nakacli.blog

千里の道も一歩から

マイコプラズマ流行ってます

2016年08月23日 | 医療情報

7月から8月にかけてクリニックではマイコプラズマ肺炎のお子さんが多くなっています

原因菌は?

Mycoplasma pneumoniae:肺炎マイコプラズマ」という菌に感染することによって発症する呼吸器感染症です。

日本では従来4年周期でオリンピックのある年に流行を繰り返してきたため「オリンピック肺炎」と呼ばれたこともありましたが、最近は毎年感染者が報告され以前のように定期的に全国的な大流行を引き起こすという傾向は崩れてきているようです。

好発年齢は?

6~12歳の小児であり、幼児期、学童期、青年期での発生頻度が高い感染症の一つです。

潜伏期と感染経路は?

潜伏期間は2~3週間とされ、感染した人の咳やくしゃみに含まれる病原体によって感染する飛沫感染と、病原体を触った手で口や鼻を触ることによって感染する接触感染とがあります。

症状は?

初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛など。

咳は初発症状出現後3~5日から始まることが多く、初めの頃は乾いた咳ですが、経過に従い咳は徐々に強くなり後期には痰がらみの咳となってきます。
幼児では鼻水が頻繁に見られることもあります。

頑固な咳嗽と発熱が持続する場合は異型肺炎像を呈していることが多く、中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などを合併することもあります。

診断は?

確定診断には患者の咽頭拭い液、喀痰よりマイコプラズマを分離する培養方法や遺伝子検査(LAMP法、PCR 法)が開発されていますが、結果まで時間がかかったり実施可能な施設は限られているため、インフルエンザと同様の咽頭ぬぐい液による迅速検査(15~20分後判定)や血清診断(血液検査)が外来では多く使用されています。

血清診断は1回目(単一血清)で320倍以上の抗体価があればマイコプラズマの診断確定ですが、それ以下の場合は時間を空けて再度1-2週間後に検査し(ペア血清)で4倍以上の上昇を確認する必要があります。

外来で簡単に行える迅速検査も、最も信頼性の高い遺伝子検査と比べると感度(結果陽性が本当にマイコプラズマ感染であると判定される確立)は約60%と低く、さらに検査の時期やのどの分泌物の取り方次第で感度は低下します。

また偽陰性や偽陽性の反応もあるため注意が必要です。

治療は?

マクロライド系抗菌剤(クラリス、クラリシッド、ジスロマックなど)の服用が第一選択薬とされていますが、近年では耐性菌(マクロライド系抗菌剤が効かない)が80%以上という報告もあり、服用後2~3日で解熱しないようなら無効と判断し、小児の場合はトフロキサシン(オゼックス)やテトラサイクリン(ミノマイシン:原則8歳未満は禁忌)などの服薬へ切り替え1週間ほど服用します。

ほとんどの場合は外来での内服薬で改善します

いつから幼稚園、学校へ行ける?

学校保健安全法における取り扱い(2012年3月30日現在)では明確には定められていませんが、条件によっては第3種の感染症の「その他の感染症」として、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまでの期間の出席停止の措置が必要と考えられる、とされています。

しかし一般的には、症状が改善し発熱や激しい咳が治まっていれば、状態を見ながら登校・登園をしても大丈夫、と判断します。

今年はリオ五輪の年、やはりオリンピックイヤーにマイコプラズマが流行するとのジンクスは復活なのでしょうか