放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

角館ー花巻紀行(比内地鶏)

2018年09月18日 02時18分48秒 | あんなこと、こんなこと、やっちゃいました
 角館はなんといっても圧巻の武家屋敷群。
 いちばん賑やかな十字路で少し車のスピードを落としてキョロキョロ。
 ははぁ・・・、さすが・・・。
 お屋敷の木々が大きく育って路地をすっかり日陰にしている。そのなかにズラーと並んでいる黒板塀。
 江戸時代以降の武家屋敷はたいてい塀が黒い。桃山様式の反発というか、徳川様のお好みは何事にも簡素な造りであったと何かで読んだことがある。黒板塀がすなわち簡素かというと疑問だが、派手とは対極の渋好みではある。

 時間は11時をちょっと廻ったところ。いい時間。
 今日のお昼は、ここ角館のお店と決めて行動していた。だから仙台から角館までノンストップだったのだ。 
 再び一番賑やかなところまで戻り、みんなを下ろす。みんなは先にお店へ移動。もしかしたら行列を作っているかもしれないから先遣隊である。観光地対策。
 シンガリ隊(と言っても自分だけだが)はそのまま武家屋敷外れの駐車場を目指す。
 案の定、駐車場もほぼ満車状態。ほんの端っこにかろうじて止めさせてもらい、いそいでみんなの後を追う。
 ところが、歩いていてお店を見つけられない。
 そのうちメールやら留守電やらどんどん来始めた。あっちで気ぃ揉んでる。ヤバイヤバイ。
 人気のお店だから並んでいるかと思いきや、もう席に案内されたらしい。焦る。焦る焦る。

 さて武家屋敷。
 歩行者もずいぶん多い。これが歩行者天国かと思いきや、そのまんま車両が進入できる。いっそ歩行者天国にしてもいいと思うんだけどな。環境保全にもなるし。
 ところがそうも行かない。ここは観光地であると同時に住宅街でもあるのだ。
 歴史的建造物にも人が住んでいる。だから車両進入禁止なんてうっかりできない。住民が車を使えないことになってしまう。
 とかなんとか考えながら歩いていて、次男坊が駆けてくるのを発見。いやぁ悪い悪い。で、お店どこ?

 なんのことはない、もう少し歩けば到着だったみたい。
 というわけで着きました。「桜の里」。だんだん並び始めている。
 店内でBELAちゃんと長男を発見。悪いねぇ。気ぃ揉んだよね。
 もう注文は済ませたらしい。で、なに頼んだの。比内地鶏親子丼?たまらんっ。
 さっそく来た。塗りのお椀。蓋つき。きっと中で今ご飯と比内地鶏がじっくりと蒸らされているんだろう。楽しみ。
 蓋を取る。湯気があふれでる。その湯気の向こうに黄金色のふわふわしたやつが伏せている。
 比内地鶏。天然記念物の比内鶏(原種)からの品種改良だそうだ。量産型なんだろう。天然記念物を食い尽くすわけにはいかない。却って「地鶏」と銘打つと美味そうに思えるから不思議だ。ここはウンチクより食欲だ。
 いただきます。
 出汁と玉子と三つ葉のいいかおり。比内地鶏とご飯と一緒に口に放り込む。むふー、期待どおりの味。
 バランスがいいんだろうね。玉子が鶏肉の濃厚な味に負けていない。出汁もキツくない。っつーかご飯がめっちゃおいしい!幸せ。比内地鶏はきりたんぽのイメージだが、親子丼おいしい。もう一つの定番といっていいかも。
 BELAちゃんは稲庭うどん付き。これもいいね。
 そこへ串モノが運ばれてくる。焼き鳥かい?なんと贅沢な。ビールがほしいっ!
 丼を空にして振り返ると、店頭にけっこうな行列ができている。心得た客はどんどん席を立つ。そうだね。堪能するのはいいけど、長居しないのもエチケットかな。
 次男が食べ終わるのを見計らって席を立つ。ごちそうさまでした。
 堪能したなぁ。これだけでも角館まで来た甲斐がありました。
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マハーバーラタ(~憎しみの連環から~)

2018年09月17日 03時20分53秒 | 観劇日記
 まだ神と人との境界が明確でない遠い遠い昔。
 物語は破滅へと疾走していた。
 憎しみは煮えたぎって、醜く爛(ただ)れて、膨れ上がり、連鎖する。
 そして発する者、堪える者に熱き喘ぎをもたらす。
 人は、こんなにも誰かを憎むことができるのか。
 この感情を理解できるならば、私たちもいつか同じことを誰かにしてしまうのだろうか。


 平成30年9月16日(日曜日)、仙台市青年文化センターにて「幻祭前夜―マハーバーラタより」を観てきました。
 世界三大叙事詩のひとつにしてヒンドゥーの聖典「マハーバーラタ」より、一族が二つに割れて憎しみ合い、激しく争う過程を切り取って今回は上演しています。ある意味この叙事詩の主題と言ってもいい部分だろうと思います。
 「だろう」とは、「マハーバーラタ」自体をはじめて観るから。
 聞けば内容は聖書の四倍。登場人物も多くて、しかも複雑。その一部だけ切り取ったといっても、かなりの人数です(しかもヒンドゥーの名前なので覚えにくい)。
 それをたった9人の演者と2人の演奏だけで表現しているのです。時には仮面を被ることで人物を演じ分けたり。驚異的かつ緻密な構成と言ってよいのではないでしょうか。
 さらに驚異的なのは演者の身体能力。
 バリ舞踊、京劇、琉球舞踊、バレエ、フォンジューン、柔術(やわら)、そして超人的な舞踏。
 圧巻でした。そしてその動き中に、確かに「アジアの野趣」のようなものを見かけた気がします。
 体軸を立て、深く腰を落とし込む。跳んでも跳ねても最後は地に踏み込む舞踏。
 それは舞踊と武術が表裏一体であることも示唆しています。労働も然り。
 西洋のバレエやダンスも入りますが、やはり漂うのは「アジアの野趣」。
 これに沖縄の舞踊と謡いがよく合います。同じ野趣を受け継いでいるのでしょう。                                    
 激しい動き(カラミ)、激しいパーカッション。飛ぶかう異なる言語。
 どこまでもどこまでも太古の叙事詩に引きずり込まれてゆきます。


 まだ神と人との境界が明確でない遠い遠い昔。
 物語は破滅へと疾走していた。
 疾走は続き、今も続いている。
 願わくば、幻祭たることを。
 そのことなら、ユディシュティラがすでに死王にお答えしております。
 豊かさ、幸せ、
 みんな正しい方法で求めていないのです。
 願わくば、幻祭たることを。
 どうか。どうか。
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角館ー花巻旅行記(角館にて)

2018年09月15日 00時29分17秒 | あんなこと、こんなこと、やっちゃいました
 8月4日土曜日。
 朝早くから大急ぎで出かける支度をしつつ、BELAちゃんがおにぎりを握ってくれた。
 朝食をゆっくり摂れれば贅沢なことだが、移動時間を考えるとかなりキツい。
 なにしろ本日の1stミッションは、「お昼前に角館に居ること」なのだから。
 コンビニでおにぎりを買う事もできるが、それはそれで「コンビニに寄る」という時間的なロスと経済的なロスを生む。お家で握るおにぎりが一番なのだ。旅行中しばらく食べられなくなる味だしね。

 仙台から東北道に上がる。以前は古川あたりまで北上してから上がったりしていたが、今日はさっさと上がった。時間重視だ。しかし結構混んでいるな。お盆渋滞の前哨戦的な?
 一気に長者原まで。トイレ休憩をはさんで再び疾走する。
 北上から秋田道へ分岐する。ここからは初めての道になる。
 見えてくる民家はやはり重厚な屋根を持つ。雪ぶかい所なんだね。
 僕は秋田道を横手で下りて国道13号線で角館まで北上するつもりだった。しかし行けるところまで秋田道で行ったほうがいいんじゃないかという話になって、大仙まで下りずに進んだ。結果的にこっちのほうが楽だったかもしれない。初めての角館だから、何の道も知らない道。ただでさえキョロキョロしてしまい疲れるのだから、少しでも高速道で距離を稼いだほうがいいのだ。
 大仙(大曲)で下りて、国道105号線へ。
 下(一般道)へ下りてみてまず目に入ったのは御殿のような住宅。
 あ秋田杉か。
 白無垢の太い材を組み合わせ、さらに白い材で連子窓や装飾をあしらう。豪壮かつ端正。材の白さ際立つのは厳しい雪国だからなのか。雪上の紫外線は褪色作用が強いという。それはそれは白く美しい白無垢材ができるのだろう。これだけ綺麗だと柿渋色に塗っちゃうのが勿体無い。
 ずうっと眺めていたいけど時間はすでに10時を廻っている。先を急がなきゃ。

 初めての道。土地勘のない地。
 どうも秋田杉に見とれてしまう。正直うらやましい。ここまで美しい白無垢材の家屋群を見れるのは秋田だけかも。
 先を急ごう。どんどん急ごう。
 どんどんどんどん どんどんどんぱん

 ん? 今「ドンパン節」と書かれた旗なかった?
 あ、も一つあった。
 へぇ、大仙市は「ドンパン節」発祥の地なんだ。
 どんどん旗が増えてくる。幟も立っている。ドンパン節だらけだ。
 来週にはドンパン祭りが開催されるらしい。そんでもってドンパンだけに花火がドンパンと1000発も打ち上げられるらしい。来週来ればよかったか。

 少し静かな道になってきた。
 国道を北上。大きな川を越えたところで左折する。これで角館市街へ入ったことになる。
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角館ー花巻旅行記

2018年09月13日 23時56分32秒 | あんなこと、こんなこと、やっちゃいました
 昨年は受験生がいたのでどこにも遊びに(泊まりに)行かなかった。
 したがって、このブログに投稿するのも久しぶりということになる。 

 どうも、お久しぶりです。
 と言う訳で、遊びに行ってきました。

 夏に遊びに行くというのに、実のところ選択肢はそれほど多くない。
 高校生や大学生になった息子たちが、いまさら親と海へ行きたがるわけもないし、考えることも興味もすべてバラバラ。
 かろうじて「おいしいモン食いたい」「温泉入りたい」で一致するくらい。

 ならばオイシイもの食べて温泉入ろうじゃないか、と、BELAちゃんが作戦を練る。
 初めに狙っていたのが花巻市の大沢温泉。ところが早めの手配でも満床につき予約取れず。
 ここは人気あるもんねぇ。
 とにかくターゲットはオイシイもの。温泉。

 候補は花巻のマルカン食堂、しかも高さ25センチの「ソフトクリーム」、そしてまさかの「ナポリかつ」。
もちろん盛岡のじゃじゃ麺も候補に。さらに秋田の比内地鶏も食べたいとの声が。
 んーキリがない。
 東北地方限定にしたって次から次へと食べたいものが出てくる。豊かなんだろうね、東北の食文化って。

 秋田の角館に行ってみたいとの声があり、ほぼコースは定まった。
 仙台から角館、盛岡、花巻、江刺または水沢そして仙台に帰るコース2泊3日。
 秋田へ車で乗り入れるのは初めてだけど、それほど気にならない。イマドキMAPサイトで道を調べればストリートビューで道の感覚はつかめるし、スマホのナビだってある。
 ・・・と、思っていたが、どうも勝手が違う。
 数回ビューを見ても道を覚えられない。特に仙岩峠で岩手に入り国道からそれるところから全然。
 なぜ?そんなに複雑な経路でもないのに。
 夜中にしばらく考えていたら答えが出た。目印がなさ過ぎるのだ。
 秋田県から岩手県にかけて森林や川や山が美しい景色が続く。でも案内表示がない交差点で右折しなければならなかったり、いきなり道が終わっていたり、ちょっと気を抜くととんでもない方角に迷い込むであろうことは容易に想像がつく。でも、僕たちが行きたいお宿やお店は大抵分かりにくいところにあるのだ。
 実際の移動では土地勘が大事だが、事前調べの段階では国道、県道などの幹線道路とその旧道、脇街道を調べておく必要がある。この難関は「乗り越えてこそ」だ。乗り越えてこそ、おいしい出会いが待っている。




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