放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

「方丈の海」at 10BOX

2013年10月15日 01時47分30秒 | 観劇日記
10/13、TheatreGroup"OCT/PASS"の「方丈の海」を観ました。
場所は「10BOX」。
劇団創始者の石川裕人さんの遺作であり、東日本大震災を見たあらゆる人へのメッセージでもあります。

東北に住んでいて、"OCT/PASS"を知っているなら、この作品はぜひ見ておきたかった。

「震災」(ここで言う「震災」は2011年の東日本大震災に限定させてください)は多くの人にたくさんの傷を刻みました。
歳月はカサブタのように傷を覆いますが、やはり触られると傷が痛むのです。疼くのです。眠れなくなるほど。

「方丈の海」は、観れば痛い思いをするだろうと思っていました。
でも、この痛みはカサブタをはがして消毒するようなものです。膿を洗う痛みです。

ところどころで老婆の口から語られる、泡沫(うたかた)の話は、遠い遠い国の話のようでもあり、またはごく身近な話のようでもあり、
 尊い詩篇のようでもあり、場末のダミ話のようでもあり、
  悲しく尾を引き、怒りで焼かれそうになり、忘れてしまいたいような、忘れてはいけないような、
   さみしさと 失望と だけど連綿と続いている営みの力強さが宿っていました。


はっきり言って、この作品は難解です。わかりやすい大団円というものがありません。
いや、あるけれど本編の解決ではなく、「いろいろ問題は消えないけれど、先へ進もう」というメッセージで終わります。
やっぱりこの「震災」は、この現実の世界で結末を見届けるという形だけしかないのです。だってあまりにも大きなテーマなんですから。そもそもが難解なんですから。

僕は身の丈でしか「震災」を理解できていません。でもそれではダメで、いろいろな人の「震災」に関わって理解してゆくのが東北人(移住者ですが)らしいやり方だと思います。いや、思いました。
「震災」を見てしまったすべての人々に、つながりの輪と、おもいやりが枯渇しませんように。
そして過去のさまざまな災害から学べるものを探し続け、つぎの災害に置き換えようとする勤勉な日本人でありますように。僕も、あなたも。
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