Memorandums

知覚・認知心理学の研究と教育をめぐる凡庸な日々の覚書

藤巻健史  企業買収の本格化

2005-02-27 | Social issues
 今回のライブドアのケースも、時間外取引などのテクニカルな問題よりも、日本的な「社会主義的資本主義」が国際的趨勢の中で「株主資本主義」にどのようにして対応しうるか、という観点で議論されるべきなのだろう。日本企業の株式時価総額の低さが、今国会に提出される新会社法案の施行後は海外による合併、買収を招くという「資本開国」の指摘は興味深い。これに対抗する国内での企業合併は今後さらに加速せざるを得ない。


Reference
藤巻健史 2005/2/27 企業買収の本格化 オピニオン 朝日新聞
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中井久夫 アリアドネからの糸

2005-02-25 | Books
いじめの政治学

 「・・・  いじめかどうかを見分けるもっとも簡単な基準は、そこに相互性があるかどうかである。鬼ごっこを取り上げてみよう。(中略) もし鬼が誰それと決められていれば、それはいじめである。・・・」
 「・・・ 増大するのは一部のものにとっての権力感である。(中略) 多くの者は権力側につくことのよさをそこで学ぶ。・・・」


一部の教師は権力欲の虜となっていることに気づいていない。子どもはそれを学ぶ。

Reference
中井久夫 アリアドネからの糸 みすず書房 1997
 
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情報処理スキルの周辺

2005-02-25 | Education
今後の情報処理教育を考えるために。
教育工学/図書館学の分野で安達氏が紹介している提案。
学生ばかりでなく、FDにも関連すると思う。「習い事」的教育観、「読み書きそろばん」を「基礎」と考える教育観の旧弊を脱するために、基礎/入門教育から問い直されるべきだろう。

Digital-Age Literacy-デジタル時代のリテラシ
Basic, scientific, economic, and technological literacies
Visual and information literacies
Multicultural literacy and global awareness

Inventive Thinking-創造性のある考え方
Adaptability and managing complexity
Self-direction
Curiosity, creativity, and risk taking
Higher-order thinking and sound reasoning

Effective Communication-効果的なコミュニケーション
Teaming, collaboration, and interpersonal skills
Personal, social, and civic responsibility
Interactive communication

High Productivity-高い生産性
Prioritizing, planning, and managing for results
Effective use of real-world tools
Ability to produce relevant, high-quality products

References
安達一寿 2004 “「情報科」後の図書館利用教育 -変わる利用者をどう迎えるか-”, 第6回図書館総合展
http://www.jumonji-u.ac.jp/sscs/k-adachi/presentation/tosho2004-11-26/index.files/frame.htm

Learning Point Associates.
http://www.ncrel.org/engauge/
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心理学における情報教育

2005-02-25 | Education
 2003年から高校において情報処理教育が本格化したことによって、大学でも学生に対する情報処理教育の内容についての見直しの議論が盛んだ(2006年問題)。
 従来のワープロ、ネット検索、メール程度の内容は、特殊事情の一部学生をのぞいてほとんどの学生には不必要であろう。心理学教育では、初等教育としての表計算や統計ソフトは必要だろう。専門課程では、専門的なデータベースやネットワークの活用、簡単なプログラミング言語の習得、プレゼンテーションの実習など、実際の研究活動に必要な内容に集中することになると思う。またネットを中心とした広義のコミュニケーションのあり方、情報倫理についての教育はむしろ重要になろう。
 そして、これらを「どのように学ぶか」について教師と学生の双方が考える必要がある。学生が教師に「教えてもらう」ことがその本質ではない、ということだ。教師が「すべてを知っている」ことを前提とすれば、早晩そのような教育は破綻するだろう。


Reference
大学等の一般情報処理教育に関するメーリングリスト
http://groups.yahoo.co.jp/group/TheLiberalArts/messages/1?expand=1
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Position-updating hypothesis

2005-02-25 | Research: V. Interp.
dynamic occlusion
<--- a retinoscopic representation
<--- a distal representation

cf. anorthoscopic perception

Reference
Shipley & Cunningham (2001)
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Persistence hypothesis

2005-02-25 | Research: V. Interp.
shape: Turvey & Kravetz, 1970
stimulus motion direction: Demkiw & Michaels, 1976; Shioiri & Cavanagh, 1992




References
Shioiri, S., & Cavanagh, P. (1992) Visual persistence of figures defined by relative motion. Vision research, 32(5), 943-951.
Turvey, M., & Kravetz, S. (1970) Retrival from iconic memory with shape as the selection criterion. Perception & Psychophysics, 8(3), 171-172.
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入学前課題の結果について:講評 

2005-02-23 | Education for 学部1,2年
以下は、高校生対象の入学前課題についての講評の一部。学生・生徒の皆さんには学習の参考に。教員やその他の方には、何かのお役に立てば幸甚。
-----------------------------
1. 課題の評価について
 数学課題については10問の問題がありましたので、1問10点で採点しました。読書課題については、その内容、形式(文章表現)についてA、B、Cの3段階で評価しました。
 数学の全体の平均点は 80.0 点でした。また問題ごとの平均点は問題1が 22.1 (30点満点)、問題2が 8.7 (10点満点)、問題3が 49.2 (60点満点) でした。
 小論文の評価でA評価の方は39人中24人でした。

2. 各課題についてのコメント
(1) 数学課題
数値計算について:
 ケアレスミスが多くみられました。間違えることはしかたがないかもしれませんが、後からそのことに気づくことは、かなりの場合、可能です。計算結果をもう一度確認する習慣をつけましょう。
論理的思考について:
 確率の問題では、論理的にものごとを考えることが特に大切です。ここでは複数の事柄がおこる確率が等しいと言えるのかどうか、もう一度考えましょう。

(2) 読書課題
・文章表現について:
 横書き、「 ・・・ だ。」「 ・・・である。」調で書くことにあらためて注意しましょう。
 段落分けが適切でないと思われるレポートが多く見られました。また、一般に段落の最初を1字下げることが慣習です。
・内容について:
 本などを読む場合、ただ書かれていることを「鵜呑み」にするのではなく、「批判的に」読むことがとても大切です。他人の書いたもの、言うことがすべて正しいのですか。
 自分なりに判断するためには、なにが必要でしょうか。まず、「事実」と「意見」を区別することが重要です。きちんとした文章や話は、たいてい事実とそれについてのその人の意見が区別されているものです。それぞれについて、読み手のあなたがどのように考えたか、がレポートになるのです。
 レポートを書く場合も、事実(本に書かれていたこと)と意見(あなたの考え)を区別し整理することがまず必要です。事実を根拠としてあげて、それをもとに自分なりの考察を展開することがレポートの基本です。

3. 入学されるまで、そして今後の学習について
 大学では、まず資料やテキストを各自がしっかりと読み、理解することが求められます。そのためには日頃から新聞などを読む習慣をつけることが有効です。まず興味をもった読みやすい記事でかまいませんから、毎日1つでも2つでもじっくり読む習慣をつけましょう。手元に新聞がなければ、図書館でもどこでも探してみましょう。
 つぎに、理解したことについて自分なりに考えて意見を持ち、それを自分のことば、文章で表現すること、つまり他人に伝えることが常に必要になります。これは大学の中だけではなく、どのような生活あるいは職業でも求められることです。その際に大切なことは、まず事実と意見を区別することです。事実を根拠として、論理的に自分の考えを整理し展開して、結論を相手に理解してもらうことが基本です。その延長線上に大学での専門的なレポートや卒業論文があるのです。したがって、そのつもりで今から文章を読み、また自分でも書く(話す)練習を心がけてください。
 さて、以上のような作業をこれから皆さん自身がすすめる上で、現在はどうしてもコンピュータを使う必要があります。まだご自身ではあまりつかっていない方もおられるかもしれませんが、大学の1年生ぐらいのうちに是非パーソナルコンピュータの利用になれてほしいものです。
 入学当初は、もちろん皆さんがコンピュータを使うことを前提にはしないで講義が始められます。しかし、学年があがり専門的な学習が増えるにつれて、コンピュータを使うことのメリットは、特に心理学では明らかです。データ処理や文書作成、さらには実験や検査にコンピュータを使うことも増えてきます。あわてる必要はありませんが、これから1、2年のうちには、自分でコピュータを使うことができる環境がほしいと感じるかもしれませんので、そのつもりで準備しておいてください。
 最後に、このような勉強のための推薦図書をあげておきます。

推薦図書
 木下是雄『理系の作文技術』中公新書
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学生のための読書案内 その2

2005-02-23 | Education for 学部1,2年
木下是雄『理系の作文技術』中公新書
 「理系」となっているが、「文系」の大学生にも適した定評のある本。心理学では、科学的な立場でレポートや論文を書かなければならない。是非、参考にしてほしい。
 以下は、同書の紹介文からの抜粋。
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調査報告、出張報告、技術報告、研究計画の申請書など、好むと好まざるとにかかわらず、書かなければならない書類は多い。
このような書類を書く際にまず考えるべきことは、それを読むのは誰で、その文章から何を知りたいと思っているかである。それに応じて自分は何について書くか主題を決め、最終的にこういう主張をする、という目標を定めて書き始める。
著者はまず、この目標を1つの文にまとめた目標規定文を書くことを勧める。そうすることで明確な目標意識を持つことができ、主張の一貫した文章を書くことができるというわけである。そしてその目標をにらみながら材料をメモし、序論、本論、結論といった原則に従って記述の順序や文章の組み立てを考え、すっきりと筋の通った形にしていく。本書では本論の叙述の順序、論理展開の順序、パラグラフの立て方から文の構造までを解説し、日本人に特有の明言を避ける傾向と対策、事実と意見の書き分けについても触れている。
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入学前課題の結果について:雑感 

2005-02-22 | Education for 学部1,2年
 午前中、会議資料作成。その後、入学予定の高校生向けの課題についての講評などを整理。その内容の詳細は別の機会に。
 さて、昨日の1年生向けの演習ついての会議でも話題になったが、学生に資料を読みレポートにまとめる際の基本を指導する必要がある。まず、事実と意見を区別すること。資料を読む際もこの2つを区別しながら、批判的に読む態度を訓練したい。
 レポートにまとめる際も同様。何を根拠にするのかと何を論じるのかをいかにして区別・整理させるか、がまず課題。さらにその根拠をどうように評価するのか、その視点を具体的に学生に指摘することが必要だろう。
 ここで、修士論文や卒業論文についてこれまでここで述べてきたことを、より一般的な材料で学生(生徒)に理解してもらうための方策が求められる。昨日の会議での提案にあったように、レポートをまとめる際に事実(根拠)と意見を区別した欄を用意したシートを使用させるのも一案。
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シラバスの記述

2005-02-21 | Education
 大学院のシラバスを急遽追加することになった。ところで医歯薬系の学部では以下のような区分で記述する例をみるようになったが、どの程度一般的なのであろうか。

GIO (General Instructive Objective):一般目標
SBOs (subject objectives):行動目標

Reference
鹿児島大学大学院医学研究科・医歯学総合研究科シラバス
http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~graduate/haku_kari/14haku_utyu.htm

山口大学医学部医学教育総合電子システム
http://eyume01.med.yamaguchi-u.ac.jp/readme/kosei.html
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授業評価をめぐって

2005-02-21 | Education
 近々、授業評価についての会議をひかえている。外部向けの授業評価以外に実質的な評価を考えるならば、講義が終了する学期末の評価よりも、学期開始当初(4月末あるいは10月末頃)に実施するべきで、それによってその後の授業を改善する機会を用意するべきであろう。
 もっともこれは、教員各自が自主的に取り組むべきことか。
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演習と学生のディスカッションについて

2005-02-21 | Education
 新入生対象の基礎ゼミナールのすすめかたについての会議を受けて雑感。
 演習形式で学生の発言が少ないことは洋の東西を問わず大学に共通することという印象をもつが、それならばそのために工夫もあってよさそうなものだ。
 教師側の準備で可能なことをあげれば、
1) 目的を明らかにした上で、問題をできるだけ具体的に提示する。
2) 発言のきっかけを用意する(学生に準備の機会を与える)。
3) 展開を軌道修正しながら、結論に導く。
といったところだろうか。


Reference
成長するティップス先生 Ver1.2 - 名古屋大学版ティーチングティップス -
6.2 効果的なディスカッションをリードしよう (名古屋大学高等教育研究センター)
http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/tips/basics/discussion/index.html#02
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Barenboim and Said: 'Parallels and Paradoxes'

2005-02-21 | Books
Edward Said & Daniel Barenboim: Parallels and Paradoxes: Explorations in Music and Society
At first glance, Daniel Barenboim and Edward Said would seem to have little in common. But the two men share a passion: their love of music.

下記のサイトで彼らへのインタビューを聴くことができる。

Reference
NPR, December 28, 2002
http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=892575
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山内昌之 「文明の衝突」と日米関係 1995

2005-02-20 | Books
9.11以降の世界では改訂が必要な論考には違いないが、ハンチントンの凡庸で稚拙な「衝突」論がそのわかりやすさ故に米国の政治に影響を与えかねないという指摘は、むしろブッシュ政権のイラク政策を考えるうえで示唆的である。また彼のいう<ハンチントンの罠>は、その後の日米関係における日本の位置づけをも予見しているといえる。

Reference
山内昌之 1995 「文明の衝突」と日米関係 (山内昌之 蓮實重彦 編 文明の衝突か、共存か  UP選書 東京大学出版会)
Samuel P. Huntington 1993 "The Clash of Civilization? " Foreign Affairs.
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統計解析用フリーソフト「R」

2005-02-20 | Computer & Network


Mac OS X版
http://gifi.stat.ucla.edu/pub/

Windows版
http://r.nakama.ne.jp/

Reference
R による統計処理 Feb 15, 2005 http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/R/

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