でお花が綺麗だと写真を撮るのを口実に30秒くらい立ち止まります。








南側はクマザサが見事。


まだまだ山頂は遠い~。


振り返ると美しい稜線。この主脈稜線の縦走もファイナルパートが近い。感無量である。


そして、ついにボスキャラの仙ノ倉山登頂です。12時半頃だったでしょうか。まだ平標山を経て平標山の家のテント場まで歩かなくてはいけませんが、この時点で縦走としては既にハイライトを迎えました。達成感。


進行方向の平標山方面。山歩きを始めた2013年の6月に、平標山に登って仙ノ倉山まで高山植物を楽しみました。人が少ない主脈縦走路と違ってこちらは相変わらず人も多く、木道も整備されていて天国感が漂います。


山頂は360度の大展望台です。北東側のシーン。巻機山や越後駒ヶ岳なども見えています。






歩いてきた谷川岳へと通じる道。奥には白毛門や笠ヶ岳など、谷川岳東面を望む山々も。




西側の平標山方面。


クマザサ越しで見る山頂からのシーンは、独特の美しさ。谷川連峰ならではですかね。飯豊山脈とかも似ているのかなあ。行ってみたいなあ。




見上げると夏空でした。まだ6月前半ですけどね。梅雨の晴れ間。


泥だらけになったシューズ。お疲れ様です。前回の甲武信ヶ岳から、この新しいドロミテのシューズに変えています。


さて、休憩しつつ山頂からの絶景を楽しんだら、最後のピークである平標山へと出発です。と、ここでGooの写真枚数制限に引っかかったので、いったんアップです。谷川連峰主脈縦走シリーズはその3に続きます。