業務日誌

許せないヤツがいる 許せないことがある
だから倒れても倒れても立ち上がる立ち上がる
あいつの名はケアマネージャー

駆け引きあれこれ/前編

2006年09月20日 | 業務日誌
天はケアマネの上に利用者を創らず・前編後編

そろそろ月末です。

連休明けの研修(3コマ目)が終わり、久しぶりに出勤した私は、職場でマッタリとコーヒーを飲んでいました。

出陣前のひととき。
すると突然、事務長から相談室に呼ばれました。

事務長の第一声。
「細木さんって、ハリケンさんの利用者さんですよね?」

ギク

..........聞けば細木さん、先日ひがし会の院長婦人とその娘である副院長に、私のことを陳情?に行ったらしいのです。
お宅の鼻っ柱の強いケアマネにいじめられた、お堅いことを言って私に威張って帰った、と。
このときはじめて知ったのですが、細木さんとひがし会の同族は、私が思っていたよりもずっと深い間柄だそうです。古い仲良しというヤツ。
例えそれを知っていたところで私が細木さんに対する態度を変えたかどうかはわかりません。私はこの法人に勤務はしていますが、別に養ってもらっているわけではないのですから。
ま、細木さんの行動自体は想定の範囲内のことです。
私は事務長に事情をざっと(細木さんとヘルパーの間のトラブルのこと、鼻くそから「あのババなんとかして!でなきゃもう派遣しないよ!」と言われ、それでは細木さん自身が困るのでケアマネである私が嫌われ役を買って出るつもりで制度の説明をしたことなど)説明しました。
事務長は話をよくわかってくれましたが、実は全然違う内容が院長婦人や副院長に伝わっている、と言いました。
「ハリケンさん、細木さんのお宅で、『細木さんが不適切な利用をすると私が上司に叱られます』と言ったりした?」
と事務長。
私は驚きましたが、すぐにおかしくなって
「事務長、私は、あとで自分自身が困るのがわかっているのに、何かをカサに着て利用者と話をすることはありません」
とキッパリ言いました。
ましてやこんな法人をカサに着ても、雨露がしのげるとは思っていません。

私は細木さんに
「私たちも制度には勝てません」
というようなことは言いましたが、上司命でここに来ただなんてひとことも言いませんでした。ただただ制度の縛りと主旨を、細木さんが呑まざるを得ない方法で説明したまでです。
強気に出たつもりもありません。
ただ一歩も後に引かなかっただけです。
(でも、これが間違いだったことにすぐ気付いた私です)

「それで、院長婦人はなんとおっしゃったのですか?」
私が聞くと、事務長はやれやれというように
「院長婦人たちも、細木さんの言うことを丸ごと鵜呑みにはしていないし細木さんの人柄も少しはわかっておられるが、そこはまだ入職間もないハリケンさんのこと、長い付き合いの細木さんと比較されれば、人情的には細木さんに肩入れしてしまっておられる様子だね」
と言いました。
私はアタマにきましたが、事務長に怒りをぶつけても仕方ないことです。
「細木さんはケアマネ交代と言われませんでしたか?」
と(かなり期待して)聞くと
「まだそこまでは」
と事務長。チェッ。
とにかく私はこのことで細木さんへの態度をかえたり媚びたりしませんよ。
でも図星をさされて怒っている細木さんを必要以上に刺激することもしませんから安心して下さいと言いました。
こんなくだらないことでわざわざ直属の上司を通してちゃちゃを入れてくる院長婦人、アホです。
そんなヒマがあったら、いつものように地元の名士としての名をあげるためにせっせと地域の活動に精を出していればいいんです。
神輿は暴れると落ちますよ。人に担がれたければじっとしていりゃいいものを。

それにしても細木さん、やってくれます。

そもそも嫌われ者の年寄りって、イヤなヤツだから嫌われるのか、嫌われるからイヤなヤツになっていくのか、どっちなのでしょうか。
でも私には、嫌われ者高齢者にはそれなりの理由がある、そのくそババァっぷりときちんと向き合っていきなさいと教えてくれる人がいました。
もとの職場のM主任がそのひとりです。
今回はたぶん私が、細木さんの嫌われ者っぷりとの向き合いっぷりが足りなかったんだろうなと思いました。ムリヤリそう思いました(笑)。
クチでは「細木さん自身が困るんですよ」と言いながらも、そこに細木さんに対する愛は微塵もなかったのですから(笑)伝わるはずはないのです。
私は介護保険制度の理念や趣旨や縛りをカサに着て、細木さんをねじふせようとしていたんです。
そこで細木さんは、逆に私をねじふせようと逆襲してきたのです。
当然のことです。

こうなってしまっては、もう細木さんに信頼されるケアマネへの道はとうぶんないなあと思いました。最初からやり直しか。やれやれ。



事務長の話はまだまだ続きました。
問題はこのあとです。
事態は思わぬ方向へ急展開!

つづく