労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

【再確認 令和7年4月1日施行】改正育児介護休業法の施行が迫っている❕

2025-03-06 | 書記長社労士 法改正 労働関係

令和7年4月1日施行
❶3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることと、短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワークを追加することが、事業主に努力義務化されます。
※ 短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる具体的な業務があり、その業務に従事する労働者がいる場合にのみ、労使協定を締結し除外規定を設けた上で、代替措置を講ずることとなります。

施行前 ①育児休業に関する制度に準ずる措置 ②始業時刻の変更等
 ⇓
施行後 ①育児休業に関する制度に準ずる措置 ②始業時刻の変更等 ③テレワーク

★今回の改正でテレワークが義務付けられたものではない。

❷所定外労働の制限(残業免除)の請求可能となる労働者の範囲の拡大

施行前 3歳未満の子を養育する労働者
 ⇓
施行後 小学校就学前の子を養育する労働者


❸ 子の看護休暇の見直し
・対象となる子の範囲の拡大
施行前 小学校就学の始期に達するまで
 ⇓
施行後 小学校3年生修了まで

・取得事由の拡大(③④を追加)
施行前 ①病気・けが ②予防接種・健康診断
 ⇓
施行後 ①病気・けが ②予防接種・健康診断 ③感染症に伴う学級閉鎖等 ④入園(入学)式、卒園式

・労使協定による継続雇用期間6か月未満除外規定の廃止
施行前 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ②継続雇用期間6か月未満
 ⇓
施行後 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ※②を撤廃

・名称変更
施行前 子の看護休暇
 ⇓
施行後 子の看護等休暇

★労使協定による適用除外の規定を設けている場合には、4月1日までに見直しを行う必要がある。
★対象となるこの範囲の拡大と取得事由の追加について労働者に周知しておくことが望ましい。
★3~4月は、卒業式や入園式・入学式が集中するので留意が必要。

❹育児休業取得状況の公表義務の適用拡大
施行前 従業員数1,000人超の企業
 ⇓
施行後 従業員数300人超の企業

★公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」。
★ 年1回、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、インターネットなど、 一般の方が閲覧できる方法で公表する。


❺介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
労使協定による継続雇用期間6か月未満除外規定の廃止
施行前 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ②継続雇用期間6か月未満
 ⇓
施行後 〈除外できる労働者〉①週の所定労働日数が2日以下 ※②を撤廃

★労使協定による適用除外の規定を設けている場合には、4月1日までに見直しを行う必要がある。

❻ 介護離職防止のための雇用環境整備介護休業や介護両立支援制度等(※)の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下①~④のいずれかの措置を講じなければならない。
① 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
② 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

★ ※ ⅰ介護休暇に関する制度、ⅱ所定外労働の制限に関する制度、ⅲ 時間外労働の制限に関する制度、ⅳ 深夜業の制限に関する制度、ⅴ介護のための所定労働時間の短縮等の措置
★①~④のうち複数の措置を講じることが望ましい。

❼介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
(1)介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認
 介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項の周知と介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を、個別に行わなければならない。
※ 取得・利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められない。
・周知事項
①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)③介護休業給付金に関すること
・個別周知・意向確認の方法
①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等、のいずれか
注:①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ
(2)介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供
 労働者が介護に直面する前の早い段階で、介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深めるため、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項について情報提供しなければならない。
・情報提供期間
① 労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)、② 労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間、のいずれか
・情報提供事項
① 介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)② 介護休業・介護両立支援制度等の申出先(例:人事部など)③ 介護休業給付金に関すること情報提供の方法①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等、のいずれか
注:①はオンライン面談も可能

★情報提供に当たって、「介護休業制度」は介護の体制を構築するため一定期間休業する場合に対応するものなど、各種制度の趣旨・目的を踏まえて行うことが望ましい。
★情報提供の際に、併せて介護保険制度について周知することが望ましい。

❽介護のためのテレワーク導入
要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化

★今回の改正でテレワークが義務付けられたものではない。


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【25春闘】交運労協・連合「交通・運輸」部門連絡会 2025春季生活闘争勝利3.3総決起集会

2025-03-04 | 書記長社労士 労働組合

交運労協・連合「交通・運輸」部門連絡会 2025春季生活闘争勝利3.3総決起集会
~この国の社会を支える私たちキーワーカーにふさわしい賃金と労働条件を勝ちとろう!~

 昨日は田町交通会館で、交運労協の春闘決起集会に参加。
集会は、樋口私鉄総連書記長(連合交通運輸部門連絡会事務局長)の司会で始まり、集会議長に成田運輸労連委員長(交運労協副議長)を選出。
挨拶に立つのは池之谷交運労協議長。
池之谷交運労協議長は、「社会を支えるキーワーカーにふさわしい賃金・労働条件を勝ち取るため、最後まで闘い抜いてほしい」とした。
さらにコロナ禍で流失した人材と生産年齢の減少が相まって要員不足が産業の喫緊の課題だと指摘、「これは他産業と比較して低賃金であることが要因としてあげられる。要員の安定的確保には労務費などコストの適正な価格転嫁による運賃・料金の改定を行い、日本経済を支える社会的役割に見合った、他産業に劣らない賃金・労働条件の構築が必要だ。この春闘を通じて交通運輸・観光サービス産業の重要性をアピールしなければならない」などと訴えた。


 そして決意表明するのは森屋隆私鉄総連組織内参議院議員。


集会宣言(要旨)

 私たちは本日、田町交通ビルにおいて300名の仲間が結集するなか、「この国の社会を支える私た ちキーワーカーにふさわしい賃金と労働条件を勝ちとろう!」をスローガンに掲げ、2025春季生活 闘争勝利3. 3総決起集会を開催した。
いま、物価高騰の嵐が私たちの家計を直撃している。2024年の実質賃金は3年連続のマイナスとなった。名目賃金に当たる現金給与総額は33 年ぶりの高い増加率だったものの、消費者物価指数を上回ることができなかったからだ。

 2024春季生活闘争における賃上げの成果が物価高騰に相殺された現実を踏まえるならば、2025年 の闘いにおいては物価高に負けない大幅賃上げを何としても勝ちとらなければならない。
また、これ以上の産業間格差を拡 大させないために、他産業に劣後することのない賃金水準を獲得していかなければならない。

 2024年の人手不足を起因とする倒産件数は2013年以降で最多に達し、とりわけ、 サービス業や運輸業など労働集約型産業における増加が顕著だ。その具体的要因として、「求人難」、 「人件費高騰」、「離職」などが挙げられ、人材確保のために「防衛的賃上げ」を行わざるをえない労 働集約型産業の苦境が映し出されている。
人材は産業の基盤である。求められているのは、業績改善に裏打ちされた賃上げ環境の整備であ り、その要諦は適正な価格転嫁の推進だ。今通常国会に提出が予定されている「下請代金法改正法 案」の成立により、物流業界において労務費の価格転嫁の適正化を図るとともに、鉄道•バス・タク シーなど公共交通分野においては、費用変動に対応しうる運賃・料金制度の見直しを求めていく。

 交運労協が掲げる政策•制度要求や物流クライシス、ライドシェア新法制定阻止、カスタマーハラ スメント対策など企業内の労使関係の範疇を超えた諸課題の解決のためには、政治との関わりが不 可欠であり、交運労協政策推進議員懇談会とさらに連携を強化していかなければならない。

 私たち交運労協に結集する60万人の仲間は、2025春季生活闘争を、持続可能な交通運輸•観光サ ービス産業の構築に向けた橋頭堡とするために、「産業の基盤たる人材の確保」、「拡大する産業間格 差の是正」、「物価高騰に対する実質賃金の確保」、「賃上げの原資となる価格転嫁の推進」、「産業内の 規模間格差の是正」という五つの視点を掲げ、全力で闘い抜くことを宣言する。

2 0 2 5年3月3日
交運労協•連合「交通・運輸」部門連絡会
2 0 2 5春季生活闘争勝利3. 3総決起集会

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【メモ】「不可避な労働者概念の見直し」⇦まさにその通りだと思う❕

2025-02-25 | 書記長社労士 労務管理
〇世界的にギグワークが拡大
⇒「Gig(1回限りの演奏や短いセッション)」+「Work(仕事)」を組み合わせた造語
⇒労働契約を締結せず短時間または単発の仕事を受注する働き方
・有給の試算を利用するシェアリング(共有)タイプの労働力利用…UberEats(フードデリバリー)やTaskrabbit(家事代行)など
・インターネットを介してクラウド(群衆)にアクセスし必要な労働力を調達する「クラウドソーシング」…crowdworksやLancersなど
・デジタルプラットフォームを介した雇用のスポットワーク…Timeeなど

〇自由を希求する労働者
⇒時間や場所にとらわれない自由な働き方にその魅力を見出している
⇒企業労働への忌避感が強い、就労の開始と終了はアプリを立ち上げるというワーカーの自由意志、直接対面したコミュニケーションも必要ない


〇新しい働き方の課題
⇒取引される労働力の「労働条件」ともいえる仕事の依頼そのものや報酬額は、膨大なデータとアルゴリズムを独占しているデジタルプラットフォームによって優位に決定されている
⇒就労の依頼を断り続けるとアプリの利用が停止される(事実上の解雇)、料金交渉も出来ない、AIによって最適化された働き方が求められるが最適化はアルゴリズムによるものであって決して人間的な最適化がなされているわけではない
⇒雇用における「人の支配」が、ただ「アルゴリズムによる支配」に変わっただけ
⇒命令の鎖が見えないだけで「自由」であると錯覚していないか?

〇プラットフォームワーカーは個人事業主として扱われている
⇒当然、形式的には労働者としての保護もなく、有利な社会保障の適用もない
⇒自由な働き方を得る一方でこれらの利益を失っている
⇒将来、低年金や無年金となりかねず、このような働き方を「個人事業主」として放置しておくことは社会的にも負の影響

〇スポットワークの利用は意外に中高年層の利用が多い
⇒単発の仕事だけに、中高年層にとって不慣れな仕事となり労災の危険性も高まる
⇒以前、日雇い派遣が問題となったがそれと同じ構造がある

〇不可避な労働者概念の見直し
労働基準法上の労働者については「使用従属性」の有無によって判断される
⇒①指揮監督下の労働、②報酬の労務対償性、③労働者性の判断を補強する要素
⇒工場労働など典型的な労働関係が労働の多数を占めてきた時代に構築されてきた
⇒普遍的基準と位置付けられるものではない
⇒ホワイトカラーを中心に明確な指揮監督下で労働に従事していない場合も増えている、リモートワークなど場所的・時間的拘束性も緩和されている、デジタルPFを介した就労の増加など就労形態の多様化
⇒過去の事例を根拠とした判断基準をそのまま当てはめようとすること自体に問題が…

〇あるべき労基法上の労働者の解釈
・労基法は単なる労働者個人の保護法ではない
⇒企業が集団的な組織であることを前提としている…就業規則制度、一斉休憩の原則など
⇒労働者らは一定の組織に組み入れられていることを前提とした法制になっている
・浜村彰法政大名誉教授
⇒労基法第9条の「使用される」は、
自然人たる就業者が相手方の業務遂行に不可欠な労働力として「利用される」ことを意味するものとして広く解釈すべき
⇒そのうえで事業組織の組み入れという要素を重視する
・業務遂行上の指揮監督の有無
⇒アルゴリズムによる支配という点にも配慮が必要
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厚労省は「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」って軽く言うけど、同一労働同一賃金の実効性を放置してこれはあかんやろ…💢(いまさらながら)

2025-02-20 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 高年齢雇用継続給付は、高年齢者の就業意欲を維持、喚起し、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的とし、60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の一定の雇用保険一般被保険者に給付金を支給する制度です。
 このたび、「雇用保険法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第14号)の施行により、令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率が変わりますので、お知らせします。
 具体的には、60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない方はその期間が5年を満たすこととなった日)が
令和7年3月31日以前の方 ・・・ 各月に支払われた賃金の15%(従来の支給率)を限度として支給されます。
令和7年4月1日以降の方 ・・・ 各月に支払われた賃金の10%(変更後の支給率)を限度として支給されます。


 昭和40年4月1日以降生まれの人が対象になるってことで、自分の同級生からや~😂

 この制度見直しの「背景」としては、政府(岸田政権)は、
○2025年度には60 ~ 65 歳未満の労働者の継続雇用対象労働者の限定に関する経過措置が終了し、60 歳以上 65 歳未満の全ての労働者は希望すれば継続雇用制度の対象者となること。
○「働き方改革」による、いわゆる「同一労働同一賃金」によって、今後、高年齢労働者も含め、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保が求められていくこと。
 よって、雇用継続給付としての高年齢雇用継続給付については、段階的に縮小することが適当である。

とした。

 60歳以降、継続雇用や定年延長で、65歳までの雇用義務が、事業者に課せられているから、雇用形態はいろいろありつつも65歳までは、自分が希望すれば働ける。
ただし、60歳以降の賃金がどうなるのかは、会社によって大きく違う。
定年延長とは言いながら、60歳までの賃金引き上げのピッチが据え置かれていたり、下げられていたりという企業は少ないというのが自分の実感。
60歳定年再雇用では、1年毎の有期雇用になったりで、賃金自体を低い設定にされていたり、役職を降ろされていたりする企業が多い。
働き方改革によって、パート有期労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)となり、同一労働同一賃金の考え方が基本となったが、是正されているとはなかなか言えない状況であって、さらにそのパート有期法による同一同一は正社員と有期雇用のあいだのことであり、正社員と60歳以降の正社員では、これは適用されない。
ということでは、パート有期労働法改正によって受給できる人が減っているってのは確かながら、この「高年齢雇用継続給付」は、「公正な待遇の確保が求められている」だけであって、60歳前と60歳以降の賃金実態では実現性が足りないことゆえ、そこから漏れている労働者が多くあるならば、この制度はまだまだ必要であるはずなのに…。

 厚生労働省の様々な審議会では、労働保険・社会保険において、支給や補助の見直しが進められているが、大枠としての理屈はそうやけど、その理屈からこぼれている少数者に対しての視点が足りないのではないかと思うことが多い。
自分も労働政策審議会職業安定分科会で「失業認定」について労側の打ち合わせでめっちゃ暴れたことがあったけど伝わらなかって、そのまま改定されたことがあって、「あななたち、失業したことないでしょ!」って叫んだことがあった。
第3号被保険者とか、高額療養費とか、令和7年度の雇用保険料でも、その他いろいろ、労働側の代表である連合が、データで見たらそうなんやけど、数では少数ながらも救ってあげなければならない根本的理由があるのに、そのことは放置したまま、なんでそんな主張するねんって怒りを覚えることが少なくない。
「一人でも泣いている人がいないように」。
自分はそのことを忘れることなく、労働運動・政策運動をこれからも実践していく❕(…が、声に対する扱いは小さいのが悲しい)


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高額療養費制度改悪案は、たくさんの人が死に、たくさんの遺族が発生する、ってのは間違いなくあり得る…「治療と仕事の両立」を謳っている政府方針に逆行している💢

2025-02-18 | 書記長社労士 政治

【18 💪NAS6-11 VerticalChestPress65kg PeckDeckFly34kg PullOverM40kg AbM45kg】 令和7年1月23日の第192回社会保障審議会医療保険部会を経て、今国会に法案提出される予定の「高額療養費制度の見直し」。

⚫高額療養費について、高齢化や高額薬剤の普及等によりその総額は年々増加しており、結果として現役世代を中心とした保険料が増加してきた。そこで、セーフティネットとしての高額療養費の役割を維持しつつ、健康な方を含めた全ての世代の被保険者の保険料負担の軽減を図る観点から、以下の方向で見直す。
⚫具体的には、負担能力に応じたきめ細かい制度設計を行う観点から、①各所得区分ごとの自己負担限度額を引き上げる(低所得者に配慮)とともに、②住民税非課税区分を除く各所得区分の細分化を実施する。
(前回見直しを行った約10年前からの平均給与の伸び率が約9.5~約12%であることを踏まえ、平均的な所得層の引き上げ幅を10%に設定。)
(各所得区分(住民税非課税を除く)を3区分に細分化し、それぞれの所得に応じて、自己負担上限額を引上げ(激変緩和措置として2段階で引上げ)
⚫併せて、年齢ではなく能力に応じた全世代の支え合いの観点から、低所得高齢者への影響を極力抑制しつつ、70歳以上固有の制度である外来特例の見直しを行うことにより、全ての世代の被保険者の保険料負担の軽減を図る。



 この高額療養費制度を使ったことがない人は解らないと思うが、大きな怪我をして、または長期に治療が必要となる病気に罹った人にとってはこの制度のありがたみは重要で、治療を継続し続けられるかどうか死活問題である制度。

 例えば、最終改正の2027年8月以降で考えると、年収769万円の人の場合(高収入に見えるかも知れないがこれはあくまで総支給額として)、ボーナスなどを考慮せずに単純に12月で割ったら64万円で、所得税・住民税や社会保険料などを引かれた手取りでは概ね580万円、月額で48万円くらい。
この人が、病気やケガで休業して、健康保険の傷病手当(標準報酬月額の3分の2≒43万円、標準報酬月額にはボーナス分は含まれないのでボーナスが多い会社ではもっと安くなる、例えば月給は42万円で、ボーナスが年間266万円なら、傷病手当金は標準報酬月額が41万円なので約27万円)を受けながら、13万8400円までは医療費を払えと…。
今までの80,100円+αでも、住宅ローンや家賃に教育費、車のローンとか生活に必要な費用は容赦ないし、高額療養費に含まれない通院費なども考えたら生活が維持できるかどうかかなり厳しいはずなのに…。

 長期治療が必要で、高額な医薬品や治療が必要な、ガン患者や難治性の傷病の方など、収入によって、または家族構成によっては、生活を維持するために治療を諦めなくてはならないケースが増えることは想像に難くない。
「厚労省は今回の見直しで5330億円の税や保険料を減らすことができるとしていますが、そのうち2270億円は受診をやめる受診控えが起きると想定した数字です」というコメントをSNSで見たが(正確性は解らない)、生活のために受診控えが起こることはあり得る。


 WHO(世界保健機関)は「手取り額から生活費を引いた額で、医療費の割合が40%を超える」場合を「破滅的医療支出」と定義しているそうで、今回の高額療養費引き上げが行われた場合、多数回該当を除き、全ての収入で破滅的医療支出を超える水準となる試算が出ているという検証があるようだ。
その通りだと思う、たくさんの人が死に、たくさんの遺族が発生する、ってのは間違いなくあり得る。

 現行の高額療養費制度でも、自分は大きな問題があると思っている。
①「合算対象」と、②「数該当高額療養費」だ。

①合算対象とは、
「70歳未満の方の場合は、受診者別に次の基準によりそれぞれ算出された自己負担額(1ヵ月)が21,000円以上のものを合算することができます。
医療機関ごとに計算します。同じ医療機関であっても、医科入院、医科外来、歯科入院、歯科外来にわけて計算します。
医療機関から交付された処方せんにより調剤薬局で調剤を受けた場合は、薬局で支払った自己負担額を処方せんを交付した医療機関に含めて計算します。」


②多数該当高額療養費とは、
高額療養費として払い戻しを受けた月数が1年間(直近12ヵ月間)で3月以上あったときは、4月目から自己負担限度額がさらに引き下げられます。
※1 多数該当は同一保険者での療養に適用されます。国民健康保険や健康保険組合から協会けんぽに加入した場合など、保険者が変わったときは多数該当の月数に通算されません。
※2 多数該当は同一被保険者で適用されます。退職して被保険者から被扶養者に変わった場合などは、多数該当の月数に通算されません。


①合算対象では、入院で8万円、その後の通院で20,900円では、高額療養費制度が使えない。
②多数該当高額療養費では、高額療養費制度に該当しない限り、一生、適用がない。(毎月通院8万円なら、いつまで経っても上限額44,400円となる対象とならない、さらに※1と※2で多数回該当が外れてしまうケースも少なくない)
ってことでは、政府は「治療と仕事の両立」を政策として進めていくと言っているなら(厚生労働省「治療と仕事の両立ナビ」)、今回の厚生労働省の改悪案より、もっとこの制度を改正して欲しいくらいやねんけど💢

 財務省曰く「令和6年度の国民負担率は、45.1%となる見通しです」財務省 令和6年度の国民負担率を公表します
収入の半分も国に持って行かれてるのに、病気になったら、「治療を諦める」ってことは「死ね」っていう方向に持って行かれる国って、おかしいやろ❗
声を上げていく❗

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