その日その時 写真で見る歳時記

気ままに写した写真に気ままな言葉たちの集まり

虫時雨(むししぐれ)

2007年09月11日 | Weblog

虫時雨(むししぐれ)

***

声はどこから聞こえるのだろう

彼らは何を

告げているのだろう

命を育むちいさな茂みを

木霊が見守る

秋の夕暮れ

ただ 生きてさえいればいい

誰かの言葉が

遠くで響く

・・・

***

 

随分虫の音が聞こえるように

そこはかとなく秋を感じるようになると

蝉の声と交代するように

日が落ちた後の暗い道で

虫の声が聞こえるようになります

そんな虫たちが

盛大に秋の歌を歌っている様子を

「虫時雨(むししぐれ)」といいます

「時雨」とは初冬に降る雨のこと

さっと降ってはやみ降ってはやみという

時雨のように虫の声が聞こえることから

こんな言葉が生まれたのでしょう

鳴く虫といえば

鈴虫 松虫 蟋蟀 くつわむしなど

童謡唱歌でもご存知のことでしょう

かの清少納言も「枕草子」の中で

名前を挙げていますし

「源氏物語」にも

「鈴虫」というタイトルの章があります

ヒロインが鈴虫の声に

聞き入るシーンがあります

静かな秋の夜 聞こえてくるのは

部屋の灯りに使う油が燃える音だけ

そんな平安朝時代には

小さな虫たちの合唱も

今以上に

美しく聞こえたに違いありませんね