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前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

『ジュリエット・レターズ』(ELVIS COSTELLO and THE BRODSKY QUARTET)

2012-01-29 13:25:38 | クラシック音楽
バラネスク・カルテットの『POSSESSED』を聴いて現代音楽(同時代音楽)にも興味を持ち、
その流れの中で出会ったのが、エルヴィス・コステロとブロドスキー・カルテットの競作、
『ジュリエット・レターズ』でした。

エルヴィス・コステロという方は、名前を聞いたことがあるだけで
ロック歌手としてどのような活動をしているのか全く知りませんでした。
(今もよく知りませんが・・・)


『ジュリエット・レターズ』は「ロミオとジュリエット」の舞台であるヴェローナの大学教授が
ジュリエット宛の手紙に返事を書いていた、という新聞記事にインスパイアされて作られました。


ポピュラー音楽では、アレンジのひとつとして弦楽合奏や弦楽四重奏の伴奏で
歌われる場合もよくあります。
(フジテレビ「僕らの音楽」とかよくやりますね)

ただ『ジュリエット・レターズ』は、単に弦楽四重奏の伴奏で歌を歌う、
という意図で作られたわけではありません。
ヴォーカリストと弦楽四重奏団の競作、
メンバーの言葉を借りれば「ヴォーカル五重奏曲」と言うべき作品です。


コステロは、ブロドスキー・カルテットの「ショスタコーヴィチ・チクルス」の
コンサートを聴いて競作を思いついたようです。

コステロの特徴的な声、決して"美声"とは言えないような歌声(ダミ声?)が、
逆に弦楽器の音色とうまくマッチしていると感じます。


『ジュリエット・レターズ』はCDのほか、
スタジオセットでの演奏と一部ライブ映像、出演者のインタビューを収めたDVDもあります。

コステロ曰く、
「これ自体が一つの作品。"弦楽四重奏と歌のための曲"・・・
ロックオペラでも四重奏のロックでもない、新しいもの・・・」

「歌は五重奏の五番目の楽器なんだ。
四重奏と歌のための作品はとても数が少ない。可能性があるのに見過ごされてきた。
この音楽の表現力は可能性を秘めている・・・」


新しいジャンルへの試みとして、大変貴重かつ評価されるべき作品だと思います。



『POSSESSED』 THE BALANESCU QUARTET

2012-01-20 23:22:54 | クラシック音楽
まだ大学生だった頃のことです。
大手CDショップでクラシックのCDを物色していた時、
別のコーナーから弦楽四重奏らしき曲が聴こえてきました。

ベートーヴェンとかモーツァルトといった「古典」ではありませんが、
どこか聴き覚えのあるような旋律です。
「なんだろう、この曲?」と多少心に引っかかるものを感じつつ、
CDを物色し続けていました。

「確かに知っている曲だ・・・」と必死に記憶を辿っているうちに
「あ!」と思い出しました。「クラフトワークだ!」

それがバラネスク・カルテットが演奏する『POSSESSED』でした。
(その中の「COMPUTER LOVE」)


 1. ROBOTS
 2. MODEL
 3. AUTOBAHN
 4. COMPUTER LOVE
 5. POCKET CALCULATOR
 6. POSSESSED
 7. WANT ME
 8. NO TIME BEFORE TIME
 9. HANGING UPSIDE DOWN

1~5はクラフトワークの曲、9はデヴィッド・ボウイ、
6~8はリーダーであるアレキサンダー・バラネスクのオリジナル曲です。
(カバー曲もアレンジされています)

アレキサンダー・バラネスクは現代音楽を中心に活動している
アルディッティ弦楽四重奏団の元メンバーです。


このCDをきっかけに現代音楽(同時代音楽)に興味を持つようになり、
やがてスティーブ・ライヒなどのミニマルミュージックやアルヴォ・ペルトなどを
聴くようになりました。

ロックなどを弦楽四重奏で演奏する例としては、クロノス・カルテットが有名ですが、
演奏技術はバラネスク・カルテットの方が上だと思います。


いい曲は、別の楽器、編成で演奏しても良い曲だなあと感じます。
(別の楽器、編成で演奏しても良いと感じるのが名曲だ、と言った方が正確かも)

アレキサンダー・バラネスクのオリジナル曲も聴きやすい曲です。
現代音楽入門にはいいのではないでしょうか。



題名のない音楽会 『ジョン・ウィリアムズ生誕80年~人気映画音楽ベスト10』

2012-01-08 20:16:01 | クラシック音楽
今日放送された題名のない音楽会は、
『ジョン・ウィリアムズ生誕80年~渡辺俊幸が選ぶ人気映画音楽ベスト10』
でした。

言わずと知れたハリウッドを代表する作曲家です。

 ジョーズ
 未知との遭遇
 スター・ウォーズ
 スーパーマン
 インディ・ジョーンズ
 E.T.
 ジュラシック・パーク
 ハリー・ポッター
 etc

どのテーマ曲も皆、記憶に残る名曲です。


これらをクラシック音楽のカテゴリーに入れることには異議を唱える人も多いと思いますが、
(実際「クラシック」ではないですが、「現代音楽」と捉えたとしても同様だと思います)
私は、偉大な、現代を代表する大作曲家だと思ってます。

私が生きている間に、上記作品のうちのいくつかは、
オーケストラのコンサートレパートリーになるのではと思っていますし、
なって欲しいと思っています。


NHK大河ドラマなどの音楽を担当した作曲家・渡辺俊幸さんが
ジョン・ウィリアムズの音楽の特徴として「ドソド戦法」というものを紹介していました。
メインテーマなどの特徴的な旋律に、ドとソの音がよく使われているとのことです。

そしてその理由の一つとして、キューブリックの『2001年宇宙の旅』が
影響しているのではないか、とおっしゃっていました。

『2001年宇宙の旅』の中で、観る者に強烈な印象を与える、
リヒャルト・シュトラウス『ツァラトゥストラはかく語りき』の冒頭。
トランペットの旋律が「ド・ソ・ド」の三音です。

そこから、SF・宇宙などの映画音楽といえば「ド・ソ・ド」
というのが潜在意識にインプットされたのではないか、との推論です。

なるほど~なかなか面白いですね。


ところで少々話は変わりますが、映画などで
「このシーンを見ると100%泣ける」という場面、ありませんか?
自分では今まで意識していなかったのですが、今日のこの放送を見ていて気がつきました。

それは『E.T.』で、ETを乗せたエリオット少年の自転車が空に舞うシーンです。
映画史に残る名シーンの一つだと思いますが、
これもジョン・ウィリアムズの「あの曲」との相乗効果に違いありません。
(セリフがないシーンですから)


今、その場面を見返しましたが、やっぱり泣ける!


追記
『E.T.』のテーマ曲は、あまりにも素晴らしかったので、
監督のスピルバーグがこの曲に合わせた映像を付け加えたとのことです。
先に書いた「空飛ぶ自転車」の名シーンのことかもしれません。
泣けるわけです。

題名のない音楽会 『究極の人間賛歌!カルミナ・ブラーナ』

2011-12-11 19:28:51 | クラシック音楽
今日放送された、テレビ朝日『題名のない音楽会』で取り上げられたのは
「名曲百選14 生命(いのち)を謳え!究極の人間賛歌!」と題された
オルフのカルミナ・ブラーナでした。

バラエティ番組のBGM?などでもよく使われるので、
クラシック音楽を聴かない人でも第1曲「おお、運命の女神よ」の冒頭は
知っているかもしれません。

編成が大規模ですので、生で聴く機会はあまりありませんが、
演奏の出来・不出来にかかわらず「感動」が約束された曲でもあります。


「人間賛歌」といっても、ベートーヴェンの第九の「賛歌」とは異なります。
「世俗カンタータ」の名のとおり、人間の本性や欲、男女の愛などを謳った、
ちっぽけで普通な、でも、だからこそ愛すべき人間(人生)への賛歌です。
(歌詞はドイツ、ボイレン修道院に保管されていた古い民衆の歌が元です)

シンプルな和声と力強いリズムの繰り返し。それによってもたらされる圧倒的な迫力と感動。

それこそ音楽本来の姿なのかもしれません。


CDでは、ヨッフム盤が名盤として名高いですね。
確かに強烈にスタッカートをかけた合唱団の歌唱は、それだけで異様な雰囲気を醸し出してますし、
フィッシャー・ディスカウの歌声が聴けるのもポイントが高いのですが、
私が長年愛聴しているのは、レヴァイン・シカゴ響盤です。

シカゴ響の(相変わらずの)迫力もさることながら、なんといってもソリスト、
特にフィリップ・クリーチ(テノール)のソロ!

ソプラノ(ジューン・アンダーソン)の有名な第23曲の超高音も凄いのですが、
テノールソロ(これも超高音)が活躍する第12曲「かつて私は湖に住んでいた」を
ファルセットではなく実声?で歌いきるあの迫力。
丸焦げにされて皿の上にのせられた白鳥の、嘆きではなく恨みの絶叫のようです。

この1曲だけでも聴く価値があると思います。


番組では要所々々端折りながらの紹介でしたし、オリジナルにはないナレーションも加わってましたが、
最終曲(第1曲の繰り返し)を聴いていて涙がでてきたのは、単に迫力ある曲だからというだけではなく、
「人間賛歌」ということの意味が琴線に触れたからかもしれません。

クリップス指揮 モーツァルト交響曲第40番・第41番(猫丸さんご推薦)

2011-10-06 20:17:51 | クラシック音楽
近頃は、クラシックのCDは大抵、中古ショップで購入しますが、
いつもお世話になっているのがディスクユニオンです。

先日立ち寄った際、『猫丸しりいず』という本が置いてありました。
ディスクユニオンのスタッフブログで連載されているコラムをまとめたもので、
著者は「猫丸」さんこと、中馬和博さんです。

さすがはクラシック専門館にお勤めだけあって、その知識量は膨大で
名曲・定盤から珍曲・迷盤まで幅広く紹介されています。
ためになる情報も大変多く、その上文章も面白いし表紙のイラストもカワイイ。
(でも840円はちと高いかな・・・)


その本の中で、
ヨゼフ・クリップス指揮/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の
モーツァルト交響曲第41番『ジュピター』が紹介されていました。

タイトルは『「普通」は非凡なり』です。

猫丸さんは、クリップスの演奏を聴いた後は、
「個性的で面白かった」ではなく「良い曲を聴いた」という感想が浮かんでくる
と書かれています。
そしてそれは、とても難しく一朝一夕にはできないことだ、と。


ドヴォルザークの『ドゥムキー』のところで書きましたが、
私もピアノ三重奏曲などは、有名なソリスト達が個性をぶつけ合う演奏よりも
生粋の?ピアノ・トリオのアンサンブルを重視した演奏の方が好きなのですが、
それと同じようなことかもしれません。

私はこの本を読むまで、恥ずかしながらクリップスという指揮者を知りませんでした。
モーツァルトの交響曲を買う時は、大抵古楽器や室内オケの演奏を選ぶのですが
大変感興をそそられたので、早速CDを入手しました。
(買ったCDでは「ヨーゼフ・クリップス/ロイヤル・コンセルトヘボウ」という表記でした)

モーツァルトの第40番と第41番が入っていますので、まず第40番ト短調から聴き始めました。
第41番『ジュピター』は大好きな曲ですが、第40番は有名な曲ですけれども
それほど好きではなく、実はほとんど聴きません。


ですが、今まで聴いた中で最高の演奏でした。
名曲中の名曲ですので今更こんなこと言うのもなんですが、この曲が好きになりました。
ゆっくりとしたテンポで始まり、丁寧にしっとりと美しい旋律を聴かせてくれます。
有名な旋律ですが、こんなにもたおやかで優しい曲だったとは・・・。
1曲聴いただけで言うのは性急ですが、これがクリップスの真骨頂なのでしょうか。

クリップスは根強い人気があるようですが、私も俄然、興味が湧いてきました。



追記
と・・・これを書いているうちに第41番『ジュピター』も聴き終わりました。
まさに「猫丸さん」の言葉通りでした。
涼しいを通り越して肌寒い秋の夜長。良い曲を聴きました。