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千里の道も一歩から

フルミスト再度接種推奨へ

2018年03月06日 | 医療情報

すっかり春の陽気で花粉症の患者さんが小児科、内科ともにかなり増えてきています。

今年のスギ花粉の飛散量は例年通りですが、昨年に比べると1.5~2倍程度多いようです

自分は屋内で仕事をしているためか、または4年目を迎えたシダトレン(舌下免疫療法)の効果かは分かりませんが、ちょっと目がしょぼしょぼ、鼻がムズムズする程度で今のところ軽く済んでいます

しかし今だにインフルエンザA型、B型が混在し、1日5~6人の患者さんが出ており、まだ完全に終息したと安心は出来ません。

そんな中、米国疾病管理予防センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)が、次のインフルエンザシーズンである2018/2019シーズンに、「フルミスト:経鼻噴霧型インフルエンザ生ワクチン」を再度接種推奨することを決定しました。

フルミストは鼻に噴霧するタイプの弱毒化生ワクチンで、当クリニックでも4年間使用した経験がある輸入ワクチンです。

2013/2014シーズンから米国内でのワクチンの効果が低いと指摘され、CDCでは2016/2017シーズン以降、フルミストはインフルエンザの予防接種として推奨しないとされていました。

このことから当クリニックでも今シーズンはフルミストの取り扱いは断念していました

しかし、販売元である英国AstraZeneca社が行った米国内での臨床試験の結果(以下参照)を受けて、来シーズンはフルミストを皮下注射の不活化ワクチン同様に推奨することになったようです。

 2歳~4歳の小児200人を対象にA(H1N1)pdm2009に対する抗体の上昇率を評価

 2015/2016シーズン用フルミスト 

  1回接種後 5% → 2回接種後 12%

 2017/2018シーズン用フルミスト

  1回接種後 23% → 2回接種後 45%

2017/2018シーズン用フルミストでは、2015/2016シーズン用フルミストと比較すると明らかに抗体上昇率が高いことが分かります。

フルミストは原則1回接種ですが、9歳未満で接種歴がない、またはインフルエンザに罹ったことのない人は4週以上あけて2回目の接種を行います。

今シーズンは皮下注射の不活化ワクチンが全国的に不足していたため、フルミストの需要が高かったはずですが上記の理由で取り扱いを中止した医療機関も多かったようです。

欧州のみならず、かなりの数の臨床使用経験のある米国でフルミストの接種が推奨されることになると、今秋のインフルエンザ予防接種の時期には日本国内でもフルミストの需要も増えそうです。

なんと言っても鼻の中に噴霧するだけなので痛みがないのが特徴です

第一三共㈱が承認申請中の経鼻噴霧型ワクチンが早く国内でも発売されると良いのですが。。。