Memorandums

知覚・認知心理学の研究と教育をめぐる凡庸な日々の覚書

修士論文・卒業論文の評価を終えて

2005-02-16 | Education for 院生以上
 修士論文の口頭試問を先週終えたが、卒業論文も含めて気づいた点をいくつかあげておきたい。
(1) 因子分析、重回帰分析、共分散構造分析(AMOS)などを用いている場合、必ずそのモデルがどの程度あてはまるかについての指標を検討し考察に加えることが必要だ。
(2) KJ法を使って回答を分類する論文がいくつかあったが、長谷川氏も指摘するように、単なる分類では説明として不完全であるし、その価値も明らかではない。探索的研究であるならば、そこから何らかの示唆、仮説が導かれることまで議論するべきであろう。
(3) たとえば、得られたサンプルを高不安群と低不安群に分けて、その群間で実験結果や他の心理検査得点を比較して不安の程度との関係を検討する場合、そのサンプルにおいてどの程度のレンジで不安が測定されていたかが問題となろう。偏ったサンプルの分布では一般的に不安と他の指標との関係を議論することは難しい。少なくとも得られたデータの特性、限界について明確に示すべきであろう。
(4)考察される事柄の根拠が明確ではないものがやはりみられた。データのなかに根拠があるのか、それとも先行研究にすでに示されているのか、明らかにして考察を展開してほしい。

Reference
長谷川芳典 2005/02/15  _50215(水)[心理]卒論へのヒント(3)卒論試問で思ったこと(2)
http://www.geocities.jp/hasep_diary/index.htm
コメント
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