『ぶらり橋巡り』その64。隅田川に架かる橋は名橋が多いが、今回は蔵前橋に行く。蔵前橋は都道315号線、通称蔵前橋通りが上を走るが、台東区と墨田区を結ぶ。橋の名前にちなみ橋の塗色は籾殻から連想される黄色に塗られている。
現在の橋は関東大震災の復興事業として1924年に着工、1927年に完成したものでそれ以前は富士見の渡しという渡船が運航されていた。橋長173m、幅員22mのアーチ橋で3つの部分からなっている美しい橋である。
現在の両国国技館が完成する1984年以前にはこの橋の袂に蔵前国技館があり、そのために橋の欄干のレリーフには力士が施されている。
江戸時代には橋はなく、米倉が立ち並ぶ蔵前は釣りの名所として知られており、この辺りにあった『松の木』が格好の目印となっていたため、『首尾の松』として葛飾北斎が狂本の中に釣船と松の木を描いた絵が残されている。
戦前に作られた橋ではあるが、今も美しく整備されている。また、隅田川テラスを歩くと橋の下も通ることができる。橋の下からみても規則正しく作られた鉄橋の姿をじっくり見ることができる橋である。