前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

フランク 『前奏曲、コラールとフーガ』(ホルヘ・ボレット)

2010-08-13 09:16:55 | セザール君の作品
一曲、一枚のCDとの出会いが人生を大きく変える・・・

有名ミュージシャンのエピソードなどではたまに聞きますが、
普通はあまりないことかもしれません。


でも、ある一曲と出会ったことで、
今まであまり気にも留めていなかった作曲家を好きになり、
全く知らなかったピアニストの素晴らしさを知る・・・

そこから、音楽の聴き方、楽しみ方が大きく広がったとすれば、
それはやはり、人生を大きく変えた出会いといえるでしょう。


もう、今から20年前になります。
キューバ出身のピアニスト、ホルヘ・ボレットが演奏する
セザール・フランクの『前奏曲、コラールとフーガ』こそ
私にとっての「人生を変えた一曲」です。


このジャケットもカッコいい!


ゆっくりとしたテンポで神秘的な音色を奏でる前奏曲、
分散和音風の煌くような旋律が印象的なコラール、
そしてフーガにおける圧巻の構成力。

最初の一音から最後の和音まで、一分の隙も無い完璧な演奏。


ボレット以外にも様々な人の演奏を聴きましたが、
彼の演奏を凌駕するどころか、肉薄する演奏すらない、
というのが、私の正直な感想です。


あらゆるクラシック音楽の中で、
ボレットが演奏する『前奏曲、コラールとフーガ』こそ
私にとって究極の一曲です。
(好きだからこそ滅多に聴かない曲でもありますが)


もし、この曲をまだ聴いたことがない人がいたら、
あるいはボレットの演奏で聴いたことがなければ、
是非、聴いてみてください。

人生が変わるかもしれません・・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

広瀬悦子さんに関するエントリーの際にも書きましたが、
リスト編曲の「タンホイザー序曲」も大変好きな演奏です。


この曲は、バッハ大先生の「平均律」やベートーヴェンのソナタ、
ショパンの練習曲のような作品とは明らかに違います。
リストが「ピアニストの技巧を見せつけるために編んだ曲」
といっても過言ではないでしょう。

そのような曲を、カーネギー・ホールで披露するボレット。
加えて「リスト直系の弟子」であることも影響してか、
「前時代的なヴィルトゥオーゾ」と評されることがあります。


そんなボレットがキャリアの最晩年に録音した中の白眉が、
セザール・フランクの『前奏曲、コラールとフーガ』です。
彼のことを「時代遅れ」と揶揄していた人達は、
この演奏の前にひれ伏すことになるでしょう。

この曲を、これほど完璧に、深く美しい音色で弾いた人は、
これまでいたでしょうか?(これからもいないでしょう)


そして、この曲を聴いたあとで、もう一度、
あの「タンホイザー序曲」に耳を傾けてみます。
高度な技巧と深い音楽性、そして煌く美音を兼ね備えた
真の「巨匠」だからこその演奏であることを
改めて感じずにはいられません。

その上で、
「聴衆を熱狂させることこそがエンターテインメントだ」
「"芸術"こそエンターテインメントであるべきだ」
とでもいうような想いが伝わってきます。


彼の演奏に出会えたことを、「奇跡」として感謝しています。


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2 コメント

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前奏曲、コラールとフーガ (遊歩道)
2010-08-13 23:15:02
こんにちは!

フランクの同曲を初めて聞いたのはFMでコルトーによる演奏でした。その後だいぶ経ってから、キーシンのCDを購入しましたが、ボレットは未聴です。

カーネギーホールでのライヴを含め是非聞いてみたいと思っています(^-^)/
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是非 (一服ざる)
2010-08-14 08:15:24
遊歩道さん、こんにちは。

音楽の好みは千差万別です。
ですから、本当は自分の好みを押し付けたり、相手の好みを否定?すべきではない、と思っています。

でも、この演奏だけは、音楽を愛する全ての人に聴いてもらいたい。
大袈裟ですが、そんな想いです。

気に入るかどうかは、あくまでも個人の自由です。「う~ん、いまいち・・・」と思ったらご遠慮なく(笑)。
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