1969/04/09に生まれて

1969年4月9日に生まれた人間の記録簿。例えば・・・・

ドクターS

2011-04-18 00:06:59 | リトルリーガーの記録
さて、どこから記録したらよいものか・・・長くなりそう・・・。

本日、夕刻、父が勤務する病院の外来のロビーに、ドクターSは父と共に現れた。

日曜日で外来のシステムが使えなかったから、診察は、5階病棟のナースステーションで始まった。父が病院のサーバーにアクセスし、モニターにCT像を呼び出す合間に、ドクターSは踵の触診を始め、踵、膝の屈伸や進展の状態を確認し、体重のかけ具合から痛みの箇所や強さを調べていった。その検査は15分くらい続いた。そして、次にベッドが置いてある空き部屋へ移った。先生は、愚息をパンツひとつにすると立った状態の愚息を真正面からするどい視線で観察を行った。そして、その強い視線のまま、愚息を何度か往復させて歩かせた。そのあとは、愚息をベッドに寝かせると下半身の各関節の可動域や筋力を調べていった。また、座らせた状態での膝上げや骨盤の使い方を調べって言った。そこでの検査は30分くらい続いたのだけれど、一見するとそれは整体にも見えた。
カミさんが言った。
「気持ちよさそう~、アタシもしてもらいたか~」

その後、ステーションに戻ると、ドクターSは慣れた手つきでビュアーソフトを使いこなしながら、父とアレコレ話しを進めていった。ボクも少しそれに加わった。

そして、いよいよ診断。
6脚の瀟洒な椅子が配置された円卓のある相談室へ移動と相成った。

まず、骨嚢腫について・・・・。

結論から言えば、現状での手術はオーバートリートメント、つまり過剰治療になるとの判断。踵骨は想像以上に強靭で、画像でみるとかなり薄くなっているように見えるけど、現状で一般スポーツにおける問題はないとのこと。経過観察で悪化傾向が把握されるか、骨嚢腫による痛みが発現された場合に手術の検討をすべきとのこと。さらに、手術となれば、嚢腫部分の掻爬のあとに自身の腸骨を使った骨移植をする必要があるのだけれど、成長過程における腸骨の骨移植は、骨端に傷をつける可能性のある難易度の高い(リスクを伴う)手術であること、といって人工骨を使用するという手もあるらしいのだけれど、それにもイロイロと問題があるらしいとのこと。手術は間違った治療ではないけれど、現時点ではお奨めできないとのことだった。さらに痛みは骨嚢腫が原因ではないとのことだった。

そして、ここから、「痛み」について・・・。

ドクターSの一言は強烈だった。
「・・・彼は歩くことすらできていない、まともに「立つ」ことすらできていない・・・」
要するに体のバランスを崩していて、そのバランスを崩した状態での練習やトレーニングが踵骨を取り巻く筋肉に異常をきたしていて、それが痛みとなっているとのことだった。
バランスやフォームを崩しているために、それをかばおうとして無理な筋肉(体)の使い方をして、さらに、使われるべき筋肉が使われないようになってしまっているとのことだった。
今の愚息に、技術トレーニングは全くムダと言われた。
ドクターSと激しい議論になりながら、その最中に、全身から汗が滲むのがわかった。
先生の指摘は、ボクの奥の深いところでわかっていることだったからだ。

昨年、愚息が肩を怪我したときからわかっていたことだけど、それは人に理解してもらうことは難しいし、それが正しいのか間違っているのかも分からなかったから、このバカブログでは紹介していなかった。
実は、その頃から、ボクの目には、愚息の体がバランスを失っているように見えていた。
年明けから二人でランニングを主とするトレーニングを始めたと記録したけど、それはバランスを取り戻すことを期待したトレーニングだった。
まず、取り組んでいたのは歩行トレーニングだった。といってナニが歩行のトレーニングになるか分からなかったから、トニカク、正しくきちんと歩こうということで1km弱を歩き、そこからペースを上げていってランニングになるのだけれど、そこでいつもこだわっていたのは走姿だった。それと、体に対する強い意識を持つ走りだった。ランニングをしない日はバランスディスクを使ったバランストレーニングだった。

ボクはドクターSに率直に話した。簡単?に早く走るコツについて、しかし、それが子供にとって如何にハイリスクなもので、だけど、それを愚息に求めていたことも・・・。
「・・・ソレは、子供には早すぎます。ソレは体が出来上がってからでいいんです・・・、今の彼にはリハビリが必要なんです。」
ドクターSは、バランスを崩した状態でのオーバーユースが原因であることを何度もボクに言って聞かせた。そして、体の巧緻性が失われつつあることも・・・・。
ボクはわかっていたけど、あえて聞いた。
「うちの息子は不器用ってことなんですか?、それじゃぁ、今までのパフォーマンスはなんだったんでしょうか?」
「素材がいいんですよ、素材が」
ドクターSには、醜い親に見えたかもしれない。
「・・・実際のところ、先生とお話しできて楽しいというか面白いというか嬉しいです。先生と会えるのが遅くなった場合に先生にお渡しする予定だったCDに、息子のパンツいっちょ姿の正面や側面の画像を入れておいたんです・・・、さすがに、歩く動画までは入れていなかったのですが・・・、最近のピッチングフォームは何かの役に立つかもと思って入れておきました・・・」

ボクは久しぶりにレベルの高い話しができて、すっかり興奮してしまい、かなりマニアックな話しになったりしたけど、一番不安に思っていたことを開口一番に指摘されことが何より嬉しかった。信頼できると思ったし、やっぱり日本一のスポーツドクターは違うなと思った。

1階の外来ロービーから5階の病棟に向かうまでの世間話が印象深かった。
「JFAアカデミーには優秀な子供ばかりが来てるんでしょうね~」
「・・・う~ん、まぁだいたいのレベルにある子供たちなんですけど、実際は面接重視なんですよ、・・・これから伸びそうな子を選抜してるんですよ・・・・、一番大事なのココなんですよ・・・・」
ドクターSは、胸に手を当てて見せた。
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