平成太平記

日常の出来事を書く

見せかけの外貨準備

2012年08月24日 08時36分57秒 | Weblog
ホットマネーに支えられた韓国の外貨準備
 外貨準備の3100億ドルは経済規模に比べ多いかもしれない。しかし、韓国の場合、外から大量にホットマネーが入り込んでおり、危機の際にはそれが一斉に逃げ出す。他国以上に多くの外貨準備が必要で、ホットマネーの量を考えた場合、必ずしも十分とはいえない
 韓国銀行は「2009年第2四半期から2010年末までに、途上国平均と比べGDP(国内総生産)対比で2倍のホットマネーが入り込んでいた」(金融安定報告書・第18号=2011年10月発行)と分析している。
 もう1つは外貨準備が本当に使えるのか、という疑問だ。外貨準備の相当部分が米住宅金融公社の社債など「すぐに現金化しにくい」債券で運用されていると市場は見ている。
 実際、韓国の金融当局は「外貨準備の多くを高金利の債券で運用し国富を増やしている」と2006年の国政監査で国会議員に誇り、新聞もそれを称賛していた。
市場はなぜ、これほどに韓国を疑うのか?
 「CMIに384億ドル分、引き出す権利を持つ」という韓国の説明にも市場は首をかしげる。なぜなら、そのうち70%はIMF(国際通貨基金)の救済条件を受け入れて初めて引き出せるからだ。

 1997年の経済危機で韓国はIMFの指令により、倒産が多発し失業者が街にあふれた。韓国人にとってIMFへの救済申請はタブーである。そもそもIMFに頼るつもりがあるなら米国や日本、中国、あるいはCMIのスワップには期待しない。
 一方、世界の投機家も韓国人のトラウマを知っていて、IMFに駆け込まないと考えているからこそ、安心して韓国に通貨攻撃をかけるのだ。
市場の懸念はさらにある。「韓国全体で外貨が足りても、特定の金融機関がオーバーナイトの資金ショートに陥って、韓国全体の信用が毀損するケース」という想定だ。
国内でドルを貸し借りし合っている
 韓銀の金融安定報告書・第18号の31、32ページに驚くべき記述がある。2011年7月末現在、韓国の金融機関が保有する外貨建て債券のうち、危機時に現金化が容易な先進国の国公債は全体の0.5%に過ぎず、50.3%が韓国のほかの金融機関が発行した債券だった。国の内側でドルを貸し借りし合っているわけで、報告書は「危機時には信用リスクが一斉に拡大する構造だ」と警鐘を鳴らした。
 報告書のこのくだりは図付きだ。仮名ながら9つの銀行がドル建て債券をどれだけ引き受け合っているか線で示してある。その線はまさに網の目のように交わっている。
日本に「融和」を呼びかける社説があるのはなぜか?
 青瓦台など政府のレクチャーを受けて書いたと思われる記事は、ひとことで言えば「スワップを止めたいなら止めてみろ」との日本への挑発だ。 には小売販売額が減少するなど、内需の低迷もはっきりしてきた。これを受け不動産バブル崩壊の可能性も語られ始めた。外からの通貨攻撃と、国内の金融システムの毀損という内外2つの要因が重なって経済危機に陥った1997年の状況とだんだん似て来たのだ。
 内需低迷は単なる景気循環ではなく、少子高齢化の前駆現象とも見られている。それだけに通常の金融・財政政策での解決は難しい。
 こんな不安を抱える時に、日本からのスワップが打ち切られると、ちょっとしたことで市場が揺らぎ、一気に本当の危機につながるかもしれない。
 欧州の金融の動揺はまだ続きそうだし、中近東で戦争が始まる可能性も高まっている
 ただ、日本が通貨スワップ打ち切りを検討し始めたことが明らかになった後も、韓国ウォンは動揺していない。理由は2つ。日本は「おとなしい国」と思われており、本当にスワップを打ち切るのか市場が疑っていること。2つ目は「韓国危機」がまだ、懸念の段階にあることだ。
 貿易はまだ黒字だし、不良債権問題も表面化していない。外資は「韓国がきな臭くなってきたな」とは考えているものの、逃避の引き金となる信号弾は上がっていないのだ。
 こうした状況から見て、日本は韓国経済の地合いが悪くなっていくのをにらみながら、時々スワップ打ち切りを匂わせ、韓国政府に孤独なウォン防衛戦争を強いる作戦に出るのではないか。
輸出額の積み増しや中国からの支援でしのぐか
 もちろん、韓国も必死で対抗策を打つだろう。注目を集める貿易統計に関しては輸出額を“粉飾”して黒字を維持する手口がある。例えば、自動車メーカーや製鉄会社に増産させ、それを海外子会社の在庫として持たせれば、統計上は輸出と黒字が増加する。
 外貨繰りに関しては、信用力の高い製造業に円建て債を発行させ、日本で外貨の確保に乗り出せばいい。2011年秋にも韓国はこの手を使った。
 それで足りなければ中国にスワップの増額を頼みこむ、あるいは米国に新たにスワップを結んでくれるよう哀願すればいい。中国は人民元の影響圏拡大につながるため、恩着せがましい態度を見せつつも最後は応じる可能性が高い。