その日その時 写真で見る歳時記

気ままに写した写真に気ままな言葉たちの集まり

破竹

2007年09月13日 | Weblog

破竹

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散歩道の途中に

ちょっとした竹やぶがあります

ニュースで「竹やぶから現金・・」とか

タケノコの初出荷とか

ニュースのあるたびに

竹やぶがにぎわいます

でもいまの竹やぶは

静かで風の音が時折するくらい

そんな朝の散歩に

きみといつも

石ころを1個だけ

竹やぶに放り込みます

子どものころによくやった遊び

竹やぶに石を投げて

石が竹に跳ね返り

コン コーン コンコン

いくつもの音を響かせる

音を聞いたら

また散歩が続きます・・

春に伸び始めた竹も

ひっくり返るくらい見上げないと

てっぺんが見えないほど成長した

きみも竹にまけないほど

真っ直ぐに大きくなぁれ~~

***

 

さわやかな夢

破竹とは

竹を割ることです

竹は 一節 割れ目を入れると

そのまま勢いよく割れます

ふし以外は空洞になっているからですが

竹の割れるのは気持ちのよいものです。

そこから勢いが盛んなことを

「破竹の勢い」といいます

そして

その割れ目が真っ直ぐなことから

「竹を割ったような性格」と

いう言葉も生まれました

曲がったところがない

さっぱりとした性格のことです

雪の重みにも 激しい風にも

折れないしなやかな強さを持つ竹の

別な一面を見る思いです

竹を割って人々は

身近な生活道具や遊び道具を作ってきました

竹を始めて割ったときの爽快感が

さまざまな形を変えて

また新しい夢を導いてくれるようです

 

 

 

 

 

 

 


秋麗(あきうらら)

2007年09月12日 | Weblog

秋麗(あきうらら)

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真白な紙ヒコーキが

青い空を飛んでゆく

誰かが残した

夏の痛みを乗せて

やがてそれは

痛みを癒し

別の誰かの足元へ降り立つだろう

新たな夢への

希望とともに

・・・

***

 

青い空を見るとふと外に出かけたくなる

カッと照りつける夏の太陽

日めくりのカレンダーを破るたびに弱まってきました

日差しが優しくなり

吹く風も涼やかになって

そぞろ歩きも

気持ちのよい季節になりました

「秋麗」は

秋の穏やかに晴れ渡った

爽やかな日を表す言葉です

「♪春のうららの隅田川・・」という歌にもあるように

「麗らか」は

麗しく暖かい春の日差しをさしますが

その春のうららかさを

秋にも感じ取ったのが「秋麗」です

でも、なぜか秋という言葉つくと

少し印象がかわってきますね

日々暖かくなる陽気に

心躍るのが春なら

厳しい暑さから開放されて

一息つくのが秋

やがて空気は冷たくなり

木々も葉を落とし

寒さも募ってきます

冬になる前の爽やかな青空の下

気持ちのいい時間を思い切り楽しみましょう

 

 

 

 

 

 


虫時雨(むししぐれ)

2007年09月11日 | Weblog

虫時雨(むししぐれ)

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声はどこから聞こえるのだろう

彼らは何を

告げているのだろう

命を育むちいさな茂みを

木霊が見守る

秋の夕暮れ

ただ 生きてさえいればいい

誰かの言葉が

遠くで響く

・・・

***

 

随分虫の音が聞こえるように

そこはかとなく秋を感じるようになると

蝉の声と交代するように

日が落ちた後の暗い道で

虫の声が聞こえるようになります

そんな虫たちが

盛大に秋の歌を歌っている様子を

「虫時雨(むししぐれ)」といいます

「時雨」とは初冬に降る雨のこと

さっと降ってはやみ降ってはやみという

時雨のように虫の声が聞こえることから

こんな言葉が生まれたのでしょう

鳴く虫といえば

鈴虫 松虫 蟋蟀 くつわむしなど

童謡唱歌でもご存知のことでしょう

かの清少納言も「枕草子」の中で

名前を挙げていますし

「源氏物語」にも

「鈴虫」というタイトルの章があります

ヒロインが鈴虫の声に

聞き入るシーンがあります

静かな秋の夜 聞こえてくるのは

部屋の灯りに使う油が燃える音だけ

そんな平安朝時代には

小さな虫たちの合唱も

今以上に

美しく聞こえたに違いありませんね

 

 

 

 

 

 

 

 


桔梗(ききょう)

2007年09月08日 | Weblog

桔梗(ききょう)

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始めてこの花が桔梗と知ったのは

そろそろ異性を意識しだしたころ

少し気になっていた人の

庭に咲いていました

母親同士がとても仲がよくて

でも同級生なのに

口を利いたことが少なかった

どこかでお互いを

意識していたのでしょう~

やがて・・

何かのきっかけで

話し合うようになり

幼友達は親密な友達に・・

しかし

成長と共に

別々の道を歩むことに

初恋は結ばれないと

桔梗の花に添えられた手紙に

・・・

桔梗が咲くころ

今でも現実になって現れそうな

遠い想い出・・です

***

 

 

~秋の野に 咲きたる花を 指折り

かき数ふれば七種(ななくさ)の花

萩が花 尾花 葛花 撫子の花

女郎花 また 藤袴(ふじばかま) 朝顔の花~

「万葉集」(山上憶良)

秋の七草に数えられる朝顔は

桔梗のことだといわれています

中世のころは

漢名をそのまま音読みして

「きちこう」と呼んでいたようですが

しだいに「ききょう」に変化しました

か細い茎に

わしで作ったような一重のしゃんとした花びら

背筋をぴんと伸ばしたような

楚々とした風情がただよいます

~朝顔は 朝露 負ひて 咲くといへど

夕影にこそ 咲きまさりけり~

「万葉集」(読み人しらず)

朝から咲き続け 夕方にいっそう

その艶を増す・・・

見習いたいですね

 

 

 

 


色取月(いろとりづき)

2007年09月07日 | Weblog

色取月(いろとりづき)

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朝夕の気温が下がってくると

ついつい夜更かしが多くなる

そろそろゲームも

おしまいにして 寝なさい

しぶしぶきみは従う

なぜなら

朝一番の抱っこをしてもらうための

お約束だから

まだまだゲームより

抱っこが好きな

きみがこのままでいてほしい気もする

では・・本をとじて私も眠ります~

***

 

彩りも豊かに

九月にもいろいろな呼び名があります

「秋の夜長」といわれるように

夜が長くなることから「長月」

夜が長くなれば 

夜中に目が覚めることが多くなることから

「寝覚月」

また菊の花の季節なので

「菊月」「菊見月」「菊開月」とも呼ばれます

そのほか「稲刈月」「小田刈(おだかり)月」などの

呼び方もあります

いまの暦では少し早いのですが

旧暦では秋真っ盛り

木の葉も色づきはじめるので紅葉月

そして

色取月(いろとりづき)という

異称も生まれました

日中の暑さは残るものの

台風一過の抜けるような真っ青な空

その下で

まだ咲き残っている夏の花々にくわえ

秋の花が咲き始めます

昔とは違った意味で

この時期は彩り豊かな月と

いえるかもしれませんね

 

 

 

 

 


秋の野原

2007年09月06日 | Weblog

秋の野原

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毎年 秋になると

きみとよく ここに来たね

花野を揺らす風に吹かれて

二人の未来について

思いを馳せた

いまはもう

想い出を

数えることしか 出来ないけれど

・・・

***

 

華やかさより 愁いのまさる秋の野

秋の草花が咲き乱れる野原を

「花野」といいます

花一文字は歳時記の春の季語ですが

「野」がつくと秋の季語になり

言葉のイメージも変わります

秋の草花といえば

萩(はぎ) 葛(くず) 撫子(なでしこ) 野菊

桔梗(ききょう) 吾亦紅(われもこう) 女郎花(おみなえし)など

春の花に比べて色もはかなく

もの寂しい風情の花が多くなります

春の野が目に鮮やかなうららかさで

思い浮かべられるのに対して

「花野」は

華やいでいるというよりはどこか寂しげな

しみじみとした風情があるのもそのせいでしょう

「なにとなく君にまたるるここちして

出し花野の夕月夜かな」

明治時代の歌人 与謝野晶子は

こんな美しい恋の歌を詠みました

なんとなく恋人の面影を思って

胸が騒ぐ秋の夜

心のままにさまよい歩く花野の美しさと

空にかかる月の光

幻想的で心に染み入るような情景ですね 

 

 

 

 

 


月鈴子(げつれいし)

2007年09月04日 | Weblog

月鈴子(げつれいし)

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夏も終わって

風鈴をしまうときに

どうして風鈴だけ

外にぶらさげるの?

あなたに言われて

ほんとねぇえ~

でもね・・

風鈴の代わりに

これからは

鈴虫が鳴いてくれるから

すると・・

なぜ音のするもの外につるすの?

またまた始まる・・

なぜなぜ攻撃・・

大人になるって

こういうことから始まるんだね

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月から降ってきた鈴

月鈴子(げつれいし)は

鈴虫の異称で

ほかに金鐘児(きんしょうじ) 

月鈴児(げつれいじ)ともいわれます

鈴虫と松虫が

いまとは逆で 平安時代から親しまれてきました

~虫は鈴むし ひぐらし 蝶 松虫・・・~(枕草子)

にも書かれているます

だからこそ

子どもに見立てて名前で呼ぶほど

愛着がわいたのかもしれません

どんな虫でも

最後の羽化を終えた直後の真白な姿は

この世のものとは思えないほど美しい

それまで何度も

脱皮を繰り返し

やっと成虫になった瞬間

それを思うと「リーン リーン」と

美しく鳴く声が

月から降ってきた

鈴の音のように聞こえてきます

 

 

 

 


秋晴れ

2007年09月02日 | Weblog

9月(葉月)

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暑い夏も終焉

朝夕にどこか柔らかい風と共に

涼しさが戻ってきた

秋といえば・・と聞くと

赤とんぼ~と きみは即答

そうだね・・

今年は沢山見たね

どうして赤くなるの

人間はどうして赤くならないの

いろいろ質問を浴びせた

夏も終わり

静かな時間が戻ってきた

夜長を読書でも~

スタンドの灯りと

しばし仲良し

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秋晴れ

秋になって

水がひんやりと澄んでいる感じをあらわすのに

「水澄む」という俳句の季語があります

池や川だけでなく

身近なところにある水さえ

澄んでいるように思えます

まだ残暑の残る日中の陽気は激しく変化し

そろそろ天気図をにぎわせ始めた台風マーク

一陣の風が鏡のような水面を揺らしながら

通り過ぎてゆきます

秋は澄み切ってゆく水と

秋風のあとを写してゆきます

初秋ならではの日本の風景ですね

秋の代表的な言葉といえば

「秋晴れ」

本当は雨が多い秋

晴天率50%前後の地域が多く

9月にいたっては・晴天率0%という月も

だからこそ

秋晴れということばで

貴重な晴天を称えているのかもしれませんね

貴重な秋晴れを

感謝しながら深まる秋の準備しましょう