Memorandums

知覚・認知心理学の研究と教育をめぐる凡庸な日々の覚書

入学前課題の結果について:講評 

2005-02-23 | Education for 学部1,2年
以下は、高校生対象の入学前課題についての講評の一部。学生・生徒の皆さんには学習の参考に。教員やその他の方には、何かのお役に立てば幸甚。
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1. 課題の評価について
 数学課題については10問の問題がありましたので、1問10点で採点しました。読書課題については、その内容、形式(文章表現)についてA、B、Cの3段階で評価しました。
 数学の全体の平均点は 80.0 点でした。また問題ごとの平均点は問題1が 22.1 (30点満点)、問題2が 8.7 (10点満点)、問題3が 49.2 (60点満点) でした。
 小論文の評価でA評価の方は39人中24人でした。

2. 各課題についてのコメント
(1) 数学課題
数値計算について:
 ケアレスミスが多くみられました。間違えることはしかたがないかもしれませんが、後からそのことに気づくことは、かなりの場合、可能です。計算結果をもう一度確認する習慣をつけましょう。
論理的思考について:
 確率の問題では、論理的にものごとを考えることが特に大切です。ここでは複数の事柄がおこる確率が等しいと言えるのかどうか、もう一度考えましょう。

(2) 読書課題
・文章表現について:
 横書き、「 ・・・ だ。」「 ・・・である。」調で書くことにあらためて注意しましょう。
 段落分けが適切でないと思われるレポートが多く見られました。また、一般に段落の最初を1字下げることが慣習です。
・内容について:
 本などを読む場合、ただ書かれていることを「鵜呑み」にするのではなく、「批判的に」読むことがとても大切です。他人の書いたもの、言うことがすべて正しいのですか。
 自分なりに判断するためには、なにが必要でしょうか。まず、「事実」と「意見」を区別することが重要です。きちんとした文章や話は、たいてい事実とそれについてのその人の意見が区別されているものです。それぞれについて、読み手のあなたがどのように考えたか、がレポートになるのです。
 レポートを書く場合も、事実(本に書かれていたこと)と意見(あなたの考え)を区別し整理することがまず必要です。事実を根拠としてあげて、それをもとに自分なりの考察を展開することがレポートの基本です。

3. 入学されるまで、そして今後の学習について
 大学では、まず資料やテキストを各自がしっかりと読み、理解することが求められます。そのためには日頃から新聞などを読む習慣をつけることが有効です。まず興味をもった読みやすい記事でかまいませんから、毎日1つでも2つでもじっくり読む習慣をつけましょう。手元に新聞がなければ、図書館でもどこでも探してみましょう。
 つぎに、理解したことについて自分なりに考えて意見を持ち、それを自分のことば、文章で表現すること、つまり他人に伝えることが常に必要になります。これは大学の中だけではなく、どのような生活あるいは職業でも求められることです。その際に大切なことは、まず事実と意見を区別することです。事実を根拠として、論理的に自分の考えを整理し展開して、結論を相手に理解してもらうことが基本です。その延長線上に大学での専門的なレポートや卒業論文があるのです。したがって、そのつもりで今から文章を読み、また自分でも書く(話す)練習を心がけてください。
 さて、以上のような作業をこれから皆さん自身がすすめる上で、現在はどうしてもコンピュータを使う必要があります。まだご自身ではあまりつかっていない方もおられるかもしれませんが、大学の1年生ぐらいのうちに是非パーソナルコンピュータの利用になれてほしいものです。
 入学当初は、もちろん皆さんがコンピュータを使うことを前提にはしないで講義が始められます。しかし、学年があがり専門的な学習が増えるにつれて、コンピュータを使うことのメリットは、特に心理学では明らかです。データ処理や文書作成、さらには実験や検査にコンピュータを使うことも増えてきます。あわてる必要はありませんが、これから1、2年のうちには、自分でコピュータを使うことができる環境がほしいと感じるかもしれませんので、そのつもりで準備しておいてください。
 最後に、このような勉強のための推薦図書をあげておきます。

推薦図書
 木下是雄『理系の作文技術』中公新書
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