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韓国株の実態、大統領はベンチャー育成をなぜ急ぐ

2014年04月18日 19時54分13秒 | Weblog

韓国株の実態、大統領はベンチャー育成をなぜ急ぐ

ソウル 加藤宏一

2014/2/28 19:33

韓国経済の実態を探ろう――。韓国で今、こうした動きが政府、マスコミ問わず広がっている。

サムスン電子や現代自動車、LG電子などが日本勢を脅かすまでにグローバル規模で成長を遂げる一方で、

一般市民の生活は良くなるばかりか、むしろ悪化しているとの批判が強まっているためだ。

 
4年前に比べて株価は大きく上昇しているが、サムスンと現代自を除くと上昇幅は小さい。
 
就任から1年を迎えた朴槿恵(パク・クネ)大統領は、大企業重視から、ベンチャー企業の成長による「均衡のとれた経済成長」を目指しているが、実現には相当な覚悟が必要となりそうだ。
 

 きっかけは1月、世宗市で開かれた玄旿錫副首相兼企画財政相と、韓国記者らとの昼食会の席だった。

「韓国の経済にどんな影響が出るのか。リスクを分析しなければならない」。

玄副首相がサムスン電子と現代自動車を除く経済指標を作る方針を示し、一部の大企業に依存するいびつな経済構造が改めて意識されるようになった。

  サムスンを除くと前年比プラスの輸出はマイナスに転じる、サムスン・現代自を除く株価は低迷している――。

韓国紙は相次ぎ巨大財閥への依存に警鐘を鳴らす特集を掲載している。

確かに韓国はほかの先進国と比べても一部の大企業への依存度は大きい。

調査会社のCEOスコアによると、国内総生産(GDP)に占めるトップ3企業の連結売上高の割合(2012年)は韓国が32%。米国(7%)、日本(8%)、ドイツ(17%)と比べて突出している。

 2月20日時点の韓国総合株価指数(KOSPI)は1930で、4年前に比べて337ポイント上昇している。

だが、韓国の大信証券によると、サムスン電子と現代自を除くと、現在の指数は1513、4年前に比べた上昇幅は185ポイントにとどまるという。

「サムスンなどの株価の上下で全体が左右されるケースが多い」と話す。

サムスン電子の13年10~12月の連結営業利益がほぼ2年ぶりに減益になることが分かった1月初めに、KOSPIが大きく下げたのは記憶に新しい。

強い大企業の存在は、輸出立国としての韓国の成長をけん引する一方で、中小企業が育たないという負の側面ももたらしてきた。

中小企業中央会の昨年の調査によると、中小企業の62%が納品単価などで、前年より不公正な取引を強いられたと答えた。

「毎年3~5%のコストダウン要求は普通。契約書を作らずに口頭で納品を要求し報酬を払わない場合もある」と同中央会の担当者は言う。「これでは中小企業は育たない」と批判している。

 韓国銀行によると、13年のGDP成長率は実質で前年比2.8%増。

14年は3%台の後半を見込み、表向きは回復傾向にある。米国の量的緩和の縮小の影響から新興国の金融市場は不安定な動きをみせるが、韓国はそうした動きは今のところほとんど見られない。

だが、一方で1月の若年失業率は8.7%と4年ぶりの高い水準となった。

韓国政策金融公社の調査によると、14年の設備投資について、大企業が5.6%増やすと答える一方で、中小企業は7.1%減らすと回答。格差が広がっている。

 朴大統領が打ち出した「経済革新3カ年計画」はそうした格差是正への強い意志の現れといえる。

17年までに総額4兆ウォン(約4000億円)を投じて、ベンチャー企業を育成し、1万人超の起業家を生み出すほか、ソフトウエアや金融、観光など5大サービス産業を重要分野と位置付けて、集中的に支援する。

すでに今年から独立行政法人のコンテンツ振興院の所管だったITベンチャーの育成事業を未来創造科学省に移管するなど、取り組みが始まっている。

「韓国にはソフトウエアの人材が少ない」。韓国の検索サイト最大手、ネイバーは13年3月、ソフトウエア人材を育てる専門学校「NHN NEXT」を京畿道城南市に開いた。

卒業生は自社で囲い込むことなく、ライバル企業でも活躍してもらい、韓国のIT業界の底上げを狙う。

「今のままでは優秀な人材が集まらず、グローバル競争にも負けてしまう」との危機感は成長企業ほど強い。その思いが韓国政府の重い腰を上げさせたともいえる。

 ベンチャー企業を育てて、サービス・内需を製造業・輸出と並ぶ経済の基盤としようという朴大統領の方針を国内の経営者やアナリストらは高く評価している。

だが、国民1人当たりのGDP4万ドル、雇用率70%、経済成長率4%の達成という韓国の将来目標について、「成熟国の韓国では達成は簡単ではない」(KDB大宇証券の洪性国=ホン・ソング副社長)。

ベンチャー企業の育成は長い目で見る必要があるが、市場の一部では数値目標を掲げてしまった朴大統領が再び巨大財閥に成長のけん引役を託さざるを得なくなる自縄自縛に陥ることを懸念する声もある。

 



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