冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

谷川連峰主脈縦走 その1

2017-07-02 21:08:36 | 旅行
以前からとても関心のあった谷川連峰主脈縦走。特に高山植物の綺麗な時期に、この豪雪地帯ならではの稜線美&お花畑を楽しみたいと思っていました。谷川連峰は贔屓の山域です。
今年は雪が多く残っているせいもあってアルプスなどでは実質的な登山シーズン入りが遅れているようですが、谷川連峰はそれなりに雪も溶けていて危険度も例年並みのようでした。そこで、6月16日の金曜日に有給休暇を取得し、その週末と合わせて挑戦です。車があれば日帰りも可能のようですが、公共交通機関利用の場合はどうしても入山が遅くなるのと、どうせならゆっくりと贔屓の山の中で過ごしたいという気分でもあったので余裕のある日程にしました。あとは、天気の読みもあります。梅雨に入っていたので2日続けて晴れというのは難しい状況で、自分の判断で土曜日は晴れると踏んでその日に縦走できるようにしました。

さて、今回は急登で有名な西黒尾根を登ります。これまで、谷川岳には積雪期に4回登っていますが、いずれもロープウェイを利用した天神尾根ルートでした。今回は無雪期でもあり、本丸の西黒尾根ルートを取ります。まずは登山センターのところで水の補給。谷川連峰は稜線に水場がほとんど存在しないので、スポーツドリンクと合わせて4リットルほど担ぎ上げることにしました。このため、ザックの重みは17キロを優に超え、昨年の南アルプス縦走4日間(5日目は2時間の下りだけ)と似たような重さになりました。試練ですな。


それでも、前回の甲武信ヶ岳のおかげで多少は体が慣れてきているのか、少なくとも序盤は順調に進みました。早速西黒尾根に入ります。11時少し前でした。


新緑が美しい森です。小鳥の声も聞こえて気持ちがいい。


が、噂通りの急登である。ちなみに、標高差は1,200メートル程度ですから、楽ではないですが無茶苦茶でもありません。


コースタイムは約4時間。17キロ以上の荷物で基本的に登り一本なので、今回はコースタイムプラス30分くらいでいいと思っていました。1日目は登りだけで、谷川岳肩の小屋に素泊まりの予定です。マットとシュラフも持って行くので、寝具も必要ありません。そうすると2,500円で泊まれるので、結構お得です。時間的にも、11時という遅い出発でも無理がありません。
暫くあるいてヤマレコレポートなどでも見かける鉄塔のところに。鉄塔が出てくると写真を撮って1分ほど休憩というのはお決まりのパターン。


登山道は人が多く入っていると見られ、シーズン序盤でも迷うようなところはありませんでした。でも、冬は雪深いエリアなので、倒木とか結構ある。


少し開けたところから天神平のスキー場が見えました。まだまだ長い登りが待っている。ロープウェイならあそこまで一っ跳びですが


おっと、ここでベニサラサドウダン登場。ツツジの仲間ですが、釣鐘上のお花が可愛い。甲武信ヶ岳では紅の濃くないサラサドウダンでしたが、こちらは真っ赤。




途中、登山道がぬかるみ始め、次第に川のように水が流れ始めました。少し登ると、予想通り雪が残っていました。谷川岳らしい感じです。


ここでマイヅルソウの群落登場。メジャーなお花だと思うのですが意外と見ないかも。同じ蛇紋岩の早池峰山にもたくさんありましたが、それ以外では久しぶりのイメージ。




マイヅルソウはこの後も縦走中に特に三国峠方面の樹林帯で多く見かけましたが、花は咲いていないものが多かったです。葉の形が特徴的なので花がなくても分かるのですが、あれだけの数のマイヅルソウが一気に開花したら素晴らしいお花畑でしょう。

だんだん標高が上がってきて、天神平くらいになりました。こうなると、残りは700~800メートルです。同時にガスも上がってきています。この日はお天気がよかったので、夏山的な感じで日中は雲がどんどん上がっていきました。


谷川連峰は豪雪地帯なので森林限界が低く、暫くすると樹林帯を抜けました。まだ木はあるのですが、かなりまばらになりました。樹林帯を抜けると、直ぐにナエバキスミレが登場。


かなりの群生です。迫力満点。スミレは奥多摩でもたくさん見られますが、キスミレはないですね。


これは名前の特定が難しいスミレさん。


と、ここでカタクリも登場です。谷川岳は天神平方面でカタクリが紫の絨毯のように咲くようです。時期的には最終番でしょう。スプリングエフェメラルの女王、残っていてくれてありがとう。形もいいです。


定番のイワカガミ。この後、縦走中も大量に咲いていました。時期的にピッタリだったのでしょう。


鎖が登場です。噂には聞いていましたが、西黒尾根は鎖場も多く、侮れません。アルプスなどだと、鎖があっても実際には使わなくても登れるところが多いのですが、ここはそんな所はほとんどなし。結構険しいです。少なくともテント泊装備だと夜明け前とかには登りたくない。お天気がよかったのが幸いで、これが雨だと蛇紋岩が滑りまくると思われます。


お花は、この辺りからはキジムシロが多かったです。


スミレさんも引き続き登場。


おっ、ユキワリソウだ。初めて見た。雪解け直後に咲くお花なので、なかなか見る機会がありませんでした。小さくて薄くてひらひらしていて可愛いです。


そして登山道は容赦ない鎖場攻撃。17キロ以上の重量がこの辺りから利いてきて、徐々にペースダウンです。まあ自然な現象でしょう。


チェックポイントのラクダの背に出ました。多少のアップダウンが残っていますが、ここまで来ればあと400メートルちょっとです。


雲がかなり上がってきていますが、この先の道の険しさがうかがい知れます。かなり岩岩しい。


でもお花は綺麗です。これはアカモノだと思ったけれど、葉の形が少し違います。どうやら白いイワカガミの蕾のようです。ヒメイワカガミという種類なのかな。とても可憐です。


谷川岳は双耳峰で格好良く、険しい山容も明らかに男山なのですが、蛇紋岩質で貴重な高山植物の宝庫だったりします。その面ではとても優しい女性的な面があります。南アルプスの北岳もそうですね。北岳は蛇紋岩ではないけれど、固有種もあってとてもお花が綺麗です。が、基本は雄大な男山。この2つのお山はとても贔屓です。

ナエバキスミレやキジムシロなどの黄色いお花が優勢でしたが、引き続きユキワリソウや名前の判別の付かないお花もどんどん出てきます。








そして満を持してホソバヒナウスユキソウが登場。谷川岳と至仏山にしか咲かないはずです。昨年は至仏山で見ました。今年は谷川岳で。




ハクサンイチゲも出てきました。仙ノ倉山山方面に大群落がありますが、ここでも可愛い。


チシマゼキショウでしょうか。早池峰で見たものに似ています。谷川岳にも咲くのかな。


ガスがかかっていますが、お花畑はこんな感じ。


振り返ると、結構厳しい道を登ってきたものだ。なお、岩場の厳しい道が続きますが、恐らくは肩の小屋の方か登山指導センターの方が黄色いペンキでかなり丁寧に目印をつけてくれています。ちょっとした道の選択でも的確で、とても助かりました。


天神尾根方面。Google Photoのサービスでパノラマ化したもの。


ショウジョウバカマもまだ残っているものが幾つかありました。


ピンク系続きでイワカガミとイワナシ。




これは何かなあ。


この辺りまで登ってくると雪田も結構あって、寒いくらいの風が吹きつけてきます。


結構ヘロヘロになりながらも、最終チェックポイントのザンゲ岩にたどり着きました。


まだショウジョウバカマやユキワリソウを見ることができます。




そして、最後の難所。肩の小屋へ向かう道は雪で覆われています。




実際には雪質はザクザクの感じなので、滑る心配はあまりありません。それでも注意して歩きますけどね。
そして、4時間20分くらいかかってやっと肩の小屋に到着。小屋番さん一人ですべて切り盛りしていて大変そうでしたが、親切な感じでよかったです。金曜日ですが意外と宿泊者が多かったです。ロープウェイを使った日帰り登山が主体の谷川岳ですが、やはり主脈縦走をする人も結構いる模様。あとは、写真を狙う人たち。


肩の小屋は水場こそないですが、トイレがあるのがありがたい。谷川連峰はトイレも限られるので。なお、小屋での缶ジュースなどの空き缶は基本的に持ち帰りです。
その後、この日は夕暮れまでずっとガスにまかれ、風雨も強くなってきてしまいました。


まあ、予想天気図からこれはある程度覚悟していた展開で、問題は明日の土曜日。天気予報では9時頃から晴れる予定ですが、できればご来光を見たいですから。
ということで、この日は8時半の消灯と共に就寝です。
で、夜中2時過ぎに目が覚めてトイレに行くと、降るような星空。写真隊の人たちは撮影に向かいます。今回もどうやらお天気の神様は味方してくれた模様です。

翌朝は4時20分ごろにご来光ということで、4時ごろに小屋を出てオキノ耳を目指します。どうせなら最高峰から眺めたいので。途中、ミツバオーレンが朝露に濡れて透き通って綺麗でした。


ご来光を待つ間。雲海も出て最高のコンディション。


湯桧曽川越しに対岸の白毛門方面。この山域は格好いいよ。


いよいよ日の出です。




この日縦走する主脈方面も明るくなっていきます。


その奥にはピンクに染まる苗場山。


更にその後ろは後立山連峰でしょうか。


一ノ倉岳方面。


馬蹄形方面。


トマノ耳と主脈。


主脈の色がオレンジに変わっていきます。


最高に格好いいトマノ耳。


朝日を堪能しました。素晴らしい。なかなか晴れない谷川岳でこれだけの朝日を楽しめたのは本当にラッキーでした。肩の小屋、価値が高いですね。昨夜みたいな強い風雨でも安心だし、こんなご来光が見られるし。
さて、トマノ耳に移ってオキノ耳を眺めましょう。






十分堪能し、小屋に戻って出発準備です。名物の道標も、肩の小屋も朝日のなかでは格好いい。




主脈方面。だんだんと色が変化するのがいいですね。


最後に、Google Photoのいつもの自動パノラマ写真。




5時を10分ほど過ぎたころに主脈縦走スタートとなりました。写真が多いので、縦走シーンは次回に回します。