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【メモ】水町勇一郎教授最終報告「日本労働法の歴史と課題」①歴史

2024-03-19 | 書記長社労士 お勉強の記録

【19🏃Run4-11 5.63km 34:22 五反田大崎品川】 水町勇一郎教授が東京大学社会科学研究所を年度末をもって退職をされるということで、3月15日、教授の最終報告が、東京大学本郷キャンパス 法文 2 号館 31 番教室にて開催されたので、聴きに行ってきた。(安中繁社労士、情報をありがとう!)
退職教員の最終講義ってのはたくさんあって、この日も各教授の退職講義を案内する大きな看板が何本も立っていたが、水町教授のはとても控えめで、そして水町教授の所属のところでは最終講義ではなく最終報告らしく、いろいろと趣が違う。
広い教室には、開始時間の関係か、開会前は空席の方が多かったが、最後の質疑応答の頃に会場を見回すと、かなり席が埋まっていた。
社会保険労務士や弁護士、運動や国の機関のお仕事などでご一緒した大学の先生方など、知っている方もたくさん参加されていたのも納得であり、驚きであり(せっかくやから皆さんにご挨拶はしたかったが多すぎて出来きれず…)。

 最終報告会は、福島大学の長谷川珠子准教授(行政政策学類 地域政策と法コース)の司会に始まり、東京大学社会科学研究所所長の玄田有史教授が、水町先生の人柄を目いっぱいいじり倒しての開会あいさつ(玄田先生は労政審職業安定分科会で一緒だった)。
水町先生の経歴のご紹介があって、いよいよ、普段着姿(笑)の水町勇一郎教授がご登壇!

 最終報告のタイトルは「日本労働法の歴史と課題」
「日本の労働法および労働関係の歴史を振り返りつつ、西洋諸国との比較を通してその特徴を描き出す。その上で、今日の社会変化のなかで日本の労働法が直面している課題について、西洋諸国の労働法との異同を踏まえながら分析する。」
その内容を①の「歴史」、②の「課題」の2回に分けて【メモ】しておく。 
 

日本労働法の歴史と課題
Ⅰ 歴史
1 労働法生成の歴史 ⇒労働者という統一した概念ができたのは150年前
〇農業を中心とした自給自足社会 ⇒農耕社会はムラ社会(共同体) ⇒雇用関係ないのが基本
〇そのなかでも「雇用に」に類似した形態 ⇒近代でない労働法 ⇒契約関係
□「身分」関係のなかでの「契約」的なもの(雇役、和雇、御恩と奉公、相対など) ⇒「雇役」諸国から成年男子を徴用し、一定の食料・賃金を支給して造都・造宮などの諸事業に使役したもの。「和雇」古代日本において行われた相場による功直(賃金)に基づいて定められた双方合意の雇用形態。奈良時代。石山寺。「御恩と奉公」鎌倉時代は武家と奉公人、江戸時代には士農工商と奉公人。長期的な片務的関係。
□「人身売買」とその禁止・制限(奴婢の売買の禁止、年季奉公の制限とその廃止) ⇒「奴婢」(①召使いの男女。下男と下女。②律令制における賤民。人格を認められず、財産として、売買、譲渡、寄進の対象となった。) ⇒ある意味、労働契約の斡旋 ⇒鎌倉時代に奴婢禁止 ⇒豊臣秀吉の検地・刀狩と人身売買禁止令 ⇒1625年(寛永2)「年季奉公の制限」10年 ⇒1698年(元禄11)には農業生産政策(小農より大農)により制限が外される。

2 戦前の労働関係と労働法 ⇒「近代=自由」を勝ち取った
〇「奉公関係」から「雇傭契約」へ ⇒民法(1898年(明治38))契約自由の原則
〇「期間制限」の意味の転換
□無期契約の意味が長期の人身拘束から解約自由へ=有期契約は人身拘束の制限から解約自由の制限へ ⇒19世紀~産業革命→大工場時代⇒大資本と労働者=契約自由 ⇒労働者が不利 ⇒選挙制度 ⇒近代国家(労働法制・社会保障)

3 戦後の労働法制の確立と展開
〇労働法制の確立と展開 ⇒3つに分ける
□戦後復興・経済成長と労働法制の確立(1945年~) ⇒鉱業法(1905年)・工場法(1911年)➡労働三法(労働基準法・労働組合法・労働関係調整法)+判例法理(解雇権濫用法理・就業規則の合理的変更法理)
□経済調整・社会構造の変化と労働法制の展開(1974年~) ⇒オイルショックが契機 ⇒雇用保険法、男女雇用機会均等法…立法の時代 ⇒日本的雇用システムを内在していく時期
□少子化・デジタル化と労働法制の転換(2013年~) ⇒働き方改革 ⇒日本的雇用システムを見直す ⇒経済政策と一体で
〇日本の労働法の特徴
□西洋諸国との類似性
□日本の特徴
・産業革命(工業化)と近代的労働法生成の遅れ ⇒英➡仏➡独➡米 ⇒鎖国➡明治➡戦後 ⇒共同体的労働関係
・分権的社会秩序(ムラ、イエ、企業共同体)の重視とそれと結びついた労働法
【英米=経済モデル(個人)、仏=政治モデル(国家)、独=社会モデル(労使(産業レベル))、日本=共同体レベル(企業別)
・その理由・要因:近代化の遅れ・不徹底?(共同体的なため)日本の歴史・文化?(共同体的なものが) ⇒過去に向けた問いでもあるが、未来に向けた問いでもある!
「【メモ】水町勇一郎教授最終報告「日本労働法の歴史と課題」②課題」に続く


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