1969/04/09に生まれて

1969年4月9日に生まれた人間の記録簿。例えば・・・・

講演その7(キズだらけ)

2011-08-17 17:10:48 | 雑談の記録


さきほど、少し触れましたが、地球表面は10数のプレートに覆われています。10数枚です。
この図を見て下さい。なんとですね、そのうちの4枚、太平洋プレート、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレート、10数枚のうちの4枚がこの狭い日本でひしめき合っているという状況なんです。ズバリ、こういう状況下におかれている国は、世界広しと言えども日本だけです。
私、今回の資料を作るに当たって、いろんな資料を調べたのですが、こんな環境にあるのはやっぱり日本だけでした。極論を言えば、このような環境が日本の地形・地質の特異性を作っているということになるかと思います。
さて、そして、このような環境下にあるために、つまりプレートのひしめき合いによって、この下に示すような様々なタイプの断層運動が起こり、日本では多くの地震がいたるところで発生しています。



この図は、世界で起こっている地震の震源を分布を示したものです。赤いところが濃密なほど地震がたくさん起こっているという意味しています。この図から地震の多くはプレートの衝突、あるいは沈み込み帯で起こっていることがわかります。
こちらの右上の表は、マグニチュード5以上の地震発の年間平均発生回数をまとめたものです。
この表からわかるとおり、日本では世界の年間平均発生回数の1割が発生しています。
これは多いのでしょうか、少ないのでしょうか。
日本の国土は、世界の0.3%に満たない狭い国土面積ですが、その周辺で世界の地震の10%が日本で起きているのです。欧米の地震学者の中には、日本に来て初めて地震を感じたという人がいるくらいです。世界の多くの人たちは一生に一度も地震を感じないそうです。そういう意味では私たちはラッキーなのかもしれません。



これは、日本列島の活断層分布図です。ここでの活断層を、最近180万年に活動し将来も活動する可能性のある断層とすると、全国には2000あるいはそれ以上の断層があると言われています。
ここで簡単な計算をしてみようと思います。
180万年の間に2000個の長さ数kmの断層ができたということは、1千万年で計算すると11000個の断層ができたということになります。日本はモザイクの地層で、5億年前からプレートの衝突の場にあったとすると、この間に、55万個の断層「キズ」ができたことになります。ちなみに、日本の面積は38万km2なので、1km2当たり1~2本の比較的長い断層があるということになります。
土木屋も歩けば断層に当たる、そんな具合で日本はキズだらけということがわかると思います。
ご理解頂けたでしょうか。
では、実際はどうなのでしょうか。



これは、緑川ダム付近の地質図ですが、これは新しい知見に基づいて、地質調査総合センターが調査を実施し、平成17年に刊行されたものです。私も、この調査にほんの少しだけ協力させてもらいました。
ま、それはさておき、モザイクみたいに色分けされたものが、黒い太線で分断されているのがわかるでしょうか。いっぱい分断されてますね。地質図の中でこういうふうに分断された部分、特に太い線の部分は断層を意味します。この地質図は10km×7kmの範囲ですが、私、ザッーと数えましたところ1kmぐらいにくぎった断層は68本ありました。まぁ、およそ1km2あたり1本の断層があるということになり、先ほどの計算結果と似たり寄ったりです。ですが、私の経験からすると、短い断層を含めれば、断層はもっと多いと思われます。
断層には、連続性の良い大断層がときどきありますが、このような大断層沿いでは過去に大規模な地すべりが発生しています。この赤で囲ったようなところです。
このように、断層は、地表に現れたキズであり劣化部であるため、当然、土砂災害なのどのリスクが極めて高いところと言えます。のちほど、別の講師の方が各論で、断層沿いに土砂災害が発生しやすいという話しをするかと思います。
ご理解頂けたでしょうか。
では、次のキーワード「吹き出物がいっぱい」にいこうかと思います。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 講演その6(モザイク2) | トップ | 講演その8(吹き出物がいっぱ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

雑談の記録」カテゴリの最新記事