上善如水

ホークの観察日記

『パンズ・ラビリンス』

2008-10-30 22:27:25 | 映画

メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督の作品、『パンズ・ラビリンス』を観ました☆

とっても悲しいファンタジー映画。

スペイン内戦をあつかっているので、残虐なシーンもあり、PG-12指定。

主人公の女の子オフェリアを1994年生まれのイヴァナ・バケロが好演しています。

題名の『パンズ・ラビリンス』を直訳すると、「パンの迷宮」。

”パン”というのはギリシア神話に出てくる上半身が人間で下半身がヤギの牧羊神。『ナルニア国物語』に出てくるタムナスさんの同類です。でも、『パンズ・ラビリンス』に登場するパンはどこか妖しい、迷宮の番人。

人間の世界に迷い出た地下の国のお姫さまを迎えるべく、地下の国の入口にあたる迷宮を守っているのです。

はかなく美しく悲しい物語…

父親が亡くなり、母親が再婚した相手は独裁政権の軍人。

主人公の少女オフェリアは、妊娠中の母親と共に、新しい父親の赴任地である山深い戦いの地に連れてこられます。

独裁政権により自由を奪われた人々。

反抗するレジスタンス。

簡単に奪われていく命。

そして、生まれてくる新しい命。

暗い影がおおう世界で、オフェリアは、まだ見ぬ弟に語ります。「この世界は悲しいことばかりだけれど、ママの笑顔を見ればあなたもママを愛するようになるわ」

しかし母親の再婚相手は、生まれてくる自分の子どもにしか興味がなく、オフェリアも、彼女の母親さえも冷たい目でみつめます。

もうオフェリアが細くて頼りなくて見ていられません!

そんな彼女が地下の国のお姫さまの生まれ変わりとして、地下の国へ帰るための三つの試練に立ち向かわなくてはならなくなります。

大きな木の根元に住むという大カエル。

描くとそこが扉になってしまう不思議な白いチョーク。

文字が浮かび上がり行く先を告げる魔法の本。

果たして”パン”の言うことは信じていいの?

血と泥と雨と銃弾。

妖精が飛び交う美しい地下の世界。

オフェリアは母親に訊ねます。

「何で再婚なんてしたの?」

大人たちの争いの前では、子どもたちはまったくの無力です。

”パン”をはじめ、地下世界の造形、色彩を抑えて表現された世界の妖しく美しいこと!

こういう映像表現は映画ならでわって感じです。

平和な時。戦争中。どんな世界に生まれてくるかを子どもたちは選べない。

すべては大人の責任なんですよね。

美しい映像とオフェリアの寂しさが印象的な映画でした。


早起きは三文の徳

2008-10-28 18:24:39 | 日記・エッセイ・コラム

目覚ましが鳴るよりも早くに起きて、パソコンを開いていると、忘れていた頃になって目覚ましがジリリリリ…!!

慌てて止めようと振り向いたら、後ろにあったちゃぶ台にヒジをおもいっきりぶつけてしまった…

痛い!…目覚まし!…痛い!…早く止めなきゃ…でも痛い!

ヒジの痛さと自分のマヌケさに涙目になりながら目覚ましを止めました。

あ~あぁ。


『スパイダーウィックの謎』

2008-10-25 11:31:11 | 映画

映画『スパイダーウィックの謎』をレンタルして来ました☆

監督はマーク・ウォーターズ。ブラウニーやゴブリンといった妖精たちが登場する2008年のアメリカ映画です。

妖精が登場するといっても、剣と魔法のファンタジー物ではありません。

舞台は現代。

父親と別れて暮すことになった双子の兄弟、ジャレットとサイモンは、母親と姉のマロリーと共に、森の奥に建つ今は空き家の大叔父アーサー・スパイダーウィックの屋敷に引越して来ます。

父親が大好きなジャレットはこの引越しには反対で、母親と対立してばかり。

そんなジャレットが秘密の部屋である一冊の本を見つけたことから、一家は大変な目に遭うことに…

このジャレットとサイモンの性格の違う対照的な双子の男の子を、『チャーリーとチョコレート工場』でチャーリー役を演じたフレディ・ハイモア君が一人二役で好演♪

ジョニー・デップとの共演も見事にこなしていたし、将来が楽しみな子役くんです☆

普段は人間には姿が見えない妖精たち。

でも彼らが見せたいと思った人間だけにはその姿が見えるようになる。

特殊効果を使った妖精たちの動きは必見。

妖精といえばなんだか聞こえはいいですが、このお話の中では邪悪な妖精たちが人間に襲いかかってくるので、ファンタジーというよりパニック映画に近いかも。

とはいえ、見えない妖精と戦わなきゃいけなかったり、妖精ならではの撃退法が工夫されていたりと、ファンタジーならではの要素もたくさんあります。

この映画も原作の物語があるのですが、やっぱり原作付きの映画にありがちな詰め込みすぎ感はぬぐえません。

時間の制約もあるのでしょうが、双子の苦悩とか、両親の問題にふり回される子どもたちの気持ちとか、感情面をもう少し描いてくれたら大人も感情移入しやすかった気が。

妖精たちの住む世界も、もう少し広げて世界観を持ちやすくして欲しかった。

ま、個人的な好みですけどね。

ジャレットたちの味方になってくれる妖精とか、ちょっと頼りにならない助っ人とか、ユニークなキャラクターも登場して、ワクワクはします☆

でもやっぱり、せめて食事とか着替えとか、日常の生活シーンくらいはもっと入れて欲しかった。

双子でおそろいのパジャマを着るとかさ♪

いかんいかん、フレディ君のファンのなげきになってる…

最近、妹の子どもたちや友達の子どもが、赤ちゃんから成長してみんな5、6才になってきて、食べる、着る、寝かせるっていう日常の生活が、つくづく大変だってことが身にしみてきたので、ついつい日常の生活描写に目がいってしまうんです。

ご飯をこぼさなくなっただけで感激!

いや、もはや孫を見るおじいちゃん目線に近い?


『フラガール』

2008-10-11 23:51:02 | 映画

テレビで放送された、映画『フラガール』を観ていました。

監督は李相日。出演は蒼井優、松雪泰子、富司純子、豊川悦司、他。2006年の映画です。

もう、滂沱の涙でした…

一生懸命頑張るって素晴らしい…

昭和40年。石炭産業が下火になった福島県の常磐炭鉱を舞台に、町おこしとしてはじまった「常磐ハワイアンセンター」で踊ることになる、フラガールズたちの奮闘を描いた実話。

多くの賞に輝いた作品だったので、前から見たいとは思っていたのですが、ほんとうに観てよかった☆

頑張るって素晴らしい!

うらやましかったです。

最初は北の町にハワイだなんて、と相手にされず。

フラダンスなんてストリップじゃないかと誤解され。

それでもやるしかなくて、まったくの素人の娘たちが、偏見と好奇の目にさらされながら、いちからフラダンスに挑戦していく。

決して華やかではない日々の生活の描写。感情を爆発させるところ。生活の苦しみ、悲しみ。

それらを見た上での、最後のフラダンスのシーンには、テレビの前で思わず拍手したくなりました☆

役者さんたちの演技も体当たりでよかった。フラダンスのシーンのために、そうとうな猛特訓を重ねたとか。

いい映画でした♪


緒形拳さん

2008-10-07 13:21:35 | 日記・エッセイ・コラム

俳優の緒形拳さんが今月の5日に亡くなったとのニュースを見ました。

大好きな俳優さんで、緒形さんが出ていれば面白いだろうと番組を見るようなところがありました。

「楢山節考」「大誘拐」「さよならニッポン」など、印象に大きく残っている映画もたくさんあります。

テレビではNHKの大河ドラマ「毛利元就」での尼子経久役が好きで、ゾクゾクするほどの緊迫した演技に毎週見入っていました。

NHK教育で放送している「見える歴史」という番組で大きな木のキャラクターの声をやってみえて、つい先日も楽しく見たところだったのに…

心より、ご冥福をお祈りいたします。