卒業論文の口述試験がおこなわれたが、気になった点をいくつかあげる。分散分析などの検定に気を取られて、以下の点がおろそかになっている例が多いように思う。
1 代表値間の差と検定の記述ばかりで、個々の代表値の意味が考慮されていない。たとえば、全体の正答率が異常に低い、など。分析が表面的で稚拙であり、型にはまっている印象を受ける。
2 定数測定では、その誤差について意識されていない。たとえば、調整法や極限法でPSEをもとめるのに、その系列誤差がどの程度かが言及されておらず、またその意味するところが考察されていない。標準誤差(Standard Error: SE)などをもとめていない。
3 検定ばかりで、必要な母数の推定が行われていない。たとえば、母平均の区間推定がおこなわれるべきところで、強引に検定のみで結論を出そうとする。このことは1年生の統計の講義で強調しているが、4年までに忘れてしまうようだ。
4 定数測定から、母数(パラメータ)の推定、さらには関数型の推定をおこなうべきところ、必要な分析が欠けている。関数型についての心理学的なモデルが意識されていない。
5 分散分析やt検定を行ったならば、効果量も記述するべきである。記述がないか、計算の誤りと思われる例が多い。
効果量についてはここでも何度かとりあげてきたが、3・4年生に比較的わかりやすいと思われる文献として、以下のものをあげる。心理学分野ではないが、心理学専攻3年生程度の知識があれば理解可能と思われる。「有意差至上主義」に陥らないために一読を勧める。
cf.
水本 篤・竹内 理 (2008). 研究論文における効果量の報告のために ―基礎的概念と注意点―. 『英語教育研究』31, 57-66.
http://www.mizumot.com/files/EffectSize_KELES31.pdf
1 代表値間の差と検定の記述ばかりで、個々の代表値の意味が考慮されていない。たとえば、全体の正答率が異常に低い、など。分析が表面的で稚拙であり、型にはまっている印象を受ける。
2 定数測定では、その誤差について意識されていない。たとえば、調整法や極限法でPSEをもとめるのに、その系列誤差がどの程度かが言及されておらず、またその意味するところが考察されていない。標準誤差(Standard Error: SE)などをもとめていない。
3 検定ばかりで、必要な母数の推定が行われていない。たとえば、母平均の区間推定がおこなわれるべきところで、強引に検定のみで結論を出そうとする。このことは1年生の統計の講義で強調しているが、4年までに忘れてしまうようだ。
4 定数測定から、母数(パラメータ)の推定、さらには関数型の推定をおこなうべきところ、必要な分析が欠けている。関数型についての心理学的なモデルが意識されていない。
5 分散分析やt検定を行ったならば、効果量も記述するべきである。記述がないか、計算の誤りと思われる例が多い。
効果量についてはここでも何度かとりあげてきたが、3・4年生に比較的わかりやすいと思われる文献として、以下のものをあげる。心理学分野ではないが、心理学専攻3年生程度の知識があれば理解可能と思われる。「有意差至上主義」に陥らないために一読を勧める。
cf.
水本 篤・竹内 理 (2008). 研究論文における効果量の報告のために ―基礎的概念と注意点―. 『英語教育研究』31, 57-66.
http://www.mizumot.com/files/EffectSize_KELES31.pdf