放菴日記抄(ブログ)

これまでの放菴特集・日記抄から「日記」を独立。
流動的な日常のあれこれを書き綴ります。

石田組!!(inふくしん夢の音楽堂)

2024年02月17日 11時17分08秒 | あんなこと、こんなこと、やっちゃいました
 いよいよお待ちかね。「ボヘミアン・ラプソディ」。
 透明感と虚脱感織り交じる前奏から名曲は始まる。バランス完璧、音程、タイミングともに微塵も歪んでいない。
 こりゃすごいや・・・。

 とその時、身体に異変が起きた。
 喉の奥からこみ上げるヒリヒリした痛み。
 激しく咳き込みたい衝動に駆られる。

 しまった。

 コロナウイルスに感染してからときどき咳き込むことがある。咳はなかなか無くならない。
 でも今日はこれまで不思議と咳き込むことはなく、むしろすっかり忘れていた。
 
 油断した。みんな集中して聴いているのに、ここでゲホゲホやったらすごい睨まれる。
 
 とりあえず息を止めてみる。
 咳き込む衝動は抑えられるが、目から火花が出るほど苦しい。
 こりゃダメだ。

 小さく息を再開。小さい息ならば咳の衝動はそれほど強くない。
 一生懸命ツバを飲み込んでみる。                          
 本当は水を一口ゴクリと飲むと咳はおさまるのだが、ここでゴクリはマズい(ってか水持っていないし)。

 曲はまだワンコーラス目。こりゃ長いぞ。

 小さく咳払い。といってもエヘン、と音を出すわけにもいかない。喉の奥をこするように息を出す。ツバ飲みと咳払いを何度も続ける。こうして少しずつ咳の衝動を遠ざけることに成功した。
 やっと息が吸える。酸欠で周りが暗い。あ、そもそも暗いんだ。でも一層暗い。
 もうオペラパート終盤きてるじゃないか。くそコロナ。

 名残惜しむように集中してボヘミアン・ラプソディ後半を聴き(却って世界観に入り込めた)、終わった瞬間、拍手鳴り止まぬうちにゲホゴホゲホゴホ咳を吐いた。
 BELAちゃんびっくりして見ている。
 「いやぁ、咳が・・・。」
 「大丈夫?」
 「なんとか。」
 またひとしきりゲホゴホ。

 疲れた。
 今日イチの危機だった。

 石田組の盤石かつ上質な演奏は続く。
 エンディング、オアシスの「What Ever」。
 小気味良いリズム、手拍子も入り、気持ちいいひとときが終わりに近づいている。 
                                      
 お客さんの「帰らないで!」コールが笑いを誘う。うんうん、そうだね。
 次は9月に仙台だそうです。仙台のどこ?

 終演後、すっかり暗くなった町を国道6号線に向かう。
 福島駅行きのバス停は長蛇の列。増便はないらしい。
 仕方がない、寒い中並びましょうか。
 北へ南へ東へ西へ。お客さんの帰路も様々。在来線で帰ろうか、特急が出ているか、など方方から聞こえてくる。ちなみに僕たちは在来線はあきらめて新幹線になりそう・・・。
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石田組!(inふくしん夢の音楽堂)

2024年02月14日 00時37分19秒 | 観劇日記
2024年1月27日。福島・「ふくしん夢の音楽堂(福島市音楽堂)」に石田組のコンサートを浴びに行きました。
 
 福島駅からバスの乗って音楽堂を目指す。
 このバスの運転手さんがとても丁寧。
 「皆さん、今日は音楽堂のコンサートに行かれるんですよね」
 はい、普段よりも乗り具合が多いようで。
 「音楽堂へは〇〇バス停降りましたら左へ行くと近いですよ。帰りは向かいのバス停から駅へ行けますんで。」
 なんて親切・・・。
 タクシーの運転手との会話であれば、このくらいパーソナルな応答はしてくれるだろう。ところがこれは乗合バス・・・!
 バスって他にアナウンスしなければならないことが多いから、それ以上案内できる余裕なんて無いと思っていたけど、この対応はすごい。予め今日はこの路線を利用する人が多いことを把握し、どういう案内をすれば役に立つかという配慮を考えてくれたのだ。仙台ではコンサートあるからってこんな対応してくれるかどうだか・・・。

 さて夢の音楽堂は古関裕而記念館に隣接している。古関への顕彰の意味合いが強い。
 一度中に入ってみたかった。ふくしん夢の音楽堂の大ホール。

 天井高い・・・!
 正面には巨大なパイプオルガン。
 ゴシック建築のピア(束ね柱)を思わせる垂直の装飾壁。それがパイプオルガンを真ん中にずらりと並ぶと、まっすぐ伸びるオルガン金管パイプがさらに際立つ。 
 カトリック聖堂みたい。
 
 時間とともに客席が人で満ちてゆく。
 みんな公演についての期待を仕舞っておくことができず、誰彼ともわならない声が今日の話題を口にする。それがさざめく波のようにホールのあちこちから湧いては消え、また湧いて消えてゆく。
 まるで開演前のルーティン。
 
 間もなくブザー。
 登場する10人の演奏者。もちろん最後にゆっくり出てくるのが石田組長さん。
 今日もカッコイイ。

 弓を構えると小さくチューニング。ホントにちょっと音を出すだけ。これだけで10人の音色がピタッと合ってしまう。これはもはや調律というより規律に近い。
 すぐに音楽が始まる。冒頭はシベリウス「アンダンテ・フェルボージョ」。仙台で聴いて以来すっかり大好きになった一曲。
 
 おや。

 音が深い。リバーヴが効いている。
 「アンダンテ・フェルボージョ」が別物に聴こえる。
 これがこの音楽堂の特徴なのか。

 きっとこの音楽堂はパイプオルガンの残響をより深くするために設計されているのだろう。
 音楽ホールによって音の響きが違うということなのだろうけど、おんなじ奏者でおんなじ曲を聴き比べるなんて滅多にできる体験ではない。すごくおもしろい。
 
 きょうもプログラムはさくさく進む。
 前半はノーМC。こういう小気味よさはクラシック慣れしていない自分にはありがたい。

 大好きな「アンダンテ・フェルボージョ」に「ニュー・シネマ・パラダイス」も聴ける。
 でも今日の最大の楽しみは、なんと「ボヘミアン・ラプソディ」。
 言わずと知れたクイーンの名曲。
 とにかく石田組は音がキレイ。だから一層楽しみ。(つづく)
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