米国の世界軍事戦略の変異
青空ブログ
金融関係者
隣国同士の国境線や諸島、海上国境線等の当事国紛争には極力係わらない。
米国からの先制攻撃は核攻撃に限定し、通常戦闘は当事国の防衛力で一次的に対処させる。
大きな変更です。
兵力配置の縮小に伴い、侵略発生時の主力はミサイル防衛(巡航ミサイル等の長距離兵器)とそれらを搭載する兵器群(超長距離ステルス爆撃機、イージス艦、機動艦隊(航空母艦))になりつつあります。
これらの兵器群を最大限活用するには仮想的との距離が重要です。
ミサイル兵器軍やステルス爆撃機は発射、離陸さえすれば相手の懐深く入り打撃を与えられますが、発射点や空港は防御能力が低く、侵略軍との距離が近ければ反対にミサイル攻撃を避けられません。
迎撃に必要な十分な距離と、中間に迎撃できる兵器群の展開が必要なのです。
ちなみに米国が持つステルス爆撃機の攻撃半径は数千キロで米国本土からでも往復可能です。
各種巡航ミサイルは射程は1500キロから2500キロ、日本列島以上の距離を誇ります。
機動艦隊の平均速度が30ノットとすれば、一日の移動可能距離は1200キロとなります。
したがって米国が対中国、ロシアの太平洋展開に対抗しようとする場合、理想的な基地位置は北朝鮮、中国から500キロ前後離れ、ロシアからも1200キロ前後離れている沖縄、2000キロ以上離れているグアム基地、4000キロ超の距離があるハワイ基地となります。
これらの軍事戦略上の必須要件は、台湾、日本、フィリピン等の各種国家群が侵略側の陸軍侵攻に対して有効な防衛力を展開し、相手を食い止める事ができるかです。
台湾、日本は相手国との間に海があり、上陸は容易ではないでしょうが、韓国は北朝鮮と陸続きで不利です。
ソウルは北朝鮮国境から100キロも離れていない為、ロケット弾やりゅう弾砲の大砲群を雨あられに打ち込まれれば壊滅は避けられません。
しかし国土は相応に広く、山岳地帯も多く進軍は容易ではなくアジアトップクラスの独自軍事力があるため対抗力は相応にあるといえます。
従来はアジアの米国同盟各国は基本的に侵略を受けた場合は米軍も第一線で防衛線を引いてくれることを前提に考えていましたが、
現在は第一侵攻を受けた場合は自力で対応することが必要になるでしょう。
事実自衛隊の装備増強や再編成もそれらの動きに呼応するものです。
また日本の集団的自衛権の行使についても中国、北朝鮮から米艦隊や米国国土にミサイル攻撃をされた場合、国内にある各種基地からミサイルを迎撃することが可能になり、米国が強く求めていることでもあります。
しかし韓国はこの動向に同意しかねているようです。
韓国は北朝鮮との統一戦争を起こすことを否定していませんし、その場合は米国も韓国軍と共同攻撃してくれると考えていました。
しかし米国は北朝鮮が核放棄さえすれば不可侵条約を結ぶこともあると発言しています。
韓国からすれば、大きな衝撃であったと言えるでしょう。
また、中国との親密化を急速に進める韓国の戦略にとり、米国の新戦略を同盟国として受け入れるのは容易ではありません。
当該防衛協力関係は韓国の軍事負担の増大と、北朝鮮、中国、ロシアに対抗する軍事行動にほかならず、中国との関係悪化を呼びかねないためです。
韓国は現在究極の選択を迫られているといっても過言ではありません。
米国側につくか中国側につくかです。
米中とも現在韓国にそのスタンスを明確にするよう各種圧力をかけています。
表面的にはあくまでも穏やかですが、かなりのプレッシャーがかかっているようです。
いずれにしても従来のように侵略があればイコール米軍が前線に立ち守ってくれるという時代は去ったようです。
これが良いほうに転ぶのかそうでないのかはいずれ歴史が証明するでしょう。
今は柔軟に対応できるよう状況を正確に把握することが重要だと思います。