1969/04/09に生まれて

1969年4月9日に生まれた人間の記録簿。例えば・・・・

講演その10(大泣き虫)

2011-08-17 17:39:21 | 雑談の記録


みなさんご存じのように、自然災害発生の主な原因は豪雨です。日本は気候区分上からは温帯モンスーン気候ですが、左図に示すように、日本における時間当たりの降水量は世界最大級となっているのです。つまり、1時間当たりの降水量では世界最大が200mm程度ですが、それに匹敵する雨が日本でも記録されています。1日でみると1千数百ミリという具合でやはり世界最大級の雨に見舞われているのが分かると思います。近年、ゲリラ豪雨とも呼ばれるような雨が各地で頻発しているのですが、それらは世界最大級に匹敵する雨だというふうに心得ておくべきと思います。
 ちなみに、日本の積雪量も世界最大級で、滋賀県伊吹山山頂で1927年に観測された11.82mがギネスブックに登録されています。

これまでキーワードを使用しながら説明してきましたが、日本は本当に脆弱な国土であると言えます。時間の都合上、世界の地質との比較には至りませんでしたが、欧米のそれと比べ、日本の地層というのは実に複雑で脆弱なのです。さらに、その脆弱な国土上に多くの人口を抱えています。気候的には温暖なようですが、一度大雨が降れば、それは世界最大級の雨なのです。日本で災害が多発するのには、それなりの条件があり理由があったのです。

ここに集まりの方々の多くは、土木建設に関わる方々ですが、私も含め、我々は、国土のことを良く理解した上で、多発する災害に対し、あるいは防災・減災対策に携わっていく必要があると思います。そして、日本の「国土」を守る、これが、私たち土木屋に課せられた重要な使命だと思っています。

みなさん、頑張りましょう。

さて、最後は熊本県の地質と土砂災害の関係についてです。



これは熊本の地質概略を示しています。
ここまで説明してきたキーワードで分類すると、この黄緑色の部分が「若い地層地帯」で、緑色が「モザイク地帯」になります。そして、赤、橙色が「火砕流堆積物地帯」、紫色が「吹き出物地帯」になります。各キーワード地帯には、それに特有の土砂災害があります。内容については資料を見て頂くとして、また、後ほどの各論の研修でより詳しいお話しがあると思いますので、私の話はこれくらいにして終わろうかと思います。
本日はどうもご静聴ありがとうございました。




(引用・参考文献及びウェブサイト)
1)(社)全国地質調査業協会連合会編:「日本の地形・地質-安全な国土のマネジメントのために」:鹿島出版会、2001年
2)鞠子正:「環境地質学入門」、古今書院、2002年
3)杉村新・中村保夫・井田喜明編:「図説地球科学」、岩波書店、1990年
4)国立天文台編:「理科年表」、丸善株式会社、2001年
5)活断層研究会編:「新編 日本の活断層-分布と資料-」:東京大学出版会、1991年
6)池田安隆・島崎邦彦・山崎春雄:「活断層とは何か」、東京大学出版会、1996年
7)地震調査研究推進本部(文部科学省)地震調査委員会編:「日本の地震活動-被害地震から見た地域別の特徴-」、2009年
8)日比野敏:「技術者に必要な岩盤の知識」、鹿島出版会、2007年
9)鎌田浩毅:「マグマの地球科学」、中公新書、2008年
10)高橋正樹:「破局噴火-秒読みに入った人類滅亡の日-」、祥伝社新書、2008年
11)渡辺一徳:「阿蘇火山の生い立ち-地質が語る大地の鼓動-」、熊本県一の宮町、2001年
12)(社)熊本県地質調査業協会 地盤図編纂委員会:「熊本市周辺地盤図」、(社)熊本県地質調査業協会、2003年
13)斎藤眞・宮崎一博・利光誠一・星住英夫:「砥用地域の地質」、(独)産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2005年
14)岩内明子:熊本県の斜面崩壊と土石流の特性、(財)熊本県建設技術センター研修会、「地質と防災」テキスト、2010年
15)伊藤順一:日本列島における巨大カルデラ噴火、産総研地質調査総合センター第9会シンポジウム、地質学的手法による火山活動予測-火山災害の提言を目指して-講演文集、p38~41、2007年
16)木村龍治:地球温暖化と気候変化、(社)全国地質調査業協会連合会、地質と調査、第2号、p4、2011年
17)西 英典:阿蘇火砕流堆積物(溶結凝灰岩)の工学的特性と岩石組織、全地連技術eフォーラム技術発表会、講演集、2004年
18)地球カレンダー:「21世紀の歩き方大研究」(http://www.ne.jp/asahi/21st/web/) 
19)プレートテクトニクス:「気象庁」、気象等の知識、地震・津波、地震と火山(http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/whitep/2-1.html)
20)付加体:(独)産総研 地質情報研究部門 層序構造地質研究グループ「原 英俊のホームページ」、自己紹介、付加体について(http://staff.aist.go.jp/hara-hide/accretion.html)
21)火山カタログ:「日本の第四紀火山カタログ」(http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/volcano/index.htm)
22)火山活動の期間:「(独)日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター」、研究紹介、地層科学研究、地質環境の長期安定性に関する研究(http://www.jaea.go.jp/04/tono/antei/kazan_020.html)
23)阿蘇火山:(独)産総研 地質調査総合センター「活火山データベース」、火山地質図集、阿蘇火山地質図、解説(http://riodb02.ibase.aist.go.jp/db099/volcmap/04/text/exp04-1.html)



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