hokutoのきまぐれ散歩

ブログも12年目、4000日に到達。ネタ探しはきついけどまだまだ毎日更新を続けるつもりです。

『改竄』と『杜撰』

2018-03-23 05:00:50 | 日記

『改めて日本語を考える』その15。昨年、新聞紙上を飾ったのは『忖度(そんたく)』だったが、今年は『改竄(かいざん)』のようである。この難しい熟語は簡単に言うと『(書類等を)こっそり書き換える』ことを意味するが、特に後ろ側の『竄』という字はあまり見慣れない文字である。

実はこの字は会意文字、例えば『明』は『月』と『日』からなり、月と日が同時にあると『明るい』という意味といったつくりの字である。『竄』は『穴』と『鼠』からなるが、穴に鼠が隠れてしまうようにこっそりと何かをする意味があるのである。

もう一つ。少し前に安倍首相が肝いりで法案審議をした『働き方改革』、その中で『裁量労働制』を採用するにあたり、厚生労働省が首相に参考に出した資料がいい加減なものであったため、すったもんだしたことを覚えてられようか。その時には『杜撰』という言葉がよく使われた。その後も厚生労働省の『杜撰』な仕事ぶりは再び露見した。社会保険庁がデータ入力を依頼した会社が下請けに中国の業者を使い、ちゃんとデータが入っていないという事件まで引き起こしているが。

今回気になったのは『杜撰』という言葉、これは宋の時代の『杜』黙という詩人が作った詩が定型詩の規則に合わない自由律のものであったためできた故事成語で、『撰』は詩を作るという意味の漢字である。この事実は『野客叢書』に書かれていたようである。今の世ならば型に囚われない詩も受け入れられているが、当時は『自由律の詩は規則も守らず、いい加減な作風である』と批判されたため、『杜撰』=いい加減となったのである。

しかし、気になるのはその読み方、中国の音読みでも『とせん』となるはずだが、なぜか『ずさん』、その経緯ははっきりしないようである。まあ、受験生はまる暗記しかないであろう。