上善如水

ホークの観察日記

失敗したっていいじゃない

2019-04-18 07:52:27 | 日記

食べることが大好きで、次から次に口に運んでむせてしまう利用者さんに、茶碗をやめてプレート皿で食事を提供してみました。

研修で事例として同じような状況が紹介されていたので。

ところがこれが大失敗。

利き腕の右手に麻痺があるので、左手でスプーンを使ってもらっているのですが、奥に置いた食材が全部手前にきてしまい、結局グチャグチャ。

ひと口ひと口の量は少なくなるので(お皿が浅いので)むせることは少ないのですが、それがもどかしいのか、あせってスプーンを動かしかえってこぼす量が増えてしまいました。

うまくいきませんね〜

これまではスプーンですくいやすい浅めの皿に一品一品入れて提供していたのですが、それを面倒がる介護スタッフが一度に何品もお皿に入れてグチャグチャにするので、それを防ぐ意味でもプレート皿を使いたかったんです。

本当ならそんなスタッフをちゃんと教育しなくちゃいけないのですが、残念ながらそんなことをするのは先輩や上司といった長年介護の仕事をしてきた人たちばかり。

時間をいかに短く、手間をかけない介護、が身についちゃった人たちなんですよね。

 

こんなことがありました。

おやつの時間。

認知症があって数分前のことも忘れてしまう利用者さんが、糖尿病があって甘い物に制限がある、こちらも家族の顔さえわからない認知症の利用者さんに、自分のお菓子を渡してしまいました。

本人は「おすそわけ」したつもりで、良かれと思ってしたことです。

それを見ていたベテランスタッフが、何も言わず利用者さんからそのお菓子をパッと取り上げました。

いきなりお菓子を奪われた利用者さんは「あれ!」と驚きの声をあげます。

そりゃそうですよ! 見ていたこっちもびっくりです!

いくらすぐに忘れてしまう、説明しても理解できない、本人の体のことを考えて、のことだとしてもあまりに乱暴。人権無視。

もうね、悲しくなるくらい「業務」としてしかお年寄りを見れない人が多すぎる。

ついこの前、認知症はなくて、足が不自由な利用者さんがいっていました。

 

「ここは広くて明るくてキレイだけれど、年寄りを閉じ込めておく刑務所ね」

 

スタッフはさしずめ刑務所の監視員ですかね・・・

もちろんこんな施設ばかりじゃありませんし、うちの施設もこんな人ばかりじゃありません。

ただ、ベテランさんには多いかな、仕事は早いけれど、介護じゃなくて業務をしているスタッフさん。

 

適切な例ではないかも知れないけれど、ナチスドイツのアイヒマンや、ミルグラム実験でわかるように、その状況に置かれた人間って、倫理や道徳観念がマヒして、「仕事」としてならどんなに非人道的な行為でもやっちゃうんですよね。介護だけでなく、どんな仕事でも。

多分、家では子供を心配するいいお母さんなんだろうし、子猫が道に飛び出せば助けようとする心の持ち主だったりするんでしょうけど。

 

自分はどうかな?

そんな人間になってやしないかな?

次は回想法の手助けとして、図書館で借りてきたDVDを流す予定です。

地元の観光や産業、歴史について紹介している地味な映像ですが(苦笑)

あとトイレの場所がわからなくてゴミ箱に放尿しちゃうおばあちゃん向けに、トイレ表示を工夫したいし、部屋の場所がわかるように扉にも目印をつけたい(古いポスターを貼りたいので古本屋で探してくる予定)

レクリエーションのネタも新しいものを作りたいし、芋掘りの時の写真も印刷して居室に貼らなくちゃ。

 

 

 


歓送迎会

2019-04-04 23:25:11 | 日記

4月に入って新卒採用者はいないものの、他の系列施設への異動、他の部署からの異動があり、近所の居酒屋でこじんまりとした歓送迎会を行いました。

こういう外での集まりで気を使うのが利用者さんの個人情報。

個室とはいえ店員さんは出入りするわけで、職場の愚痴を言うにしても、利用者さんの具体的な名前を出すわけにはいかない。

利用者さんの話をしないのが一番なんですが、職員同士が集まれば、話すことってどうしても職場のことになりがちですからね。

そしたら愚痴の一つや二つ、いいたくなっちゃうんですよ。

もちろん、利用者さんだけでなく、看護師やケアマネ、同僚への愚痴も多いですけど。

 

一番盛り上がるのは給料待遇の悪さ(苦笑)

 

これは1年目の新人さんも、長年働いているベテランさんも同じ。

何年働いても給料は低いまま、待遇は良くならないってことがよくわかります。

愚痴でもいわなきゃやってられないよ〜

 

お酒を飲んで、美味しい料理を食べて、ストレス発散。

新元号が「令和(レイワ)」になることも決まったことだし、新年度も頑張らねば。

田舎の居酒屋で安い会費にも関わらず、いろいろ食べられて話す時間もたっぷりあって、楽しいひとときでした。

肉汁たっぷり、四人前はありそうな大きなハンバーグがおいしかったなぁ〜

 

 


勤続10年の介護福祉士に処遇改善8万円支給

2019-03-29 09:00:17 | 日記

さっそく現場では不満爆発です。


うちの施設では「勤続10年」「介護福祉士」という条件に合う人が一人しかいなくて、自動的にその方が給料8万円アップ。

・・・でもその人、職場で有名な新人クラッシャー。

これまで何人の将来有望な新人が辞めさせられてきたか。

かくいう私も新人時代にいじめられました(苦笑)


文句(?)が多いというか、細かいというか、物の置き方ひとつにしても「どうしてこうなってるの? いつもと違うでしょ?」とくる。

素直に「これはここに置いてね」で済む話を「どうしてこうなってるの?」「なぜこうしたの?」「何考えてるの?」と追い詰めるタイプ。

自分からは素直に教えない。

まず相手に非を認めさせて、理由を聞き(たいてい新人は何も考えていない)、謝らせて「私はこうはしないけどね〜」と正解も教えない。

食い下がって正解を聞こうとすると「前に教わったよね?」「メモとってないの?」「そのメモちょっと見せて」と火に油。

万事この調子なので、お年寄りに寄り添いたいという優しい志を持って入ってきた新人は心が折れてしまう。

逆に「○○さんコワイ〜笑」とか笑って流せるギャルの方が長持ちしたり(決して介護に向いている人材ではない場合が多い)

では介護技術は優秀かというと、私が見ても決してマネしたいほどじゃないし、お年寄りの評判もそれほど良くない。

勤務年数が多く役職もついていますが、リーダーというより立ち位置は平社員並。

全体を見渡して「この日は人員が少ないから出てくる」とか「この人は疲れているから勤務変わろうか」なんて考えたこともないタイプで常に自分の都合優先。

そんな方が給料8万円アップとなったら、同僚や部下は心中穏やかでいられるわけがありません。

 

しかも自分の給料が上がるとわかったからなのか何なのか、最近やけに優しくて、文句もいわなくなったから逆に不気味なんです。

自分から率先して仕事したりして(そんなことしたことないのに!)

 

今年10月に新設される「特定処遇改善加算」

勤続10年以上の介護福祉士に8万円の処遇改善を加算するというものですが、では“勤続10年以上”の具体的な定義とは何なのか?

厚生労働省の審議会によると 「“勤続10年以上”の定義は個々の事業所の裁量で設定できる」 となっています。


同一の法人で10年以上働いていなくても、介護福祉士の資格を取ってから10年以上経っていなくても構わない。別の法人に務めていた期間も、医療機関で仕事をしていた期間も、障害福祉の現場を支えていた期間も、全て考慮に入れることも可能、だとか。

つまり事業所の裁量で決めていい、解釈は各事業所にまかせる、ということらしいです。

 

そもそも厚労省が重視しているのは、現場を牽引するリーダー級の介護福祉士が最も高く評価されること。

 

極端にいうと、必ずしも“勤続10年以上”にこだわって考える必要すらない。

そのスキルや仕事ぶりなどを勘案し、事業所が「この人は経験・技能のある介護福祉士だ」「この人の給料を上げたい」と判断すれば、たとえ“業界10年”に至っていなくても対象として扱える。

“勤続10年以上”はあくまで目安でしかない、というのです。

日本語あいまいすぎるわ!

 

うちの事務所、絶対そんなことわかってないよ。

単純に「ここで10年以上働いている介護福祉士」て条件で決めてる。

じゃなきゃ、むしろ早く辞めて欲しいと現場が望んでいる新人クラッシャーが選ばれるわけがない。

処遇改善全体にいえることだけれど、事業所の裁量にまかせちゃダメだって厚労省。

現場を何も理解していない事業所の管理職にお金を渡したら、絶対現場の介護士には届かないんだから。

支配者たちは豪華な家や車を持っているのに国民は飢えている、どっかの独裁国家と同じ構図なんだって。

 

うちの現場では「10年以上働いている人は簡単には辞めない。むしろ生活の苦しい新人に8万円より少なくていいから少しでも支援してあげた方が介護業界全体のためになる」という意見で一致しました。

そもそも本気で介護職の待遇を改善する気があるのかさえ疑わしいですけどね。

ホント、現場を支えている人にお金が渡って欲しい。

 


人事異動の季節

2019-03-18 21:28:47 | 日記

3月も半ばを過ぎ、人事異動の発表がありました。

ベテランさんが異動になるかたわら、新入社員の補充はなし

エ〜〜〜

憤懣やるかたなしです!

どうして?

こんなに人手が足りないのに?

 

・・・どうも事態はもっと深刻で、他の系列施設ではここよりさらに人手不足が進んでいて、早番、日勤、遅番一人掛け持ちだとか、夜勤明け早番なんて勤務もあるとか。

そこで人手不足の中でもまだましな方であるウチの施設から、人を抜いていくそうです。

 

これが人手不足の負のスパイラルか!(意味不明)

 

当然他よりましとはいえウチの施設も人が(さらに)足りなくなるので、一人夜勤がはじまり(実質休憩時間なし!)、ユニットを一つ統合してベッドは空いているのに受け入れを中止するとか。

ま、介護する人がいないんだもの、そうなるよね。

 

でも一人夜勤て、35人の利用者さんを一人でみるなんて、不安しかない。

35人を朝ちゃんと起こして着替えさせて、トイレ介助して、洗顔介助して、食堂で飲み物を提供して、薬を飲ませて、朝食を食べれる状態にまで持って行くなんて、一人の人間に本当にできるの?

5分おきにトイレに行きたがったり、自分の部屋がわからなくなったり、車椅子から立ち上がろうとする認知症のお年寄りだよ?

服を盗まれた、家に帰りたい、娘に電話して、背中がかゆい、TVがつかない、数日何も食べさせてもらっていない、なんて訴えを聖徳太子ばりにさばきながら?

それを休憩も取れずに徹夜した9時間勤務のオムツ交換が終わった直後の最後2時間で?

ひとりあたり3分ちょっとしかないよ?(中には自立している人もいるけどさ)

さらにそれを月給16万円でしろとおっしゃる?

 

そりゃ介護職集まらないよ・・・

 

中には時間がないからと、朝の3時4時から利用者さんを起こし出す職員さんもいます。

お年寄りは朝が早いとはいえ、3時から起床介助かぁ、ちょっと早過ぎない?

では朝食時間を後ろにのばせばいいかというと、今度は9時からの入浴介助に間に合わなくなる。

ホント、この時間から時間のしばりが、自分の首をしめているんですよね。

管理はしやすいのかもしれないけれど、こんなの生活じゃない。

はぁ、4月から不安しかないよ。

 

 


自立支援って何?

2019-02-13 07:19:09 | 日記

自立支援てさぁ。

 

「さわらないで!」

ある日の食事前、お茶をこぼした利用者さんが湯のみに触ろうとするのを職員が止めました。

・・・はぁ、残念。

その利用者さんは認知症があって、10分前のことも忘れてしまいます。

私がその利用者さんに、他の利用者さんたちのお茶をいれてくれるように頼みました。

足が不自由なので配るのはこっち(介護員)でやるね、と言って。

彼女はそれを忘れてしまい、自分で配ろうとして湯のみをテーブルの上でひっくり返してしまったのです。

私は雑巾を取りに少し目を離しました。

その一瞬のスキに、くだんの職員さんが制止したのです。

 

別にさぁ、お茶をこぼしたって拭けばいいじゃん。

やけどするほど熱いお湯とか、他の利用者さんにかかる可能性があるなら別だけれど、明らかに「これ以上事態を悪化させないで!」という制止のしかた。

私には「職員の仕事を増やさないで!」と聞こえてしまいました。

 

介護員の仕事って何?

 

自分でお茶をいれる能力のある利用者さんに(実際上手にお茶をいれることができていました)、たまたまお茶をこぼしたからってお茶を入れさせないのが介護なの?

職員がお茶を配るのをテーブルの前でおとなしく待っている利用者さんが「手のかからない利用者さん」で、職員が止めても自分でお茶を入れようとする利用者さんが「手のかかる利用者さん」?

 

こういうの多いんですよね。

怪我をするかも知れないから立たせない。

こぼしてしまうから食事介助する。

失敗するかも知れないからやらせない。

 

自立支援って何?

 

まあね、ご家族の中には「絶対に転倒させないで下さい」と要求したり、万が一のために担当する介護員全員の顔写真を撮って行く人もいます。実際訴訟になることだって。

事故が起きた場合、事業所は「介護の方法が悪い」「お前は介護に向いていない」と介護員個人の資質のせいにして、その介護員を辞めさせる方向で事態の収拾をはかることもあります。

だから介護員は萎縮しちゃって事故がないように(ないに越したことはありませんが、普通の生活をしていたら転んだり怪我をすることはあるでしょ?)、問題が起きないように、あれもダメ、これもダメ、職員がやるから手を出さないで、という方向に考えてしまう。

できる能力があるのにやらせてもらえない利用者さんが一番の被害者だよなぁ〜

 

もっと職員間で話し合えればいいのですが、ただでさえ人手不足で忙しいのに、これ以上仕事(面倒なこと)増やさないでって人が9割というのが現状です。

・・・はぁ、残念だなぁ。