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原発再稼働と電力不安、参院選論争で見えない具体策

2022-07-03 16:04:14 | 日記
原発再稼働と電力不安、参院選論争で見えない具体策

2022/7/3 15:52福田 涼太郎

電力逼迫参院選2022

関西電力大飯原発の4号機(左)と3号機=福井県おおい町

記録的な暑さに見舞われた首都圏で不安定な電力供給体制が露呈するなど、電力需給に対する関心がかつてないほど高まっている。

10日投開票の参院選では、ロシアによるウクライナ侵攻にともなうエネルギー価格の高騰や、脱炭素の観点からも原発を含めた日本のエネルギー政策に関する議論は不可避な情勢だが、議論が深まっているとはいえず、各党の主張からは現状を打開するような具体策は見えてこない。

日本のエネルギー政策を考える上で、避けて通れないのが原発政策だ。

東京電力福島第1原発事故から11年以上。

これまで16原発27基が新規制基準に基づく原子力規制委員会の安全審査に申請したが、再稼働にこぎつけたのは6原発10基にとどまる。

定期検査中のものなどもあり、足元で稼働中の原発はわずか4基。国内の全発電量に占める原子力の割合は令和3年が約6%で、25%程度だった福島第1原発事故前と比べると、いまだ大きく水があいている。

理由の一つに、規制委による「世界最高水準」(田中俊一前委員長)の厳しい審査がある。

例えば地震対策で、評価対象の断層を活断層かどうか判断する際、従来通り「12万~13万年前以降」の活動の有無を基準とする一方、周囲の地層を調べても活動性が不明な場合は「40万年前以降」まで遡(さかのぼ)って検討することを新たに要求。

活断層は重要施設の直下にあれば運転が認められず、近くであっても強力な対策が求められるだけに、電力会社からは「厳しすぎる」との声も上がる。

自然災害や原子力事故だけでなく、テロ対策も審査対象で大型航空機の衝突を想定することが求められる。

審査を申請してから7月で9年となる北海道電力泊原発をはじめ、行政手続法上の標準処理期間と定められている2年を大幅に超えるケースが相次いでいる。

安全審査をパスしたとしても、新規制基準に適合させるための対策工事を終えなければならない。

日本原子力発電東海第2原発(茨城県)のように、平成30年の審査合格後も地元の不安感を払拭できず、再稼働に向けた合意を自治体から得られていない事例もある。
こうしたことを背景に、昨年は全発電量の7割以上を火力発電が占めた。

今夏の電力不足に伴い、運転停止中の火力発電所を復活させる動きも出ている。

天然ガスや原油など大量の燃料を使う火力発電は、現在のように価格が高騰している時期には発電コストが高まり、電気料金への転嫁につながる。

その上、二酸化炭素を多く排出するため、世界的な脱炭素の流れにも逆行することになる。

冬には需給がさらに逼迫(ひっぱく)するとされ、今後のことを考えれば国のベースロード(基幹)電源をどうするのかは必要な議論だが、与党関係者は「原発の議論は票が減ることはあっても、増えることはない」と前向きな議論には及び腰で、まともな代案を示せない野党からも説得力のある議論はうかがえない。

こうした状況に、経済同友会の桜田謙悟代表幹事は6月29日の記者会見で「原発の再稼働を今以上に進めていかないと、いつまた同じこと(現在のような電力不足)が起きるか分からない」と懸念を口にした。

コスト、安定性、安全性、そして時間軸の観点から、どのエネルギーをどれだけ活用していくべきなのか。選挙戦で有権者の判断に資する材料が具体的に示されることが期待される。(福田涼太郎)


特集・連載:
電力逼迫
参院選2022





若者の投票率の伸び悩む理由 「入れたい政党がない」「よくわからないから 棄権」指摘も

2022-07-03 11:53:09 | 日記
若者の投票率の伸び悩む理由 「入れたい政党がない」「よくわからないから
棄権」指摘も

参院選2022
2022/07/03 08:00

筆者:井上有紀子


時折雨が激しく降ったにもかかわらず、国政与党による若者対象のイベントに集まった人たち/6月12日、さいたま市(撮影/編集部・井上有紀子)
 参院選が公示され、7月10日の投開票に向けて選挙戦がスタートした。選挙結果だけでなく投票率も注目される。特に国政選挙で若者世代の投票率が伸び悩んでいる。なぜか。「参院選」を特集したAERA 2022年7月4日号の記事を紹介する。

*  *  *

 「地域の課題を改善しようとする人たちがこんなにいるんだと希望を持ちました」
 茨城大学4年の大金咲由莉さん(21)は、1年時に市議のもとで2カ月経験したインターンをそう振り返る。一方で、若者の参加を呼びかけたのにもかかわらず、市議のタウンミーティングに集まった人たちは50~80代と中高年だったことが気になったという。

「私もインターンじゃなかったら、行かなかったかもしれない。政治好きな年上の人たちに『君はどう思う?』とガンガン詰められると困ってしまう」
 大学生の議員インターンシップを運営する「ドットジェイピー」理事長の佐藤大吾さんは言う。
「インターンを経て、さまざまな思いを抱くでしょう。ただ、報道を通してしか政治を知らなかった学生が、経験に基づいた自分の意見を持つようになることが大切だと思います」
 若者にもそれぞれ問題意識はある。だが、10~30代の投票率は他世代と比べて低い。前回の2019年参院選ではいずれも30%台だった。その原因について、投票行動に詳しい早稲田大学の日野愛郎教授はこう指摘する。
「若者と政党の間でミスマッチが起きています」
 日野教授は昨年の衆院選で、性別、年齢の人口分布に沿う4800人超にインターネットで意識調査をした。29歳以下に「選挙の争点」を聞くと、30歳以上に比べて同性婚の合法化、コロナ問題、候補者の男女均等化、候補者の被選挙権年齢の引き下げ、高等教育の無償化などを挙げる人が多かった。だが、実際に投票に結びついた争点は、憲法改正、沖縄基地問題などだった。つまり、自分の関心とは別の判断基準で投票していたことがわかった。
 日野教授はこう分析する。
「いつも感じている課題がある一方、選挙前になると憲法や外交安全保障の問題に切り込む報道などが増えるから、『選挙はこう選ぶもんだ』と若者が思わされるのかもしれません。もしくは、自分の感じる課題が選挙前にさほど話題にならず、そういう課題解決を公約に掲げている政党があるか認識できないまま、入れたい政党がないと思って棄権してしまうのではないでしょうか」
■わからないのが普通
 各党に政策提言する超党派の若者団体「日本若者協議会」のメンバーで、早稲田大学1年の芹ヶ野(せりがの)瑠奈さん(20)は言う。
「政党のウェブサイトに情報が書かれていますが、1時間調べたくらいでは、どの政党に入れたらいいのかわからないのが普通だと思います。投票をするにはニュースや国会の中継から今の日本社会の流れを把握することも大事ですが、それも難しいと思います。そう突き詰めると、よくわからないから棄権する人、とりあえず有名な自民党に入れようという若い人の気持ちもわかります」

実は若者政策は増えてきたと指摘するのは、同協議会代表理事の室橋祐貴さん(33)だ。
「各党の若者政策や若者の話を聞く機会は増えています。6月15日にこども基本法が成立、来年4月にこども家庭庁が発足するように、政治が子どもの意見を聞こうという空気感にちょっとずつ変わっています。各政党が数年前から、不定期でオンラインカフェのような若者の話を聞く場を開いています」

 例えば、自民党は政権与党として低所得世帯対象の高等教育や3~5歳児の幼児教育・保育の無償化、待機児童数の削減を実施し、野党第1党の立憲民主党はコロナ禍で困窮する学生への支援を議員立法した。今回の参院選で野党第1党の座を狙う日本維新の会は、重点政策の一番上に出産無償化と教育無償化を掲げている。
■結局は大人が決める
 ただ、室橋さんはこうも指摘する。
「政党は若者の声を聞いているようで、そこまで重要視していないと思います。例えば、困窮学生への支援は若者の声を聞きながら進めましたが、それ以上に世論が盛り上がったから実現された面が大きいのではないかと思います。政策公約をつくるうえで、若者の声を聞くことがプロセスとして位置づけられているわけではないのです。本気で聞いているところまではいっていないと思います。学校と同じで、子どものためではあるが、結局のところ大人が考えて決めているんですね。だから、政党の青年部の担当者が代わったら、動きが止まるケースがこれまでもありました」
 そしてこうも言う。
「気候変動や教育に関する政府の審議会や政党の部会には若者協議会は呼ばれますが、社会保障や雇用の公式の会議には呼ばれたことがありません。予算規模の大きな分野はまだ大人世代が中心です」
 若者たちの声が届く政治を望みたい。(編集部・井上有紀子)

※AERA 2022年7月4日号に一部加筆


米国を襲った「絶望死」、韓国にも現れ始めた…危険レベルに達した3つの指標

2022-07-03 11:26:30 | 日記
米国を襲った「絶望死」、韓国にも現れ始めた…危険レベルに達した3つの指標

6/30(木) 8:36配信


自殺と薬物・アルコール中毒に伴う死亡を意味する「絶望死(Deaths of Despair)」が韓国でも危険レベルまで高まった。

 社会的孤立感が高まり、経済的両極化が深刻化していることが原因に挙げられる。

絶望死は2015年ノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン氏が提起した社会問題で、最近米国の低所得・低学歴の白人労働者階層で多く発生している。

ディートン氏は貧富の差が拡大する中で、彼らが共同体生活で疎外され、絶望死の絶壁に追い詰められていると診断している。

29日、韓国放送通信大学のカン・サンジュン教授をはじめとする研究陣が行った大統領直属政策企画委員会研究サービス報告書「韓国の絶望死研究:原因の分析と代案提示」によると、韓国でも同じような現象が現れている。

 まず韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国で自殺率1位という汚名を長期間維持している。

2020年OECD基準に人口10万人あたりの自殺者は23.5人であることが分かったが、これはOECD加盟38カ国の平均(10.9人)の倍以上となる。

自殺は10代・20代・30代の死亡原因の1位、40・50代では2位だ。特に20~50代を年齢別に調べてみると、関係の難しさや経済的問題に伴う要因が目立つ。

20代は家族・友達・恋人などと繰り返される葛藤、30代は業務関連のストレスと負債による経済的困難が主な自殺要因に挙げられた。

40代は経済的危機と貧弱な社会的支持基盤、50代は物質関連問題と家族問題で極端な選択をする場合が多かった。 アルコール性肝疾患、アルコール性心筋症のようなアルコール関連の死亡も深刻化している。

2020年アルコール関連死亡者は5155人で前年比461人増加した。

2000年(2698人)と比較するとほぼ2倍だ。2020年基準でアルコール中毒と推定される患者数は約152万人に達し、特に女性と20~30代の若者層でアルコール関連の診療が増加している。

 薬物関連の死亡者数は2020年365人で数字上ではそれほど大きなものでなさそうに見える。だが、麻薬・薬物依存症に関連して韓国はもう「安全地帯」ではなくなった。

大検察庁によると、昨年の麻薬犯罪者は1万6153人となっている。

人口10万人あたりの麻薬犯罪者の摘発数を示す「麻薬犯罪係数」が20を越えると「麻薬拡散」の危険が高いとみなされているが、昨年はこの数値が31.2に達した。

昨年麻薬犯罪者数は前年(1万8050人)に比べると10.5%減少したが、2014年までは1万人を下回っていた点を勘案すると急増している。

 研究陣は「過去10年間の社会調査を通じて、社会階層の移動に対する期待値が低くなり、社会的孤立感が強まる傾向」という点が韓国の絶望死と関連があると考えた。 

「本人の階層移動可能性」に対して2011年には回答者の32.8%が肯定的に考えていたが、2021年には26.7%に減った。否定的に考えているという回答は同じ期間54.0%から58.0%に増えた。

「社会的孤立を感じる」と答えた比率は2011年(59.2%)から2017年(53.4%)まで減少したが、その後は上昇を続けて2021年56.6%を記録した。

 研究陣は「韓国は経済的には先進国の仲間入りを果たしたが、世界最低水準の出生率と最高水準の自殺率、そして富の両極化でさらに多くの発展を期待することが難しい『収縮社会』に転落していて、これは韓国社会が絶望死の危険からすでに自由ではないことを意味する」と診断した。

また「新型コロナウィルス感染症(新型肺炎)パンデミック以降、社会的孤立などの理由でアルコール中毒に陥る人々が増加しており、青年の自殺が急増していて、麻薬類の中毒が広がっている点を考慮する場合、絶望死に対する研究と今後の政策的対応づくりを早急に行わなければならない」と注文した。

 専門家は青年層を中心に対策を用意することが効率的だと助言する。

10代~30代の自殺者とアルコール常習者が増加を続けてオンライン上の麻薬流通が活性化していて、若年層が麻薬・薬物に触れる事例が増加しているからだ。特に、就職やマイホーム購入などにおいて、相対的に剥奪感が大きい点は米国白人労働者の絶望死と重なる部分だ。 水原(スウォン)大学児童家族福祉学科のチャ・スンウン教授は「大都市の過密化、ソーシャルメディア(SNS)の大衆化などで他人とのオン・オフライン接触が増え、青年層で『自分は他人よりも経済的・社会的に標準に至っていない』という主観的な喪失感が大きくなった」と診断した。

また「最も旺盛な夢を持って生産すべき時に絶望死するということは、青年層の社会環境に問題があるということ」としながら「今は青年層の経済的・社会的セーフティネットに対して真剣に悩むべきだ」と助言した。




2%を超えた物価上昇は日本経済に有害

2022-07-03 11:11:39 | 日記
  • コラム
  • 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight
2%を超えた物価上昇は日本経済に有害

#木内 登英
2022/05/20

コアCPIの前年同月比は2009年以来の水準

5月20日に総務省は4月消費者物価統計を公表した。

生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)は前年同月比で+2.1%と、3月の同+0.8%から一気に上昇した。

事前予想の平均値は同+2.0%程度だった。

数字が一気に跳ね上がったのは、昨年4月に価格が大きく下落した携帯電話の通信費の影響(3月時点の寄与度は前年比-1.4%程度)が剥落したためだ。

4月のコアCPIの前年同月比は、2015年3月の同+2.2%以来の高い水準となった。

しかしこれは消費税率引き上げの影響を受けたものであり、消費税率引き上げの影響を除くと2009年9月以来の水準である。

コアCPIの高い上昇率は、エネルギー価格の上昇の影響を大きく受けている。

海外では、価格変動が激しい食料品とエネルギー価格を除いて基調的な物価、つまりコアCPIとする国が多いが、
日本ではこれに近い食料(酒類を除く)とエネルギーを除く消費者物価指数で見ると、前年比で+0.1%ある。

4月のコアCPIは前年比で2%を超え、日本銀行の物価目標の水準に達したが、より基調的な部分に注目すると、日本の消費者物価上昇率はまだ低い水準と言える。

物価上昇はなお広がりを欠く
実際、日本の物価上昇は品目の偏りが大きい。

コアCPIの前年同月比寄与度で見ると、エネルギーが+1.4%、食料品が+1.0%、生鮮食品を除く食料品が+0.6%である。

生鮮食品を除く食料品の価格上昇の寄与度は、エネルギーの半分以下である。

日々加工食品の値上げが報道されているが、実際の食料品価格上昇の寄与度は思っているほどには大きくない。

やはり、エネルギー価格上昇の影響の方が大きいのである。
日本銀行の分析によれば、消費者物価指数の全体的な動きを捉える加重中央値(価格上昇率の高い順にウエイトを累積して50%近傍にある値)、最頻値(品目別価格変動分布において最も頻度の高い価格変化率)は、それぞれ3月時点で前年同月比+0.2%、同+0.3%と比較的低位にとどまっている。物価上昇は特定の品目に偏っており、なお広がりを欠いていることを示唆している。
従って、海外要因と円安の影響を大きく受けるエネルギーと食料価格が落ちつきを取り戻せば、2%まで上昇した日本のコアCPIの上昇率も、低下傾向に転じることが見込まれる。
年末のコアCPIは+3%超えの可能性も
原油価格と為替が現状の水準(WTI原油先物110ドル/バレル、ドル円1ドル130円)を維持する場合には、コアCPIの前年比上昇率は2%を上回る水準が年内は続き、今年年末(12月)には+2.7%となる見通しだ。
他方、向こう3か月でWTI原油先物が130ドル/バレルまで上昇し、ドル円が1ドル140円まで円安が進む(その後横ばい)リスクシナリオの場合には、年末時点でのコアCPIの上昇率は+3.1%と、いよいよ3%を超える見通しとなる。

生活者に打撃が大きい物価上昇

価格上昇の品目に偏りがあり、物価上昇がそれほど持続性は高くないといっても、エネルギー、食料品の価格が大きく上昇すれば、それが国民の生活を圧迫することには変わりはない。

エネルギー、食料品はまさに、生活必需品であり、高い頻度で購入する品目だ。

ぜいたく品や購入頻度が低い財・サービスであれば、価格上昇率が高い間その購入を控えれば、消費者は物価高の影響から逃れることができるが、現状ではそれが難しいのである(コラム「2極化傾向を強める国内の物価動向」、2022年1月28日)。

そうした品目の購入割合が高い、低所得層や高齢者層が、特に足元の物価上昇による打撃をより大きく受けやすくなっている。

3月時点で、一人当たり賃金上昇率から消費者物価上昇率を引いた実質賃金上昇率は前年比で-0.3%、賞与、残業代などを除いた「きまって支給する給与」で見ると同-0.8%である。

賃金上昇が物価上昇に追い付かずに購買力が低下し、消費者はどんどん貧しくなっていっているのである。
物価上昇期待の高まりはリスクが大きい

かつては、デフレ脱却の方策として、家計の物価上昇期待を高めることで消費を刺激すべき、との主張がよく聞かれたが、現状ではこれはリスクが大きい考え方ではないか。

賃金上昇率は、生産性上昇率や潜在成長率といった経済の潜在力で決まる側面が大きいと考えられる。

日本の労働生産性が高まる、あるいは将来の成長期待が高まって初めて企業は日本で賃金を大きく引き上げるのである。

ただし足元では経済の潜在力が高まっている証拠はないことから、企業の賃上げは限定的である。

こうした中、消費者が物価上昇率の上振れが長期化するとの見方を強めると、それは防衛的な消費行動を促し、個人消費の低迷につながりやすい。

賃金を上回る物価上昇、つまり実質賃金の低下によって個人消費が弱くなれば、需給が悪化して物価上昇率は低下しやすくなる。それによって賃金上昇率と物価上昇率の乖離が解消されていくというのが通常の安定回復のメカニズムだ。

ところが足元の物価上昇は、海外での原油高、農産物価格上昇、そして円安といった外部要因によるところが大きい。

そのため、消費が弱くなって国内の需給が悪化してもなお、高い物価上昇率が続きそれが個人消費をさらに悪化させる恐れがある。

最終的には、物価高や金融引き締めの影響で世界の需要が明確に悪化しないと、原油高、農産物価格上昇は収まらない可能性があるのではないか。

それは起こるとしても来年以降ではないか。

日本の実力に照らして物価上昇率は高すぎる

日本銀行が指摘するように、2%の物価上昇は比較的一時的な現象であり、それが持続的となった物価目標が達成できるめどはない。

ただし現在の物価上昇率は、既に賃金上昇率を決める日本経済の潜在力、いわゆる日本経済の実力に照らして高すぎる状況だ。

この状態が続けば、消費者の物価上昇率見通しはさらに上振れ、個人消費はさらに悪化するだろう。

こうした状況の下では、金融政策を通じて、さらなる物価上昇を食い止め、個人の物価上昇率見通しが一段と高まることを防ぐ、というメッセージを中央銀行が送ることが求められるのではないか。

米国で行われているような急速な金融引き締め策を日本で実施することは現実的ではないが、物価の安定回復に向けた意思を日本銀行が改めて示すことが、経済の安定維持には必要だろう。

現状のように日本銀行が金融緩和を修正することを強く否定すればするほど、円安進行に後押しされる形で個人の物価上昇率見通しは一段と高まり、それが日本経済をより不安定にさせてしまうのではないか



執筆者情報

  • 木内 登英
    エグゼクティブ・エコノミスト






韓国、物価上昇率6%に達する見込み

2022-07-03 10:57:31 | 日記
韓国、物価上昇率6%に達する見込み

7/3(日) 10:29配信


公共料金である電気料金とガス料金が1日から同時に引き上げられた。

国際原油価格と有煙炭、液化天然ガスなど主要原材料価格がこの1年間だけで2倍近くに上昇した余波だ。

産業通商資源部と韓国電力が1日に明らかにしたところによると、7-9月期の電気料金に適用される燃料費調整単価がこの日から1キロワット時当たり5ウォン上がった。

今回の調整単価調整により月平均使用量307キロワット時の4人世帯の電気料金負担は月額で約1535ウォン増加する。

 韓国電力は今回の調整単価調整とともにこの夏の猛暑が予想されることから7~9月に一時的に社会的弱者層の料金負担を緩和するため福祉割引対象約350万世帯を対象に割引限度を40%に拡大することにした。

障害者と有功者、生活保護受給者など社会的に配慮が必要な層に対しては7-9月期の燃料費調整単価適用にともなう料金増加幅程度の限度である1600ウォンを追加で割引し月最大9600ウォンを割引する計画だ。

 電気料金とともにガス料金も上がった。

住宅用・一般用の民需用都市ガス料金がメガジュール当たり1.11ウォン引き上げられた。

これは昨年確定した精算単価引き上げ分と今回決定された基準原料費引き上げ分などが反映された結果だ。

都市ガス料金は発電原料の液化天然ガス(LNG)の輸入単価である「原料費」(基準原料費+精算単価)と卸小売供給業者の供給費用と投資報酬を合わせた「卸小売供給費」で構成される。

 細部的に見ればメガジュール当たり1.11ウォン上がり、住宅用料金は16.99ウォンに、一般用(営業用1)料金は16.60ウォンにそれぞれ調整された。引き上げ率は住宅用が7%で、飲食店や美容室、宿泊施設、プールなどに適用される一般用(営業用1)は7.2%、銭湯・ごみ焼却場などに適用される一般用(営業用2)は7.7%だ。ソウル市基準で1世帯当たり平均ガス料金は月3万1760ウォンから3万3980ウォンに2220ウォン上がった。

 電気自動車充電料金もこの日から事実上引き上げられた。

電気自動車普及拡大に向け施行してきた電気自動車充電料金特例割引制度が6月末で終了したためだ。電気自動車充電料金はキロワット時当たり292.9ウォンから313.1ウォンに上がった。庶民の生計と直結する公共料金が相次ぎ引き上げられたことと関連し韓国政府は昨年下半期から急騰する国際原油価格と天然ガス現物価格などで引き上げが避けられなかったと説明する。

特に政府は今回の引き上げが物価上昇を考慮した最小限度の調整だったと明らかにした。

ただ公共料金が一度に引き上げられ物価上昇も激しいだろうという観測が提起されている。

韓国銀行の「6月の消費者動向調査」結果によると、期待インフレ率は3.9%で5月の3.3%より0.6ポイント上昇した。 

これは2012年4月以降で最も高い数値で、期待インフレが未来の物価上昇率を現わすだけに実際の物価上昇につながるだろうという見通しが出ている。

こうした分析を基に政府もやはり下半期の物価上昇率が6%に達するとみている

秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政部長官も最近「6月または、7~8月に6%台の物価上昇率を記録するかもしれない」と明らかにしている。特に10月からは電気料金とガス料金がもう一度同時に引き上げられる予定のため物価負担がさらに加重される見通しだ。電気料金は4月基準で燃料費がキロワット時当たり4.9ウォン上がったが10月に4.9ウォンさらに引き上げられる。

ガス料金の場合、精算単価が5月に0ウォンから1.23ウォンに引き上げられたのに続き、この日から1.90ウォンに0.67ウォン上がり、10月には2.30ウォンに0.40ウォンさらに上がる予定だ。 一方、油類税引き下げ幅が37%に拡大した1日、国内ガソリンスタンドのガソリン・軽油価格は前日より小幅に下がった。韓国石油公社原油価格情報サービスによると、この日午前9時基準で全国の平均ガソリン価格は前日より11.37ウォン下がった1リットル当たり2133.53ウォンを示した。全国平均軽油価格は前日より7.38ウォン安い1リットル当たり2160.28ウォンを記録中だ。ガソリンは0.53%、軽油は0.34%下がった格好だ。油類税引き下げ幅はこの日からこれまでの30%から37%に拡大した。これに伴い、1リットル当たりでガソリンは57ウォン、軽油は38ウォンの価格引き下げ要因ができた。ただ油類税引き下げ効果が全て現れるには多少時間がかかる見通しだ。

石油製品は石油精製工場を出てガソリンスタンドで流通するまで通常2週間かかり、油類税は石油精製工場から搬出される瞬間にかかる。

このため油類税引き下げ分が販売価格に反映されるまで時差が発生する。

別記事

韓国食卓物価上昇率35.8%、米国の3倍

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.02.18 09:49
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コロナ禍で韓国食卓物価は35%上がった。

同じ期間の米国と中国の食卓物価上昇率はそれぞれ11.3%、0.9%に過ぎなかった。

[中央フォト]

白米のご飯・キムチ・味噌汁・卵浮焼きなどで構成される韓国人の食卓物価が新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の拡大以来米国・中国の食卓物価に比べ3~39倍さらに増えたことが分かった。

韓国の農産物輸出入が相対的に難しいうえに、国内生産物に対する依存度が高いためだと解釈される。

17日、農畜産物貿易取引プラットホーム「Tridge(トリッジ)」によると、世界保健機関(WHO)が新型コロナ非常事態を宣言した2020年1月末以降韓国の食卓は34.8%高くなった。

同じ期間に米国(11.3%)、ブラジル(16.9%)、中国(0.9%)の食卓物価上昇率を大きく上回る水準だ。

韓国食卓物価は韓国保健産業振興院の国民栄養統計(KHIDI)基準で韓国人が最も多く摂取した食べ物である白米のご飯、キムチ、味噌汁、卵浮焼きを基準に産出された。この食べ物の主な材料であるコメ、ニンニク、玉ネギ、ジャガイモ、乾燥トウガラシ、白豆、ハクサイの価格を指数化した。米国の場合、家庭でよく食べる食卓メニューとしてマカロニ・アンド・チーズ、ハンバーガー、タコ、サラダが挙げられ、中国は焼きギョーザ、トマトと卵の中華炒め、豆腐の煮物、ブロッコリー炒め、卵焼き飯を基準に物価指数を算出した。トリッジ関係者は「主要国の食卓に上がる食材料の中で価格変動性に敏感な品目を中心に選定した」と説明した。

コロナ禍以降各国の食卓物価が上がった理由は気候変動、物流大乱で主な食材料の生産・供給量は減ったが、社会的距離の確保で家に留まる人が増えておうちご飯の需要は増えたためだ。

トリッジのチョン・ジヌ研究員は「韓国の農産物輸出入は他の国より自由でないほう」とし「米国、ブラジルなど市場規模が大きい国では特定商品の供給が減少して価格が上がっても代替品があって価格が安定化する可能性が大きいが、韓国の食卓材料は主に国産に依存するので代替品を探すことが簡単でなく価格上昇の勢いを抑制し難い」と話した。

今月ニンニク価格は昨年同期比36.1%上がった。コロナ禍以前に比べると134.7%増加した。ニンニクが育つ4~5月に降る頻繁な雨によって生長が促進され異常ニンニクの被害が発生したためだ。異常ニンニクは商品性が低く、ほとんど廃棄されるので供給量が減り、価格を引き上げる原因になる。

ハクサイの価格も1年で21.4%上昇した。昨年秋の梅雨などの影響でハクサイの軟腐病が広がり収穫量が減少したためだ。さらに、昨年ハクサイ価格の暴落で畑を掘り返した農家が多く、ハクサイの栽培面積も大幅に減った。

同時に、農産物の生産費用の上昇も影響を及ぼした。統計庁によると、農家経営に必要な物品の価格である農家購入価格指数は昨年基準で111.1で、前年比4.7%上昇した。営農光熱費(24.7%)、飼料費(11.2%)、労務費(8.9%)などが全般的に上がったためだ。

高騰する物価により、主婦は買い物をするのが怖いとわめく。

ソウル麻浦区(マポグ)に住む主婦イさん(61)は「ハクサイ、トウガラシ粉の価格がいくら上がるといってもキムチを食べないわけにはいかない」とし、「買い物かごに一日分の食べ物を入れるだけでも10万ウォン(約9500円)をはるかに越えて手が震える」と話した。4人家族の主婦パクさん(50、麻浦区)は「昨年は価格が大きく上がったのは除いて買い物をしたが、今年に入っては以前に比較すること自体が意味なく、何でも割り引きが大きい肉と野菜を探している」とした。

一部の品目だけで食卓物価が大きく上がったと一般化するのは無理という指摘もある。延世(ヨンセ)大学経済学科のソン・テユン教授は「絶対的な価格でなく傾向を把握する資料なので、韓国食卓が一律的に米国の食卓より高いと誤解してはならない」として「主要国の食卓物価を示す項目の分類をより具体化して分析する必要がある」と話した。