Memorandums

知覚・認知心理学の研究と教育をめぐる凡庸な日々の覚書

蓮實重彦 映像の詩学

2005-02-09 | Books
「サム・ペッキンパー、または契約者の自由と不自由」
 蓮實は、サム・ペッキンパー Sam Peckinpah の作品を単純な暴力の映像化の視点からではなく、契約と不自由、つまり自由の欠如という制約にあえて身をおく主人公たちの捕われの意識から描こうとする。そこでは、特徴的なスローモーション撮影、特にいくつかの水と戯れるシーンも、意識の底で水との遭遇を夢見る「特権的な幻像」の表現であって、甘美な錯覚であると同時に不吉な埋没を象徴している。

Reference
蓮實重彦 映像の詩学 1979 筑摩書房
Sam Peckinpah 1971 Straw Dogs
Sam Peckinpah 1971 The Getaway
Sam Peckinpah 1975  Cross of Iron
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Berg, A. Three Orchestral Pieces, Op.6

2005-02-09 | Music
 暴力、不可思議な生命感、衝動、破壊。不安に突き動かされる精神を描くかのような20世紀の古典。Mahlerの延長線上にあるともいわれるが、未完の第10番の補筆された最終楽章、まさにその先の音楽を想像させる。救いのない苦さと陶酔の妖しい誘惑。
 
Reference
Gidon Kremer, Sir Colin Davis & Bavarian Radio Symphony Orchestra 1983 Alban Berg Violin Concerto & Three Orchestral Pieces. CD: PHILIPS PHCP-9254.
Eliahu Inbal & Radio-sinfonie-Orchester Frankfurt 1992 Gustav Mahler Symphony No.10, Performing version of the draft for the 10th symphony prepared by Deryck Cooke-First edition (second performing version), 1976. CD: Brilliant 92005/15.
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渡辺一夫 びいどろ学士 -戎衣の若き友に- 1944

2005-02-09 | Books
 セルバンテスの短編を引きながら、その剛直な精神と苦悩が西欧の歴史になかのうめき声として、東京大空襲当時の我が国の精神状況と二重写しになる。

Reference
 渡辺一夫 びいどろ学士 -戎衣の若き友に- ちくま日本文学全集 1993
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渡辺一夫 月に吠える狼

2005-02-09 | Books
 ラブレー研究などで知られユマニスムの意味を問い続けた彼に、このような言葉は珍しい。穏やかで平易な言葉で深く確かな思想を語る常の彼の文章とは異なって、当時(昭和18年11月)の時代精神に対する彼の感情と信念が生々しく伝わる。

Reference
 渡辺一夫 月に吠える狼 ちくま日本文学全集 1993
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