■偵察隊の一案
装甲機動旅団編制案の概要も回数を重ねてまいりましたが、今回は考える二案のうち一案について。
偵察隊、元来偵察隊は独立した戦闘能力を有し師団先鋒として敵情把握につとめる独立した戦闘部隊でした、自衛隊が1962年に師団制度を導入する以前、管区隊として大型の歩兵師団編成を採っていた時代には、戦車小隊と普通科分隊に対戦車分隊と迫撃砲班を隷下に含めるかなり高い能力を持つ偵察中隊が置かれていました。
威力偵察を行うためには軽戦車、これは旧陸軍の捜索連隊が戦車砲を搭載した装軌式の軽装甲車を運用していましたし、米軍も軽戦車を運用、第二次大戦末期に軽戦車が欧州地域では戦車の大型化により用途を失った時期にあっては軽戦車と、イギリス軍ではアメリカ製空挺戦車を偵察に用いています。
しかし、現在、軽戦車という区分が消滅し、フランスのAMX-10RCが105mm偵察砲を搭載する装輪装甲車として偵察任務へ、軽戦車に近い車両はロシアのPT-76両用戦車ですが、水陸両用で偵察用ではなく、アメリカでは最後の軽戦車M-551が完全退役し後継のXM-8は生産ならず、僅かにスウェーデン製CV-90装甲戦闘車の105mm砲搭載型を軽戦車として各国に売り込んでいる程度です。
この中で偵察の主体は威力偵察から戦場監視としまして、高度な観測機材を搭載した小型装甲車を偵察適地へ隠密潜入させ、戦域情報を受動的に収集する方式が主体となり、続いてその手段に小型無人偵察機が加わりました、中途半端な装備では確実に捕捉殲滅されるので、それならば威力偵察を排しこちらから動くのではなく動くものを探す、ということ。
この背景として威力偵察を行うには元来の軽戦車では全線火力と精密誘導兵器の高度な発達により瞬時に撃破される危険性があり、主力戦車等の機械化部隊によらなければ対応することが出来なくなり、戦場監視装置により見つからず偵察しなければ、不期遭遇の発見即交戦との戦場原則に生き残ることが出来なくなったのですね。
そこで、広域師団装甲機動旅団の編成は、戦場監視を原則とした偵察中隊と、無人偵察機隊を編成とする編成を提案します、独立中隊として二個中隊編成するのではなく、二つを合わせ偵察隊、二個中隊基幹ですので隊本部を強化して偵察大隊とする方策も考えられますが、戦域情報収集と無人偵察機を併せて運用する。
偵察中隊ですが、威力偵察は行いませんが近接戦闘車偵察型として開発が進められる、高性能複合センサーと大口径機関砲を搭載する偵察車両、そして軽装甲機動車へ暗視装置と画像通信装置を搭載し、長期間の潜入偵察、斥候員を2名とし、その他には長期間行動のための糧食始め生存物資を搭載し運用する斥候小隊等を基幹とする。
現在のオートバイ斥候ですが、こちらは防御能力が無く時代に取り残された印象を受けなくもないですが、光学監視装置としてデジタル録画双眼鏡とISO20万級の小型偵察機材等が民生品で既に応用可能なものが開発されており、これら器材と通信装置を組み合わせ、発動発電機の能力をオートバイの動力に依存する事で、長距離浸透の偵察能力は将来戦闘にも充分対応出来る事でしょう。
無人機中隊の装備としまして、遠隔操縦観測システムは、無人機に発進装置と統制装置及び追随装置と簡易追随装置、機体点検装置と機体運搬装置など非常に複雑な装備となっていますが、衛星などの他の情報支援等を受けることなく独立した索敵が可能であり、全般支援火力を有する旅団には不可欠の装備です。
しかし、広域師団直轄部隊に無人偵察機隊として必要性を説いています、具体的にが現在、自衛隊に無人偵察機部隊は方面移動監視隊を隷下に持つ方面情報隊など限られている訳で、この部分が解決しない限り大幅な増勢は見込めません。そこで考えられるのは携帯飛翔体等小型無人機を軽装甲機動車に車載して第一線付近の競合地域へ進出、偵察拠点を確保し爾後無人機による偵察を行う、と。
行進加入点と分進点を暴露しないよう運用の研究が必要ですが、中隊規模の軽装甲機動車部隊に無人機を配備すれば同時に多数の無人機を運用でき、中隊本部に情報処理装置と画像情報解析班を置くことでかなり広範に無人機による画像情報網を構築できるでしょう、手投式無人機は第一線中隊本部や普通科連隊本部管理中隊情報小隊にも配備すべきですが、画像解析班と情報処理装置により、単なる隔靴掻痒の情報格差克服手段ではなく、体系化された情報収集がここで可能となるでしょう。
ただ、偵察の在り方と目標発見即交戦の原則、偵察任務の不期遭遇という部分から、将来的にはもう一歩進んだ転換点、遠距離精密誘導装備と無人機の連携による敵前哨線の捕捉撃滅とその後の主力部隊の超越攻撃を前提とした運用、若しくは偵察部隊を先鋒部隊として威力偵察を再評価し、むしろ戦車が有しつつある情報優位のデータリンク能力を活用する選択肢もあるやもしれません。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
装甲機動旅団編制案の概要も回数を重ねてまいりましたが、今回は考える二案のうち一案について。
偵察隊、元来偵察隊は独立した戦闘能力を有し師団先鋒として敵情把握につとめる独立した戦闘部隊でした、自衛隊が1962年に師団制度を導入する以前、管区隊として大型の歩兵師団編成を採っていた時代には、戦車小隊と普通科分隊に対戦車分隊と迫撃砲班を隷下に含めるかなり高い能力を持つ偵察中隊が置かれていました。
威力偵察を行うためには軽戦車、これは旧陸軍の捜索連隊が戦車砲を搭載した装軌式の軽装甲車を運用していましたし、米軍も軽戦車を運用、第二次大戦末期に軽戦車が欧州地域では戦車の大型化により用途を失った時期にあっては軽戦車と、イギリス軍ではアメリカ製空挺戦車を偵察に用いています。
しかし、現在、軽戦車という区分が消滅し、フランスのAMX-10RCが105mm偵察砲を搭載する装輪装甲車として偵察任務へ、軽戦車に近い車両はロシアのPT-76両用戦車ですが、水陸両用で偵察用ではなく、アメリカでは最後の軽戦車M-551が完全退役し後継のXM-8は生産ならず、僅かにスウェーデン製CV-90装甲戦闘車の105mm砲搭載型を軽戦車として各国に売り込んでいる程度です。
この中で偵察の主体は威力偵察から戦場監視としまして、高度な観測機材を搭載した小型装甲車を偵察適地へ隠密潜入させ、戦域情報を受動的に収集する方式が主体となり、続いてその手段に小型無人偵察機が加わりました、中途半端な装備では確実に捕捉殲滅されるので、それならば威力偵察を排しこちらから動くのではなく動くものを探す、ということ。
この背景として威力偵察を行うには元来の軽戦車では全線火力と精密誘導兵器の高度な発達により瞬時に撃破される危険性があり、主力戦車等の機械化部隊によらなければ対応することが出来なくなり、戦場監視装置により見つからず偵察しなければ、不期遭遇の発見即交戦との戦場原則に生き残ることが出来なくなったのですね。
そこで、広域師団装甲機動旅団の編成は、戦場監視を原則とした偵察中隊と、無人偵察機隊を編成とする編成を提案します、独立中隊として二個中隊編成するのではなく、二つを合わせ偵察隊、二個中隊基幹ですので隊本部を強化して偵察大隊とする方策も考えられますが、戦域情報収集と無人偵察機を併せて運用する。
偵察中隊ですが、威力偵察は行いませんが近接戦闘車偵察型として開発が進められる、高性能複合センサーと大口径機関砲を搭載する偵察車両、そして軽装甲機動車へ暗視装置と画像通信装置を搭載し、長期間の潜入偵察、斥候員を2名とし、その他には長期間行動のための糧食始め生存物資を搭載し運用する斥候小隊等を基幹とする。
現在のオートバイ斥候ですが、こちらは防御能力が無く時代に取り残された印象を受けなくもないですが、光学監視装置としてデジタル録画双眼鏡とISO20万級の小型偵察機材等が民生品で既に応用可能なものが開発されており、これら器材と通信装置を組み合わせ、発動発電機の能力をオートバイの動力に依存する事で、長距離浸透の偵察能力は将来戦闘にも充分対応出来る事でしょう。
無人機中隊の装備としまして、遠隔操縦観測システムは、無人機に発進装置と統制装置及び追随装置と簡易追随装置、機体点検装置と機体運搬装置など非常に複雑な装備となっていますが、衛星などの他の情報支援等を受けることなく独立した索敵が可能であり、全般支援火力を有する旅団には不可欠の装備です。
しかし、広域師団直轄部隊に無人偵察機隊として必要性を説いています、具体的にが現在、自衛隊に無人偵察機部隊は方面移動監視隊を隷下に持つ方面情報隊など限られている訳で、この部分が解決しない限り大幅な増勢は見込めません。そこで考えられるのは携帯飛翔体等小型無人機を軽装甲機動車に車載して第一線付近の競合地域へ進出、偵察拠点を確保し爾後無人機による偵察を行う、と。
行進加入点と分進点を暴露しないよう運用の研究が必要ですが、中隊規模の軽装甲機動車部隊に無人機を配備すれば同時に多数の無人機を運用でき、中隊本部に情報処理装置と画像情報解析班を置くことでかなり広範に無人機による画像情報網を構築できるでしょう、手投式無人機は第一線中隊本部や普通科連隊本部管理中隊情報小隊にも配備すべきですが、画像解析班と情報処理装置により、単なる隔靴掻痒の情報格差克服手段ではなく、体系化された情報収集がここで可能となるでしょう。
ただ、偵察の在り方と目標発見即交戦の原則、偵察任務の不期遭遇という部分から、将来的にはもう一歩進んだ転換点、遠距離精密誘導装備と無人機の連携による敵前哨線の捕捉撃滅とその後の主力部隊の超越攻撃を前提とした運用、若しくは偵察部隊を先鋒部隊として威力偵察を再評価し、むしろ戦車が有しつつある情報優位のデータリンク能力を活用する選択肢もあるやもしれません。
北大路機関:はるな くらま
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