冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

Jazz現代の名盤 その29

2011-07-18 19:23:11 | 息抜き
名盤と名高い1枚を。

Hope。スウェーデンのLars Jansson のピアノトリオ作品です。
このトリオについては、前にも1枚ご紹介したことがあります。
北欧的な、丁寧で無駄のない作り。安心して聞くことのできるアルバムです。

Janssonのアルバムの特徴はバランスとメロディでしょう。
即興性やグルーヴ感はほとんど感じられませんので、人によってはジャズに求めるものが存在しない駄盤と思うかもしれません。
かく言う私も、気分しだいではこのアルバムはまず聞きません。先週ご紹介のトロティニョンなどとは全然違います。
しかし、完成度のむちゃくちゃ高いメロディと完璧なテクニックに支えられたトリオの演奏は、これを嫌いというのは難しい美しさ。
以前にご紹介した"Witnessing"は邪魔にならない音楽と書きましたが、この"Hope"にもそれは通底しています。

そして、この"Hope"のモチーフはギリシャ神話のパンドラの箱。
パンドラが開けてしまった箱から、あらゆる災厄が飛び出た後に残った1つの光。それが希望。
震災と原発問題に菅の無垢なるテロとも言える人災が加わり苦しむ今の日本にこそ必要なメロディ、それがこのアルバムに収められた多くの美しい曲なのかもかもしれません。

Janssonは作曲家としても腕が高いので、この盤も1曲目を除いてすべて自作。そしてそれがとても優美。
単に美しいだけでなく、色を感じるのが私としてはスウェーデン的。
北欧の家具や食器って、大胆かつ巧みに色を使ってますよね。ああいう感じ。
全体として温かみのある雰囲気なのに、それぞれのカラーは結構大胆。
音楽の楽しい部分を感じさせてくれる名盤。

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冷たい風のような火を燃やすものたち