映像は、起伏ある丘をどこまでも続く美しいチューリップ畑から始まる。
そこを駆け抜ける子どもたち。流れるように子どもたちの後ろ姿を追う。
子どもたちは口々に「Good News!」と叫ぶ。それは、ある魔女の死を伝えるものだった。
「西の悪い魔女」と呼ばれ、恐怖の象徴であった女が、死んだ。
おそらく魔女に会ったこともないであろう民衆が口々に彼女の死を喜び、ぞくぞくと家々から飛び出してくる。彼女を罵り、呪詛し、死を祝う。ついには彼女を禍々しく象った木組みの巨像が引き出されてきてきた。そこへ一人の美しい女性が民衆から松明を受けとり歩み寄る。
桜のような薄紅色の美しいドレスに輝くティアラ。「北の善い魔女」と呼ばれたその美しい人は手にした松明を木組みの巨像の足元に投げ入れる。するとたちまち巨像は炎に包まれる。
さながら魔女を火あぶりにしているような、何とも禍々しい風景であるが、それは怖いくらいに煌めいていた。
こんな光景でさえ、その音楽とともに展開すると、懐かしさに目尻がじゅわっと滲みてくる。五十半ばの男がいうことじゃないけれど、この映画をずっと待っていた。
「Wicked ふたりの魔女」
ブロードウェイミュージカルとして大成功を収めた作品。一番一番大好きなミュージカル。
音楽の迫力、構成力、そしてメロディが超一級。
それがこの物語の奥深いテーマを彩る。
先程の「北の善い魔女」=グリンダは、燃えさかる(悪い魔女を象った)木造を背に去ろうとする。こころなしか、その表情は(Good Newsに)喜んでるというよりは、悲しみをこらえているように見える。
その時民衆の一人が呼びかける。
「グリンダ、あなたが彼女の友達だったというのは本当ですか?」
これは、「オズの魔法使い」の世界において、運命の子ドロシーがやってくる前から始まるお話。そこで出会う二人の女性の物語。原作はグレゴリー・マグワイヤ著"Wicked: The Life and Times of the Wicked Witch of the West"(1995)。
「正しい行い」にこだわって仇となり「悪い魔女」にされたエルファバ。
人気者になりたかっただけなのに「善い魔女」の振る舞いを強いられたグリンダ。
愛されたいという根源的な願望は同じなのに、偏見、差別、陰謀論、ファシズム、あらゆるチャンネルで二人は正反対に彩られ、縛られてゆく。
しかし二人のことはお互いが一番良く知っている。お互いの中にお互いをカケラを認めつつ、それゆえ夢も希望も恋も、悲しみも悔しさも、きれいに分け合ったまま引き裂かれてゆく。そして運命の子・ドロシーが竜巻に飛ばされてやってくる・・・。
懐かしさと、また切ない物語がはじまるという、得体のしれない切迫感。
往年の俳優陣もカムバックしていてびっくり。
見ないと、損かも。
そこを駆け抜ける子どもたち。流れるように子どもたちの後ろ姿を追う。
子どもたちは口々に「Good News!」と叫ぶ。それは、ある魔女の死を伝えるものだった。
「西の悪い魔女」と呼ばれ、恐怖の象徴であった女が、死んだ。
おそらく魔女に会ったこともないであろう民衆が口々に彼女の死を喜び、ぞくぞくと家々から飛び出してくる。彼女を罵り、呪詛し、死を祝う。ついには彼女を禍々しく象った木組みの巨像が引き出されてきてきた。そこへ一人の美しい女性が民衆から松明を受けとり歩み寄る。
桜のような薄紅色の美しいドレスに輝くティアラ。「北の善い魔女」と呼ばれたその美しい人は手にした松明を木組みの巨像の足元に投げ入れる。するとたちまち巨像は炎に包まれる。
さながら魔女を火あぶりにしているような、何とも禍々しい風景であるが、それは怖いくらいに煌めいていた。
こんな光景でさえ、その音楽とともに展開すると、懐かしさに目尻がじゅわっと滲みてくる。五十半ばの男がいうことじゃないけれど、この映画をずっと待っていた。
「Wicked ふたりの魔女」
ブロードウェイミュージカルとして大成功を収めた作品。一番一番大好きなミュージカル。
音楽の迫力、構成力、そしてメロディが超一級。
それがこの物語の奥深いテーマを彩る。
先程の「北の善い魔女」=グリンダは、燃えさかる(悪い魔女を象った)木造を背に去ろうとする。こころなしか、その表情は(Good Newsに)喜んでるというよりは、悲しみをこらえているように見える。
その時民衆の一人が呼びかける。
「グリンダ、あなたが彼女の友達だったというのは本当ですか?」
これは、「オズの魔法使い」の世界において、運命の子ドロシーがやってくる前から始まるお話。そこで出会う二人の女性の物語。原作はグレゴリー・マグワイヤ著"Wicked: The Life and Times of the Wicked Witch of the West"(1995)。
「正しい行い」にこだわって仇となり「悪い魔女」にされたエルファバ。
人気者になりたかっただけなのに「善い魔女」の振る舞いを強いられたグリンダ。
愛されたいという根源的な願望は同じなのに、偏見、差別、陰謀論、ファシズム、あらゆるチャンネルで二人は正反対に彩られ、縛られてゆく。
しかし二人のことはお互いが一番良く知っている。お互いの中にお互いをカケラを認めつつ、それゆえ夢も希望も恋も、悲しみも悔しさも、きれいに分け合ったまま引き裂かれてゆく。そして運命の子・ドロシーが竜巻に飛ばされてやってくる・・・。
懐かしさと、また切ない物語がはじまるという、得体のしれない切迫感。
往年の俳優陣もカムバックしていてびっくり。
見ないと、損かも。