三流読書人

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ドングリ小屋住人 

・・・前よりしも来たらず 後ろより迫れり

2008年11月20日 16時11分39秒 | いいんじゃない
 先日竜神・高野山・18日は御在所岳と今年は紅葉を見る旅が多い。
 紅葉も良く見ると落葉するとすでにあとには芽があります。もう春の用意をしているのです。

 『・・・ 春暮(れ)て後、夏になり、夏果てて、秋の来るにはあらず。春はやがて夏の気をもよほし、夏より既に秋はかよひ、秋は則(ち)寒くなり、十月は小春の天気、草も青くなり、梅もつぼみぬ。木の葉のおつるも、まづ落(ち)て芽ぐむにはあらず。
下よりきざしつはるに堪(へ)ずして落(つ)るなり。迎ふる気、下に設けたる故に、待ちとるついで甚(だ)はやし。生・老・病・死の移(り)来る事、またこれに過(ぎ)たり。四季はなほ定(ま)れるついであり。死期はついでをまたず。死は前よりしも来らず、かねて後に迫れり。人皆死ある事を知(り)て、まつこと、しかも急ならざるに、覺えずして来る。沖の干潟遥(か)なれども、磯より潮の満つるが如し。 』

 とこれは、吉田兼好「徒然草」百五十五段の後半である。
 書いてあることは、要するに四季のうつろいは夏が終わって秋が来るというのではなく夏の盛りもすでに秋を準備している。紅葉の下には春にふく芽が準備されている。こうしてひとつの季節ががはててしまって次の季節がくるのではなく次に来るべき季節に押しだされるように古いものが消えてゆく。しかし、人の死期は季節のように順序があってくるのではない。死というものは順序を待たず突然やってくる。「死は前よりしも来たらず、かねて後より迫れり」「覚えずして」来る。というぐらいのようである。
 何となくわかるような気がする。
 歳か。


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