上善如水

ホークの観察日記

『介護士K』久坂部羊著

2019-02-06 13:25:20 | 本と雑誌
著者 : 久坂部羊
KADOKAWA
発売日 : 2018-11-29
 
 
 
あぁ、これは現役の介護士は読んじゃいけないやつだった〜〜〜
 
 
 
久坂部羊さんの介護サスペンス小説『介護士K』(KADOKAWA)を読みました。
 
2014年に実際に起きた、川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で入所者3名が相次いで転落死した事件を下敷きにしています。

主人公は事故のあった介護施設で働く一人の青年。

「死なせるのは慈悲なんです」
 
介護現場の実情、人間関係、虐待、生に苦しむ高齢者、生と死の問題。
 
高齢者は自分で死ぬこともできない。
 
自由にならない体、痛みで眠れない日々、しだいに薄れて行く記憶、誰が誰かもわからず、自分が自分でなくなってゆく・・・
 
そうまでしてどうして生きていかねばならないのか?
 
2016年に起きた、入所者19人を刺殺、入所者、職員計26人に重軽傷を負わせた、神奈川県の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」でのいわゆる「相模原障害者施設殺傷事件」を彷彿とさせる記述もあります。
 
重いテーマなので、スッキリ解決! なんて結末はありません。
 
さらに人物描写、設定やストーリーに難があるため、読めば読むほど読者のストレスは溜まります。
 
ただ、テレビや新聞では建前が邪魔して書けない介護現場の本音、フィクションだから、悪人という設定の人物が語ることだから書ける問題提起、という部分は今までにない介護を題材にした作品でした。
 
苦しむ老人にとって、死はある意味で救い・・・

善意による殺人。
 
社会福祉の人材も税金も限られた資源。
 
政府はそれを死を待つだけの高齢者に湯水のように使う気はない。
 
安心で楽しい老後をうたう日本印の介護のテーマパークでは、すでに入場制限は始まっているんだ。
 
 
 
・・・こんな内容、読むんじゃなかった。
 
 
 
「〇〇さんさえいなければ、みんなもっと楽に仕事ができるのにね」
 
作中介護士たちが休憩中におしゃべりする場面、現実でも同じようなことはしゃべっています。
 
介護士も人間ですから、愚痴も言うし、悪口も言う。釈迦やキリストのように慈愛にあふれた人だけを雇っているって職場があれば別ですが。
 
作中虐待のない施設の例が2つ紹介されています。
 
一つはお寺の住職が運営するグループホーム。ボランティアさんも献身的で、住職の人徳が従業員の意識を高めている。
 
もう一つは高級有料老人ホーム。入居一時金一億円。温水プールにコンサートホールまで完備していて月額利用料が100万円を超える人も。当然介護職員の給料も高いので優秀な人材が集まっている(あくまで小説の中のお話です)
 
そして小説ではこう結論付けます。「逆に言うと、ふつうの精神だったり、安い経費でまかなう介護では、虐待は防げない・・・」



もう、やめて、モチベーションさがるから〜
 
 
 
そりゃあ介護の現場は過酷だし、給料は安いし、国の政策は血も涙もないし、腰は痛いけどさ、別に人間に失望もしていないし、楽しくやっている介護士もいるんだから〜
 
モデルになっている事件もそうですし、こういう小説読むと「人間バカにすんなよ!」「そんな奴ばっかじゃないぞ!」とついつい反発したくなっちゃいます。
 
頭で考えたことだけが至高ってわけじゃないですからね。
 
気分を変えて散歩にでも行こうかな。
 
 
 
ま、有効期限の近いポイントを消費するために注文した本なので、残念って感じでもありません。
 
コンビニの新商品、美味しくても不味くてもとりあえず試してみようって方にはオススメかな?(笑)
 
 

『看護師も涙した 老人ホームの素敵な話』小島すがも著

2018-06-25 22:05:51 | 本と雑誌

最近本を読めていなかった反動か、1日で一万円も本屋で使ってしまいました。

買ったのは7冊なのですが、三千円近い短歌の本があったので一万円。

ポイントで交換した図書カードがあったとはいえ、ちょっと使いすぎ・・・でも、まあ、本との出会いは運命だから(笑)

 

その中の一冊は介護関係。

看護師の目線で書かれた特別養護老人ホームを舞台にしたお話。

 

小島すがもさんの『看護師も涙した 老人ホームの素敵な話」(東邦出版)

 

 

 最初は題名が何のひねりもなくて、買う気が起きなかったのですが(あとイラストも)、その日はちょっと自制心のタガが緩んでいて、(ま、いいか!)と買ってしまいました。

最近多い説明文っぽい長ったらしいタイトル、苦手なんですけどね。

 

病院勤務から尊敬する先輩看護師に引き抜かれて老人ホームの看護師に。

施設の入居者さんとの日々のふれあい。

施設に入り暮らすということ。

高齢者の思い。

認知症。

食事、入浴、リハビリ、排泄。

 

様々な事情、病気、思いを持った入居者さんやそのご家族、そして一緒に働く介護さんや職場の仲間が登場し、短いお話が載っています。

 

介護される親と介護する子供。

認知症でも、動けなくても夫婦は夫婦。

「父が死んでも連絡しないで下さい」という娘。

おばあちゃんの失敗を笑って受け入れる息子に孫。

 

いろんな人がいて、それぞれの人生があって、最後を迎える形もさまざま。

 

職員に内緒で海苔巻きを持ち込む家族がいたり(海苔巻きは喉にくっつくので大変危険)、職員を選んで頼みごとをするおばあちゃんがいたり、女性職員をベッドに誘うおじいちゃんがいたり。

介護の現場で働いているとわかる”あるある”が目白押し。

看護師さん目線ということもあるのか、職員同士のいざこざや、”嫌な奴”が登場しないのはリアリティーがないかな?(苦笑)

 

私はもう介護の世界にどっぷりつかってしまっているので自分ではわからなくなっているのかも知れませんが、病気や死、家族の確執や自分がどこにいるのかわからない認知症といった、世間一般では「悲劇」と捉えられてしまいそうな状況があるにも関わらず、ここに書かれているのは優しい世界。「喜劇」のような温かさをこの本から感じました。

 

そう、「介護」って、つらいけど、こういう面もあるよねって。

 

書かれていない辛い事が9割、喜びが1割かな?(笑)

 

 


ユマニチュードとアンガーマネジメント

2017-04-24 13:01:53 | 本と雑誌

職員の歓送迎会や利用者さんのお花見、新年度の委員会活動とお金にならないくせに忙しい4月(苦笑)

プライベートでは晴れの日と休日がやっと重なって冬物をいっきに洗濯。

ようやく片付けることができました。

 

ちなみに職場の委員会活動というのは、排泄委員だとか入浴委員だとか、職場内の各業務について改善したり勉強したり様々な取り組みを行う活動で、職員は必ずどれかの委員会に所属し、毎月報告だの反省だの意見をださなくっちゃいけないのです。

報告書作りの時間なんて特に取ってくれるわけでもないので、ただでさえ少ない利用者さんとの時間を削って仕事中に作るか、サービス残業しなきゃいけない。

特に新メンバーで立ち上げる新年度第一回目の委員会は慣れていないのと、昨年度に所属していた委員会の引き継ぎもしなくちゃいけないからバタバタなんですよね。

 

 

最近読んでいる本。

 

 

 

 
 
介護関係の本。
ユマニチュードはテレビでも取り上げられたり、介護の現場でも紹介されたりするのですが、本として読むのは初めて。
どうして「ユマニチュード」が生まれたのか、その過程がわかってとっても面白く、紹介されている技術はとっても参考になります。
介護の技術はたくさんあって、他に「バリデーション療法」とか、まだまだ勉強しなきゃいけないことがたくさんあります。
 
 
 
 
 
こちらはNHK教育の「100分de名著」という番組で紹介されていた本。
哲学書なのかな?
作者の三木清は京都帝国大学卒業後、ドイツ、フランスに留学し、帰国後マルクス主義哲学や西田哲学を研究した人。
治安維持法違反や反戦容疑で逮捕され、終戦後も釈放されずに昭和20年に獄死しています。
 
敗戦後も戦争を批判した人たちは釈放されませんでした。
東久邇宮内閣は「一億総懺悔して天皇に敗戦を謝罪する」として、軍部や官僚、力の及ばなかったすべての国民は天皇に謝罪すべきと「一億総懺悔論」を唱えた。
当時の内務大臣山崎厳は「国体を批判する左翼勢力は戦時中と変わらず厳しく取り締まる」と公言。三木の釈放は実現しなかった。
こういうこと、日本史の授業では教わりませんね。
現代も大臣の靖国参拝がニュースになったりしますが、私なんかは靖国に眠るひと達よりも、こういう戦争に反対した人たちにこそ「もう戦争はしません」て誓えばいいのに、と思いますがね。
そうした背景を知らなくても、「人生論ノート」には「人間とは何か?」「生きるとはどういうことか」ハッとさせられる言葉が数多くあります。
 
 
 
世間は北朝鮮やフランスの大統領選、日本でも3億円強盗と何やらゴタゴタしていますが、私は明日も夜勤です。
イライラしないよう、心に余裕が持てるように、こんな本も読みました。
「怒り」をコントロールする大切さ、「アンガーマネジメント」をマンガで解説した本。
 
 
 
著者 :
中央法規出版
発売日 : 2017-03-16
 
 
さあ、今週も頑張ろう!
 

本屋巡りと認知症

2017-01-28 23:12:51 | 本と雑誌

今日はお勉強のため名古屋に行って来ました。

認知症の方に食事を摂ってもらうためのコツや、嚥下能力の低下した方への工夫のあれこれ。

ドーパミンの減少によるパーキンソン病。

またドーパミンが多いことで現れる幻覚や妄想。

腸内細菌を増やす乳酸菌やビフィズス菌、腸内細胞のエサとなるオリゴ糖や食物繊維の重要性。

排便がうまくできないことで頻尿や腹部の不快感が精神的不安定につながることも。

他にアセチルコリンとか抗精神病薬とか、アントラキノン系の下剤の副作用とか、うつの原因ともいわれるセロトニンの作用とか。

 

う〜、認知症の症状や排泄管理についてはとても参考になりましたが、医療系の言葉は難しいですね。

当たり前のことですが、人間の体は食べた物でできている。

何を摂取するか。何を体内入れるかの大切さがよくわかりました。

 

勉強会を終え帰途につく前に、久しぶりに都会に出たのでちょっと買い物(笑)

前から気になっていた本と、新年度に向けてモレスキンも新調してしまいました☆

 

 

本当はもう一冊、気になる本があったのですが、それはお値段が高かったので今回は購入断念。

立ち読みのみにしました。

都会はさすがに本屋さんも大きいし、品揃えが違いますね。

こんなところに住んでいたらすぐ破産しちゃいそう(笑)

コバルト文庫、昔よく読んでたなぁ〜

 

 
著者 : 嵯峨景子
彩流社
発売日 : 2016-12-28
 

 


映画「この世界の片隅に」インタビュー

2016-11-05 20:55:00 | 本と雑誌

月刊「MOE」12月号を買って来ました♫

特集はフィンランド現地取材「ムーミン谷の旅」!

そして付録には「ムーミンダイアリー」が付いています!!

 

 

ムーミン好きにはもちろん興味の引かれる内容なのですが、私が読みたかったのはもう一つ。

11月12日(土)から全国公開される映画、こうの史代さん原作の「この世界の片隅に」で、主人公「すず」を演じた「のん」さんのインタビュー。

こうの史代さんといえば、映画化もされた『夕凪の街 桜の国』や、東日本大震災のチャリティーソング「花は咲く」のアニメシーンが有名で、私の好きな作家さん。

太平洋戦争中の広島、呉の人々の日常を描いた「この世界の片隅に」は、「花は咲く」のアニメを監督した片渕須直さんが映像化しています。

巷では同じくアニメ映画「君の名は」が大ヒットしていてマスコミも大々的に報道していますが、個人的には「この世界の片隅に」も注目の映画なんですよね!

それにしても、不景気になるとアニメ映画が流行るという都市伝説は、今回も実証されましたね(笑)

 

部屋の模様替えもようやく先が見えてきて、今回は押し入れを片付けてPC用の小さな作業台にしてみました。

 

 

文庫本の本棚を上の段に置いたので、重さ対策として下の段に突っ張り棒を入れて支えています。

ここから机としても使えるように、寸法を測ってアクリル板を置いたり、照明器具を設置する予定。

押し入れなのでスノコを敷いたり、除湿剤を置いたりして湿気対策してあります。

壁側にもスノコを使って空気が通るように。

細々した物が押し入れに片付いたのでこれで部屋がスッキリするはず(笑)

押し入れの寸法に合うようにスノコを加工したので、久々にノコギリを使いました。

さあ、今年はいつになったらコタツが出せるかな?